用語 まとめ①「全件収容主義」「第三国定住」「ノン・ルフールマン原則」

全件収容主義

在留資格がない人や超過滞在者など、入管法に違反していれば、難民申請中といった個別の事情や、その人が逃げる可能性があるかどうかを考慮せずに収容してよいとする入管側の解釈を指す。

過大すぎる入管の「裁量」。政府からも法改定による見直し案も出されたこともあるが、現在も入管行政による「裁量」に任されている。

<根拠法>

a.収容令書による収容(30日以内、延長可):入管法第39条第1項、入管法第41条1条第1項

b.退去強制令による収容(送還可能のときまで、収容期限なし):入管法第52条3項、5項

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(出入国在留管理庁PDF資料「収容・仮放免に関する現状」より抜粋)

<参考文献>

「収容と仮放免が映し出す入管政策問題」呉康成『アジア太平洋研究センター年報 2016-2017』

http://www.keiho-u.ac.jp/research/asia-pacific/pdf/publication_2017-05.pdf

第三国定住

すでに他国(1次庇護国)で難民として保護されているものの、受け入れ国での定住が困難な人々を、別の国(2次庇護国)が受け入れる制度。

UNHCRが提唱する「恒久的解決策」の三つ(自主帰還、庇護国における社会統合、第三国定住)のうちの一つ。

日本政府は、2018年10月に、2020年度から第三国定住制度による難民受け入れの拡大を検討することを発表。

日本が第三国定住難民の受け入れを開始したのは2010年であり、年間30人を上限にパイロット事業としてミャンマー難民を受け入れてきた。

<参考文献・URL>

2011年『難民研究ジャーナル 1号』「第三国定住の概要と課題」、入山由紀子(下のURLは公開記事)

NPO法人難民支援協会「第三国定住について」https://www.refugee.or.jp/refugee/rst.shtml

政府広報オンライン「第三国定住による難民受け入れ事業」

https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201201/5.html

ノン・ルフールマン原則

生命や自由が脅かされかねない人々(特に難民)が、入国を拒まれあるいはそれらの場所に追放したり送還されることを禁止する国際法上の原則。

ルフールマンとは、フランス語で「送還」の意味。「追放及び送還の禁止」の原則です。

日本も批准している難民条約の第 33 条(1)に規定されている。

「難民を彼らの生命や自由が脅威にさらされるおそれのある国へ強制的に追放したり、帰還させてはいけない」(難民条約第33条)

また、
「庇護申請国へ不法入国しまた不法にいることを理由として、難民を罰してはいけない」(難民条約第31条)
という決まりもあり、どちらも難民に保護を保障し、生命の安全を確保するための大切な決まり。

参考URLページ

UNHCR「難民の権利と義務」https://www.unhcr.org/jp/right_and_duty

UNHCR「難民条約および議定書」https://www.unhcr.org/jp/treaty