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バリさん、あっちゃんとサウナに行ってから心の調子がちょっといい話

バリさん、あっちゃんと再開

4日前、上川のバリさんとあっちゃんがAKABIRA CAMP BREAKの出店を終えて滝上に来てくれた。火曜水曜オープンのカフェ「KARSUI」で遭遇。

バリさんが紺色のセットアップに黒いグラサンをかけた出で立ちで正直怖かった。
数か月振りの再開ということもあり、緊張でしばらく目を合わせられなかった。バリさんが普通の眼鏡にかけ替えた。勇気を出して凝視する。やがて目が会い指でハートを作ってくれた。たまらずこちらも返す。キュンです。(?)

あっちゃんはあっちゃんだった。

ようやく変な緊張が取れて、お二方と世間話をしたり、様々アドバイスをいただいたりして、その勢いのままホテル渓谷でのサウナ行にご一緒させていただくことになった。

サウナ第1ラウンド

体を洗って、湯舟に浸かるのもそこそこに、サウナへ。
バリさんがハッカ水をサウナ石にかけて座す。
合わせて座す。あっちゃんも座す。

言葉少なに5分ほど経過し、バリさんが立ち上がる。
合わせて立ち上がる。
あっちゃんはもういなかった。

水風呂に入ったのち、展望デッキに繰り出す。
あっちゃんいた。
バリさんは一番奥のリクライニングチェアに座り、隣にありふれた白いプラスチックチェアにあっちゃん、そして俺。

川のせせらぎと木々のさざめきの中、しばし整う。
久しぶりにサウナに入ったせいか、視界が少しぐわんぐわんしていた。

体の水滴があらかた乾いたころ、バリさんが立ち上がる。
あっちゃんはもういない。
第2ラウンド。

サウナ第2ラウンド

サウナに入りバリさんは同じ位置へ。
俺もあっちゃんの横に座す。

3人で座してすぐに、腹は出てるのに、やけに足がスラッとしている落ち武者気味のおっちゃんが入ってくる。
おっちゃんは「はいすみませんね~」とかなんとか言って、サウナ石にハッカ水をかけてドアのすぐ脇に座った。

30秒後、知らないおっちゃんがサウナから出ていった。

3人とも面くらい、「今入ってきたよね??」「ロウリュ係なのかな笑」とか言って、少し笑う。
やがて静まり、熱気で肌ジリジリとしてきた頃、

バ「〇〇(上川町内)に別荘みたいな所があるんだけど。」
バ「そこちょっと欲しいんだよね。」
俺「何でですか?」
バ「一人になりたい時とかあるでしょ?」
バ「俺、起きてる時の8割位それだから。」

確かにバリさんとコミュニケーションをする時は独特の間があるし、言葉多しっていうタイプではないと思っていたけれど。
今バリさんがしている活動は乱暴に言うと、皆で協力してより良い町を作っていこうだとか、より良い何かを生み出そうっていうベクトルのものだと思っていたし、SNSでいろいろなところに顔を出している投稿をしていることから、交友関係の広さは何となく知っていたから。てっきり人付き合いに苦はないのかと思ってた。

意外に思いつつも、思い出したように協力隊としての研修で上川に改めて訪問するかもしれない旨をバリさんに伝える。

バ「わざわざ協力隊の予算使ってうち来るのもったいなくない?」
バ「遊びに来るついででいいじゃん」

そりゃそうだ。隣町だもの。これには多少は訳はあるのだけれども。

バ「それにくろちゃん、あんまり町おこしとかに興味ないでしょ?」

地域おこし協力隊をやっている身としては「はい、興味ありません。」とは言えないものの、全く否定もできない…。

バ「興味のないことに時間費やしても得られるものは少ないから。」
バ「くろちゃんの好きなことや、興味のあるところ、人のところに視察とか研修に行った方がいい。」

返す言葉もない。

そうしてぽつぽつ話したのちに展望デッキへ。
マッパで電話をしているロウリュ係おじさんを横目に、一足先に整っていたあっちゃんを挟むように定位置へ。

あっちゃんが第3ラウンドに繰り出したタイミングでバリさんとなぜかお面の話に。

バ「前いた協力隊(インターン?)に木の板からカナダのお面を掘り出せる人がいて。」
バ「そのお面が凄いかっこよくて、壁に飾りたくなったんだよね。」
バ「木彫りっていいよね。」
(後々調べてみると、「ネイティブ・アメリカン・マスク」っていうらしい。多分総称。)

