マネジメント2/3 マネジメントの方法

この本のメモ書きです。

マネジメントの必要性
・複数の人間が協力して、意思を疎通させつつ多様な課題を同時に遂行する必要が出てきたとき、組織はマネジメントを必要とする
・マネジメントを欠く時、組織は管理不能となり、計画は実行に移されなくなる。最悪の場合、計画の各部分が、それぞれ勝手なときに、勝手な速度で、勝手な目的と目標のもとに遂行されるようになる。ボスに気に入られることのほうが、成果をあげるよりも重要になる。

5章:マネジャー

■マネジャーとは何か

組織の成果に責任を持つ者
・マネジャーを見分ける基準は「命令する権限」ではなく「貢献する責任」である

専門家にはマネジャーが必要 
・自らの知識と能力を全体の成果に結びつけるために

■マネジャーの仕事

2つの役割
①マネジャーは人的資源のあらゆる強みを発揮させ、あらゆる弱みを消す。真の全体を創造する唯一の方法。
②あらゆる決定と行動において、ただちに必要とされているものと遠い将来に必要とされるものを調和させる。

マネジャーの仕事
①目標を設定する
②組織する
③動機付けとコミュニケーションを図る
④評価測定する
⑤人材を開発する

マネジャーの資質
・始めから身につけていなければならない資質は才能ではなく「真摯さ」
・何が正しいかだけを考え、誰が正しいかを考えない

職務設計の間違い
・マネジャーの働きを妨げるような間違いについて
①職務を狭く設計し、優れた者でも成長できなくする
②補佐役という仕事、つまり仕事とはいえない職務:社長アシスタント みたいなもの 
③マネジメントは1つの仕事であるが、それはマネジャーが専念しなければならないほど時間を要する仕事ではない
※マネジャーは、単なる調整者ではなく、自らも仕事をするプレイングマネジャーでなければならない
④マネジャーの仕事は、彼一人あるいはその直接の部下を使うだけで遂行できるものにしなければならない
⑤マネジャーの仕事の不足をポストで補ってはならない
⑥後任づくりの仕事は設計しなおさなければならない
※前任者が、たまたま2つの資質を併せ持っていて、うまくこなしてしまったために、職務として確立されただけである。

職務設計の視点
・マネジャーの仕事は、4つの視点から設計しなければならない
①マネジャー本来の機能、継続的な職務:人事部長 であれば人事の仕事
②個々のマネジャーに対し、組織や上司が設定する責任
③マネジャーの仕事は、上、下、横との関係によって規定される
④マネジャーの仕事は、必要とする情報と情報の流れにおける彼の位置によって規定される。

■マネジメント開発

マネジメント開発は、人の性格を変え、人を改造するためのものではない。成果をあげさせるために、人の考えではなく、自分のやり方によって活動できるようにするためのものである。

■自己管理による目標管理

4つの阻害要因
・組織には、人を間違った方向へ持っていく要因が4つある
①技能の分化
 :専門家の技能は、組織全体のニーズと関連していないといけない
②組織の階級化
 :全員の目を、仕事が要求するものに向けさせる組織構造が必要である。
③階層の分離
 :階層によって、仕事と関心に違いがある場合がある
④報酬の意味付け
 :組織内の人間にとって、報酬や報酬システムほど強力な信号はない

目標管理
・適切なマネジメントを行うには、トップマネジメントが目標間のバランスを図らなければならない
・目標は組織への貢献によって規定しなければならない
・目標を規定すること、および自らの属する組織の目標の設定に参画することは、一人ひとりの責任

自己管理
・自らの仕事ぶりを管理するには、自らの目標を知っているだけでは十分でない。目標に照らして仕事ぶりと成果を評価できないといけない。そのための情報を手にすることが不可欠である。

■組織の精神

天才をあてにするな
・組織の良否は、そこに成果中心の精神があるか否かできまる
①組織の焦点は、成果に合わせなければならない
②組織の焦点は、問題ではなく機会に合わせなければならない
③配置、昇級、解雇などの人事に関わる意思決定は、組織の信条と価値観に沿って行わなければならない。これらの決定こそ真の管理手段。
④人事に関わる決定は、真摯さこそ唯一絶対の条件であり、すでに身につけていなければならない資質であることを明らかにするものでなければならない。

成果を中心に考える
・成果とは何かを理解しなければならない

機会に集中する
・組織は問題ではなく機会に目を向けることで、精神を高く維持できる
・問題は無視できないが、問題中心の組織は守りの組織である。それは悪くさえならなければ成果を上げていると考える組織。

6章:マネジメントの技能

■意思決定
①何についての意思決定かを決めることに重点をおく。答えではなく問題を明らかにする
②反対意見をでやすくする。コンセンサスを得るまでの間、答えについての議論は行わない
┗意見の対立を見ない間は決定を行わない
③当然の解決策よりも、複数の解決案を問題にする
④いかなる地位の誰が決定するかを問題にする
⑤決定後の関係者への売り込みを不要にする。意思決定のプロセスの中に実施の方策を組み込む。
・決定を行った後でその決定を売り込む必要があるのでは、行動は起こされないし成果も得られない。

■コミュニケーション

4つの原理
・コミュニケーションとは
①知覚であり
②期待であり
③要求であり
④情報ではない

コミュニケーションは知覚である
・コミュニケーションを成立させるものは、受け手である
・コミュニケーションをおこなうには、「受け手は受けとめることができるか」を考える必要がある

コミュニケーションは期待である
・受け手が期待しているものを知ること無く、コミュニケーションを行うことはできない
・期待するものを知って、初めてその期待を利用することができる

コミュニケーションは要求である
・受け手が何かになること、何かをすること、何かを信じることを要求する
・コミュニケーションは受け手の価値観、欲求、目的に合致するときに強力となる

