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かたくなを、ほどくように〜本のひととき〜

「詩集・幸福論 」若松英輔

雨はどんどん激しくなる。外出先から戻り、報告書を上げると椅子にもたれかかった。

強い雨音。こんな日は、ゆっくりとことばを味わいたい。

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文芸評論家でもある著者の第2詩集。

1冊目の「 詩集・見えない涙」とは美術館のミュージアムショップで出逢った。

こちらは無印良品の書籍コーナーで発見したのだけど、店頭でページをめくるうち、胸がいっぱいになってきたので購入を決めたのだ。装丁も美しい。


巻頭の「余白」から持っていかれる。

※色付き部分は引用※

こころに/時を与えよ/何かのための/ 時間ではなく/無為の余白を

すごく、忙しい人を連想させる。そこからの「多忙な人」

忙しすぎてはいけない/大切な人に/会えなくなって/ひとりで困っているのを/見過ごしてしまう

大切なものは、何か。忙しいという漢字は心を亡くす、と書く。つい自分自身を後回しにしてしまう人に「 鞭を打つ」

おのれに/鞭打つのは/止めよ/愛する人のように/みずからを/いつくしめ

いつくしむ。自分をそうすることなんてあまり考えたことがなかった。

ふと周りを見渡した時に気づく、大切な人たちの存在。「 アスファルト」。

大切な人はみな/生きることに/疲れた日々に/めぐり逢った/真っ黒な/アスファルトの道を/舌で/なめなくてはならないような/試練のときに/出会った

友達と出逢った頃を思い出す。あの時はすごく大変だったけど、一緒に頑張ったんだよねと。


よわい人になれ/つよいだけの人は/人生の秘義を知らない/誰かを助け  励ましてばかりいて/助けられることを  知らない

「 人生の秘義」は頑なな気持ちをほどいてくれる。助けを求めてもいい。弱くてもいいんだと。

最後に「書く理由 」

思ったことを/書くのではない/宿ったことを/書くのだ  と/おのれに/言い聞かせる

詩を読んで、浮かんだことを書き連ねてみた。練り上げた文ではないけれど、今の気持ち。

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