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地方金融機関によるグリーンボンドやソーシャルボンドなどテーマ型ボンドへの投資表明が相次いでいます。2010年代前半から世界銀行やアジア開発銀行など世界的な開発金融機関の発行するボンドが投資対象となっていましたが、最近ではJICA(国際協力銀行)や民間企業、REIT(不動産投資法人)など国内でも発行する団体が増加し、地方金融機関によるそれらのテーマ型ボンドへの投資が継続している格好です。

しかしその意義を考えると手放しで歓迎することはできないかもしれません。そもそも地方金融機関の最大のステークホルダー(利害関係者)はそれぞれの地域社会であるはずです。しかし先述のテーマ型ボンドへの投資は基本的には域外への投資であり、地域社会への恩恵は明確ではありません。

地域社会への貢献という地方金融機関に期待される役割に沿いつつ、テーマ型ボンドに関する取組を進めていく道筋の1つとして、地方自体体の発行する債券へ投資する際に、テーマ型ボンドであると宣言するよう促すことがあります。そもそも地方自治体は市場経済では蔑ろにされがちな、環境・社会問題の解消をこれまでも主導してきました。さらに2017年からは政府が自治体によるSDGs関連の取組を奨励する仕組みを整備してきています。2017年12月の第1回ジャパンSDGsアワードで一部の自治体が表彰されただけでなく、2018年3月にはSDGs未来都市や自治体SDGsモデル事業の選定が行われました(詳しくは以下のリンク先を参照して下さい)。

https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/pdf/company/publicity/2018/181028_kuroda.pdf

以下の投稿でも詳述しましたが、SDGsはこれらテーマ型ボンドと相性が良く、地方自治体によるSDGs関連の取組拡大に伴い発行される債券をテーマ型ボンドであると明言することは比較的容易なはずです。政府によるSDGs奨励策を起爆剤に、地方発のテーマ型ボンドの発行と地方金融機関による投資が増加することを期待しています。



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