コミュニケーションは情報ではない
・コミュニケーションにとって重要なものは、知覚であって情報ではない

コミュニケーションの前提となるもの
・目標管理こそコミュニケーションの前提となる
・目標管理の最大の目的は、上司と部下の知覚の仕方の違いを明らかにすること
・上司と部下が、同じ事実を違ったようにみていることを互いに知ること自体がコミュニケーション
・このコミュニケーションが成立するには、経験の共有が不可欠である。それ故に組織において、コミュニケーションは単なる手段ではなく、組織のあり方そのものである

■管理

管理手段の特性
①いかに管理するかではなく、何を管理するか
②管理手段は成果に焦点を合わせなければならない
③管理手段は、測定可能な事実のみでなく、測定不能な事実に対しても適用する

管理手段の要件
①管理手段は効率的でなければならない
②管理手段は意味あるものでなければならない
 ※成果に影響を与える事象だけを対象とする
③管理手段は特定の対象に適していなければならない
④管理手段の精度は、測定の対象に適していなければならない
⑤管理手段は、時間感覚が測定の対象に適していなければならない
⑥管理手段は単純でなければならない
⑦管理手段は行動に焦点を合わせなければならない

真の管理とは
・組織の本当の管理は、1人ひとりの思想と行動の誘因となるべきもの
・彼にとって賞罰こそ組織の目的、価値観、自らの位置づけと役割を教えるものである

■経営科学
・企業は、単に物や考えを生み出す存在ではない。人が価値ありと認めるものを生み出す存在である。
・見事に設計した機械でも、顧客の役にたたなければ廃物

企業にとってリスクをおかすことこそ基本的な機能
・企業活動からリスクをなくそうとする、最小にすることは無駄
・現在の資源を未来の期待に投入することには、必然的にリスクが伴う
→経営科学の目的は、正しい種類のリスクを冒せるようにすること
・いかなるリスクがあり、それらリスクを冒したときに何が起こりうるかを明らかにしておくこと

7章:マネジメントの組織

■新しいニーズ

組織構造に関して唯一無二の解答は無い
組織のなかの人間が成果をあげ貢献できるようにする組織構造は、すべて正しい答え
人のエネルギーを解き放ち、それを動員することが組織の目的であって、均整や調和が目的ではない

■組織の基本単位
4つの問題に答えることで、組織構造を設計できる
①何を組織の単位とするか:活動分析
②何を一緒にして、何を分離するか:貢献分析
③いかなる大きさと形にするか:決定分析
④いかなる位置づけを行い、いかなる関係を持たせるか:関係分析

活動分析
①組織構造の設計は「組織の目的を達成するには、いかなる分野において卓越性が必要か」との問いから始める
②同時に「いかなる分野において成果があがらないとき、致命的な損害を被るか、いかなる分野に最大の弱点を見るか」との問いも重要
③最後に「本当に重要な価値は何か」との問い
これら3つの問いが、組織の基本活動を明らかにする
その基本活動が、組織の基本単位となる。

貢献分析
4つの分類ができる
①成果活動②支援活動③家事活動④トップ活動

決定分析
・成果を手にするにはいかなる種類の意思決定が必要か
・それらの意思決定をいかなるレベルで行うか
・いかなる活動がそれらの意思決定によって影響を受けるか

関係分析
・どこの誰と協力して働かないといけないか
・どこの誰に対していかなる種類の貢献を行わなければならないか

悪い組織
①マネジメントの階層が増加する
②組織構造に関わる問題が頻繁に発生する
③要となる者の注意を重要でない問題や的外れの問題に向けさせる
④会議を頻繁に開かざるをえなくなる
⑤人の感情や好き嫌いに気を使うようになる
⑥調整役や補佐役など実際の仕事をしない人たちを必要とする
⑦組織病:組織中で組織構造を気にしており、常にどこかで組織改革を行っている
※組織改革は手術であり、気軽に行ってはならない

■組織の条件

いかなる組織構造であっても、組織として最小限持たなければならない条件

①明快さ
・組織マニュアルの助け無しでは自らの所属や行くべきところ、自らの位置がわからない組織構造は、成果をあげる助けとなるどころか障害となる

②経済性
・優れた組織構造とは、自らをマネジメントし、自らを動機づけられる組織
・組織を動かすことに時間を使うことが少ないほど良い

③方向付けの容易さ
・組織構造は、組織のなかの人間や組織単位の関心を、努力ではなく成果に向けさせなければならない

④理解の容易さ
・組織構造は、組織全体の仕事を理解できるようになっていなければならない
・自らの仕事が組織全体のどこに位置し、役に全体の仕事が自らの仕事にとって何を意味しているか理解できる

⑤意思決定の容易さ
・意思決定は、それが仕事として、行動として実行に移され、成果をもたらさない限り、良き意図にすぎない
・組織構造のいかんによってそれが容易にも困難にもなる

⑥安定性と適応性

⑦永続性と新陳代謝
・組織構造は、組織内の人材が仕事を通じて学び、成長していくことを助けるもので無ければならない

■5つの組織構造

チーム型組織
・メンバーがチーム全体の仕事、自分の仕事が何であるかをしりやすい
・事態の変化にも適応しやすい
・明快さや安定性に欠ける、経済性もわるい
・最大の限界は規模にある
・知識組織においては、組織のなかの人間の拠点としての職能別組織と、仕事の場としてのチームの双方を使い分けることが必要

■組織構造についての結論

組織構造は目的達成のための手段である。それ自体目的ではない。
組織の健康を判断する基準は、組織構造の云々ではなく、成果である。

続きはこちら。

前編はこちら。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?