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東大現代文の添削コメント('14 第四問)

今年の夏休みは、東大の過去問をやっている生徒がいます。毎回一年分ずつ見ています。先日、授業後に追加のコメントを書いたので、noteにも載せておきます。2014年度の第四問です。

(※今回の記事は読解問題を最初から最後まで解説しているわけではありません。本文を読んだり、実際に解いたりしてみない限りは、何のことやら分からないかもしれません。すいません。)

東大国語の第一問は論理的文章。第二問は古文、第三問は漢文で、第四問は文科のみ解答の文学的内容をもつ文章(随筆など)です。以下は2021年度の入試問題についてのコメントなのですが、第一問と第四問の取り組む上での態度を明確に示していると思います。

「国語」の出題の意図
https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400160341.pdf

第一問 論理的文章
「論旨を正確にとらえる読解力と、それを簡潔に記述する表現力が試されます。また、ある程度の長文によって全体の論旨をふまえつつまとめる能力を問う問題を設けています。」

第四問 文学的内容をもつ文章
「心情という一見曖昧模糊とした領域で明確な理解を組み立て、適切なことばでそれを表現できるかどうかが問われます。豊富な語彙を自在に操れるだけの読書量が要求されているともいえるでしょう。」

特に第四問。手強そうですね・・。実際手強いです。

出典は蜂飼耳「馬の歯」。問題文はこちらなどで読めます。

第四問(三)「その一歩は消えていく光だ」とはどういうことか、説明せよ。

難しいです。傍線部について直接的に説明している部分があまりなく、優先順位低めで良いと思います。

傍線部直前を見てみましょう。

「足元を照らす明確さ」とは、日常生活の中でわれわれの考えている「自明」さ、です。でも筆者は、それは「いつでも仮のものなのだ」といいます。ということは、日常生活の様々なことについてわれわれはほとんど知らない、ということです。

「だからこそ、輪郭の曖昧な物事に輪郭を与えようと一歩踏み出す」とは、われわれが実はよく分かっていない物事をはっきりさせようと思考を巡らすということです。

「光がこぼれる」とはどういうことか。この「光」とは、「足元を照らす」われわれの認識が仮のものであることに気づき、新たな真実に近づいているという肯定的な感覚を表現しています。

しかし、その一歩の光は消えてしまう。つまり、
「結局はわからないまま終わってしまう」という結末になってしまうのです。

そういったことを踏まえて、傍線部を自分の言葉で説明せねばなりません。

第四問(四)「掌にのせて、文字のないそんな詩を読む人もいる」とはどういうことか、説明せよ。

「詩を読む」とは、どういうことなのかを表現するのが核心です。段落全体を踏まえると、「未知のものに対して虚心をもって問いかけることで、現実の自然のあらゆる事物から魅力的で豊かな想像の世界を生み出す」というような内容が良いでしょう。

そして「詩」とは比喩であり、思いもよらなかった自然や現実世界の新たな事実を出発点とした、「豊かな想像の世界」です。なぜ「想像」といえるかというと、同じ段落で「(問いとは)もっとも遠くへ届く光なのだろう」と述べられており、実際に「蹄の音の化石が軽快に宙を駆けまわる」とあるように、「馬の歯」をきっかけとして想像している様子が描かれているからです。これらを踏まえて解答しましょう。

以上です。

取りやすい問題、難しい問題が混在する中で、今回触れた(三)(四)は難しい方だと思います(だから授業後のレビューで追加で解説しているということです・・・)。常にまずは取れるところを取り、難しい問題は半分以上を目標に、自分の表現力を駆使しつつ、丁寧に本文の根拠を拾っていってください。

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