取締役要件にESGを掲げる企業(5):ノーフォークサザン

スキルマトリックスシリーズ第5回は鉄道会社ノーフォークサザン(Norfolk Southern)です。営業地域はアメリカ中西部から東海岸であり、その起源は1820年代に設立された世界最古の鉄道会社です。同社がスキルマトリックスの公表を始めたのは2016年でその時のESG要因は「環境・安全」、「政府との関係」でした。最新の2018年版では後者が「政府・ステークホルダーとの関係」へと改善しています。

一方、前者の定義を「環境・安全および運用業界の規制に関する徹底した理解」とし、取締役12名中5名が同スキルを保持していると説明しています。またそれを裏付けるようにサステナビリティ担当責任者(CSO: Corporate Sustainability Officer)を取締役会で任命し、鉄道の燃費改善に努めていることをアピールしています。

しかし環境問題は同社のビジネスモデルの変革を促し得る要因で、燃費改善だけでは認識は十分とは言えないかもしれません。同社の主力である鉄道事業の売上高の17%は石炭産業向けのもので、世界的な気候変動重視のトレンドにおいて何らかの説明が必要である気がします。もちろん1)石炭会社出身者が筆頭独立社外取締役で当該議論がしにくい環境にある、2)下記のコマツのように目に見えて株価推移に影響が出ていない、という事情はあるものの、議論は避けて通れないと思います。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32865290R10C18A7000000/

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