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【体育】Physical EducationとSportsにわけて考える

一言で「体育」と言っても、器械運動や水泳、ボールを使ったゲーム、ダンスなど、様々なことを行います。

たくさんあるからこそ、教師側がそれらをどう捉えているかによって、学習できることが大きく変わってきます。

今日は、私なりに体育をこうわけて考えていますよというお話です。


1.学習指導要領での分け方

学習指導要領で、体育は以下のようにわけられています。

このように、運動種目を基本としてそれぞれの特性に合わせて仲間分けされています。(例えば、サッカーやバスケットボール、バレーボールのような球技は「ゲーム」と「ボール運動」の中に入っています。)

ここにあるそれぞれの領域をバランスよく身につけていくように学校の体育は構成されています。

2.Physical EducationとSportsにわけるとは

その一方、私はこれらを大きく2つにわけて考えています。それが「Physical Education」としての体育と「Sports」としての体育です。

Physical Education = 『身体教育』
Sports         = 『スポーツ』

と見ていきます。それぞれの見方については、以下にまとめます。

3.Physical Educationとしての見方

まず初めに、「Physical Education」としての見方についてです。

Physical Educaitonなので、 "Physical"の"Educaiton"として見ます。どういうことかというと、「身体がどのように動き、向上させられているか」という視点です。私が体育で大切にしていることの一つは「自在に動く身体=リテラシーの高い身体」です。つまり、「自分の身体の動かし方を知り、それを思いのままに動かせるようにしていく」ことがPhysical Educationということになります。

その視点でいうと、「体つくり運動」はまさにPhysical Edcationそのものですし、器械運動や水泳、表現運動や陸上運動もPhysical Educationと言えます。(しかしながら、これらに「大会」の要素が加わるとSportsの視点も入ってきます。)

自分の身体と向き合い、自在に動く身体を得ることは、体育科の目標にもある「生涯体育」に大きく関係していくのです。

4.Sportsとしての見方

次に「Sports」としての見方についてです。(sportsの語源についても書きたかったのですがここでは割愛し、また後日…)

Physical Educaitonが「自分の身体」と向き合う学習だとすると、Sportsは「他者」と関係することによる学習です。「他者と競い合う」「他者と協力する」「他者との駆け引き」そういった要素が入ってくるとSportsになります。つまり、「個の身体そのもの」ではなく、「身体を使って他者と何かしらの取り組みを行う」ことがSportsです。

Sportsをする上で他者がかかわる話はしましたが、それはつまり、sportsを成立させるためには、他者との関係性を良好に保つ必要があるということです。そうです。だから「ルール」があり「スポーツマンシップ」があるのです。つまり、sportsの単元は、「スポーツを成立させること」がまず初めに学ぶべきことです。

子どもがsportsをする場面、必ず「ズル」だとか「威張り」だとか、そういったことが起こります。でも、それは本能的なものであり、当たり前に起こるものです。人類の歴史をたどれば、「他者から奪えるだけ奪った者が安定した生活を保てる」わけですから、どんなズルをしてでも相手の食糧や財産、命を奪ってきました。(ある時はそれが「戦法」として。)そして、相手を打ち負かしたときに味わう「勝利の快感」は、動物として生き残るために本能的にもっているものなのかもしれません。また、ローマ時代のグラディエーターなんかは、その生存をかけた戦いを見て楽しんでいたスポーツの源流でしょう。しかし、それでは「sports」は現代において成り立たない。sportsを成立させるためには、「ルール」や「マナー」を使って、「互いにしないこと」を守り、安全を確認する必要があります。それを守ることがsportsを成立させる上では不可欠なのです。体育のsportsの単元でも、これらを大切にし、ズルをせず、自分が負けても勝った相手を認め、互いに頑張った自分たちを認めるような態度を身につけていくことが大切であり、単元の目標の大きな柱の一つです。

この「他者を思いやるために必要な我慢」を学ぶことは、社会で生きていく上でも必要です。だからこそ、学校体育でsportsを学ぶ価値があります。

そういったsportsの視点で体育を見ると、「ゲーム」「ボール運動」の領域はsportsですし、Physical Educationのものでも、「大会」の要素を加えることでsportsになります。

また、sportsの単元は「Physical Education」で身につけた「自在に動く身体」を活用する単元とも言えます。つまり、physical educationは、自在に動く身体を身につける「土台づくり」であり、それを生かして「楽しむ」のがsportsだと言えます。
Physical Education = 習得
Sports       = 活用
というイメージで捉えるとわかりやすいです。

そう捉えていくと、それぞれの領域の中でもphysical educationとsportsに分けられることがわかってきます。下の画像のような感じです。

私がなんとなくで分けてみた図です。


おわりに

このように、体育をPhysical EducationとSportsに分けて考えると、その時間の体育がどちらに当てはまるのかがわかります。そして、それぞれの目的が違うわけですから、もちろん、授業の組み方も変わってきます。限られた体育の時間ですから、1時間1時間を大切にしていきたいですね。

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