俺はネイティブ・アメリカン・マスクの存在は知らなかったけど、いつだったかにYoutubeで能面を掘っている動画を見たことがあったのと、お気に入りの洒落怖 (匿名掲示板2ch⦅現4ch⦆のオカルト板の長寿スレッド「死ぬほど洒落にならない怖い話を集めてみない?」) に神楽面にまつわる話があって、自分ではない何かに成る?何かを憑依させる?お面文化の神秘性みたいなものに興味があって、喰いついた。


バ「あと2年あるから、今から始めたらだいぶ様になるんじゃない?」
バ「滝上町ってそういう職人みたいな人っているの?」

俺「いるにはいますけど、あんまり心当たりないですね。」

バ「くろちゃんは興味がなさそうな町おこしとかよりも何かの職人とかそっち方面で活動していくのもいいかもね。」

そうこうして展望デッキに落ちているどんぐりをバリさんが拾い、最終ラウンドへ…

サウナ第3ラウンド

着席。
バリさんと横にどんぐり。
斜め向かいにあっちゃんと俺。
足長ロウリュおじさんが入ってくるも相変わらず30秒で出ていく。

あ「蝦夷丸、何でどんぐり持ってるの?」
バ「落ちてた。」
あ「笑」

タイムラグがあったためあっちゃんは早々に出ていく。

バ「協力隊の給料は〇〇くらい貰ってるんでしょ。」
俺「それくらいですね」
バ「滝上は副業もありだっけ?」
俺「今年から大丈夫になりました。」
バ「協力隊の給料の他にも別で稼ぐといいよ。」
バ「月〇〇くらい自分で稼いだら、2年で〇〇位でしょ?」
バ「それを協力隊任期後の初期資金にするってかんじでさ。」

ぐるぐる思考を巡らせる内に、バリさんがどんぐりをつまんで立ち上がる。
展望デッキへの扉であっちゃんと入れ違いになる。
扉の先では、ロウリュおじさんが韓国語?中国語のような言語で電話をしながら近づいてきて、すれ違う。

ロウリュおじさんの退出を確認して、チェアに腰掛ける。
俺「今、日本語でした?」
バ「全然聞き取れなかった。」
バ「仕事かな?大変そうだね。」

最後は各々で整う。

クールダウン

サウナ行が終わり、バリさんが室内風呂に浸かる。
合わせて浸かる。

バ「くろちゃんはさ。」
俺「?」
バ「普通じゃないのに、無理して普通になろうとしてる感じあるよね。
バ「それ、やめたほうがいいんじゃない?」
俺「…」
俺「いや~そうですかねぇ…ハハハ。」
バ「もっと理屈とか抜きで自分がなんかいいなって思うものに目を向けたらいいんじゃない?」
俺「…」

多分バリさんは「お前は何か才能があるからそれを活かしていけ。」みたいなニュアンスのことを言っていたんじゃなくて、「周りに取り繕いすぎてるからもっと自分の感性に人生の比重を置いた方がいい。」って感じのことを伝えたかったんだと思う。
実際図星で、他人とする会話を含めた一般的なコミュニケーションにさして興味もないのに、何となく気を使って何かをしたり、思ってもいないのに当たり障りのないことを言ったり。自分のキャパ以上の負担を被ることをよしとしたり。それで自分が何ををしたいのか分からなくなってバッドに陥るって流れがちょくちょくあった。今もある。
そんなことを薄々と感じていただけに、バリさんのこの言葉が刺さった。

(俺が理屈抜きにいいなって思うもの…)

風呂から上がる。

俺「バスタオル車に忘れたっす。」
バ「かわいそ。」

扇風機で乾かす。

ホテルのロビーに戻って、卓球をする。

バ「めっちゃスピンかかるじゃん笑」
俺「上川の人強いんで練習しました笑」

あっちゃんがスマホで動画を撮ってる。
あ「もっとラリー続けてよ笑」

そうして額から汗が垂れてくるまで卓球をした。

ロビーからでて駐車場へ歩く。
外がだいぶ涼しくなってきた
俺「今日はこのまま上川に帰るんですか?」
バ「うん。」
バ「セコマ寄る?」
あっちゃんがうなずく。

俺「また来てください。」
バ「うん。」

白いワンボックスカーに二人が乗り込み、運転席のバリさんがエンジンをかける。

バ「それじゃ。」
あ「くろちゃんバイバイ。」
あっちゃんが両手を大げさに振る。

俺「お気をつけて。」
荷物のない右手を大げさに振る。

そうして二人が駐車場から出ていく。

ぽつんと一人立っている。

「いいなと思うもの…」
そう呟きながらボーッと眺める西日はなんだかいつもより眩しくて、暖かかった気がした。

続く







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