マネジメント3/3 マネジメントの戦略

前編はこちら。

8章:トップマネジメント

■トップマネジメントの役割

多元的な役割
①事業の目的を考える
②組織全体の規範を定める
③組織をつくりあげ、それを維持する。そのために育成をする。
④渉外の役割
⑤行事や夕食会への出席といった儀礼的な役割
⑥重大な問題に際しては自ら出勤する、自らが取り組む

トップマネジメントの役割の特徴
①考える人②行動する人③人間的な人④表に立つ人

■トップマネジメントの構造

チームで行うべき仕事
・トップマネジメントとは、1人ではなくチームによる仕事。
・トップマネジメントの役割を1人でこなすのは不可能

役割の分担
・トップマネジメントの役割の1つ1つを、トップマネジメントのメンバーに直接かつ優先的に割り当てることが、チームとして機能する唯一の方法

チームワーク
トップマネジメントのメンバーは
①それぞれの担当分野において最終的な決定権を持つ
②自らの担当分野以外については意思決定を行ってはいけない
③仲良くする必要も、尊敬し合う必要もない。けなしあってはいけない
④チームのキャプテンがいる
⑤チームとしてのみ判断しうる問題は、意思決定を留保してチーム内で検討しなければならない
⑥トップマネジメントの仕事は意思の疎通に精力的に取り組むことを要求する

9章:マネジメントの戦略

■規模のマネジメント

不適切な規模
・不適切な規模の組織には、肥大化した分野、活動、機能がある
・著しく努力を必要とし多額の費用を必要としながら成果をあげられない分野がある

不適切な規模への対策
・3つの戦略があるが、最終手段
①事業の性格を変えてしまう
②合併と買収
③売却、切り捨て、縮小:マネジメントとしてはもっとも好ましくないが、あらゆる点で成功しやすい戦略

最大規模と最適規模
・組織にはそれ以上大きくなると成果をあげる能力が低下するという最適規模がある
・最適規模は、最大規模よりもかなり下にある

■多角化のマネジメント

多角化は万能薬ではない
・何かがうまくいかなくなると、すべてがうまくいかなくなる。しかも同時に。
・組織には、もはやマネジメントできなくなるという複雑さの限界がある。
・トップマネジメントが事業とその現実の姿、そこに働く人、経営環境、顧客を自分の目で見て、知り、理解することができなくなり、報告、数字、データなど抽象的なものに依存するようになったとき、組織は複雑になりすぎ、マネジメントできなくなったと考えてよい

多角化の調和
①1つは、共通の市場のもとに、事業や技術、製品を統合し、それによって高度に多角化しつつ一体性を保つ
※市場が何か、を決めるのは生産者ではなく顧客であることに注意が必要
②もう1つは、共通の技術のもとに事業や製品、市場を統合し、それによって高度に多角化しつつ一体性を保つ

■成長のマネジメント

成長には戦略が必要
・成長には、戦略、準備、行動が必要

成長すること自体を目的にするな
・よい企業になることが正しい目標

必要な成長とは何か
・企業は業績に貢献しない活動を切り捨てることによって成長できる
・成長の最適点を検討しておく必要がある。それ以上成長しようとすると、資源の生産性が犠牲になる点。収益性を高めようとすると、リスクが急激に増大する点

成長への準備
・成長するには、トップが自らの役割、行動、他社との関係を変える意思と能力を持つ必要がある
・急成長した企業のトップは部下を自慢にするが、それでいて、どの部下も準備ができていないと感じるようになる。これが変化の必要を示す兆候である。変化すべきときがくると、部下に大きな責任を与えたり、重要な分野を任せたりすることのできない理由を探す。これはトップ自身に準備ができていない証拠

■イノベーション

明日のイノベーション
・イノベーションのできない組織は、たとえいま確立された地位を誇っていても、やがて衰退し、消滅する

イノベーションの意味
・イノベーションとは、組織のなかではなく、組織の外にもたらす変化
・それゆえに、イノベーションは常に市場に焦点を合わせなければならない

イノベーションの力学
・需要の増大にも関わらず収益がのびないときは、工程、製品、流通、顧客ニーズを変えるイノベーションが大きな成果を生む
・すでに発生していながら、その経済的な衝撃がまだ現れていない変化が、イノベーションの機会となる
・もっとも重要な変化が、人口構造の変化

イノベーションの戦略
・既存のものはすべて陳腐化すると仮定する
・イノベーションの目標は高く設定しなければならない。成功率10%程度のために、1つの成功が9つの失敗の埋め合わせをしないといけない

イノベーションの姿勢
・重要なことは、変化が例外でなく規範であり、脅威でなく機会である と定義すること
・イノベーションとは、トップマネジメントの姿勢であり行動

イノベーションのための組織
・イノベーションの探求は、既存事業の管理とは切り離して組織しなければならない
・既存事業においては、いまいる場所から行こうとする場所へと仕事を組織する
・イノベーションにおいては、行こうとする場所からいましなければならないことへと仕事を組織する

■結論
・マネジメントは成果をあげるためにその地位にある
・マネジメントの正当性の根拠は、人の強みを生産的なものにすること。これが組織の目的である
・組織とは個としての人間1人ひとりに対して、また社会を構成する1人ひとりの人間に対して、何かしらの貢献を行わせ、自己実現させるための手段
・「個人の強みは社会のためになる」

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