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レビー小体型認知症の母の病状

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2008年〜 レビー小体型認知症の母の記録です。起立性低血圧、意識喪失、パーキンソニズム、不機嫌等々、あらゆる不調について。
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記事一覧

秋の空 秋の風

秋の空 秋の風

2008/08/29
(この記事は2008年のものです)

どれだけ大雨が降るのかと心配していたら、午後、いつのまにか晴れ渡り、久しぶりに青空を仰ぐことができた。

午後の仕事を終えてから、母のいる介護ホームへ向かった。行く途中帰る途中、空と雲の美しさに夢中になる。

ホームへ着いて母の部屋の扉を開けると、看護師と介護士の女性スタッフが、母の足元に跪いて寄り添っていた。

母はポータブルトイレに座

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八月の終わり

八月の終わり

2008/08/31
(この記事は2008年のものです)

長かったんだかあっという間だったんだか、自分でもまったくわからない八月の、最終日。おまけに日曜日だったりして。

「私、七月には歩けたでしょ。八月には寝たきりよ。九月になったらもう、後がないじゃない…」

今日の母は思いっきり鬱で、目にうっすら泪をため、小さな声で呟くばかりだ。

ホームの中の、大好きなスタッフが辞めてしまうこと。ひとり個

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減薬

減薬

2008/09/05
(この記事は2008年のものです)

母が介護ホームに入所して、今日初めて内科医の回診があった。都内にいくつかのクリニックを持つグループで、主に老人介護ホームと連携した形で訪問診療をしているところだ。

初回の回診に立ち会ってとの要請で、私は朝からホームでスタンバイしていた。ホームのスタッフさんから「竹之内豊に似たイケメン」と聞かされていたが、ほんとにドクターはえらく綺麗な顔

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食べたくない!

食べたくない!

2008/09/06
(この記事は2008年のものです)

「ああ、もう、ご飯食べたくないっ!」と、眉間に皺を寄せて、母は言う。「ここのご飯は不味いわね」って。入所当時は「料亭並みの味」って言ってたのに、どんどん味覚も変わり、食欲も落ち、「モソモソしたものは食べられないのよ」と言う。

だからおやつに出るドラ焼きなんかは、見たくもない。ホームの手作りの抹茶ムースはやわらかいけれど、「甘すぎる」と言

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入院

入院

2008/09/09
(この記事は2008年のものです)

母のいるホームの看護師の判断で、昨日ドクターSに往診してもらった。母のお腹があまりにもパンパンで、しばらく便も出ていないから。ドクターSは、腸閉塞の疑いもあるとして、母が入院していた病院に連絡をとり、母を搬送することに決めた。

私は昨日の昼間、ヨガを終えてトイレを済ませ、さあ帰ろうとしていたところへ姉から携帯に電話。急遽新宿からタクシー

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疲労

疲労

2008/09/18
(この記事は2008年のものです)

病院からの帰り道、自分がどうしようもなく疲れていることに気づく。

一昨日まで口数が多く、空腹を訴えていた母が昨日、朝からまた発熱した。お昼頃には38度台になったらしく、血液検査の結果、肝臓の数値が著しく悪化していることが発覚したとのことだった。

昨日の夕方4時半ごろ、病院に到着した時、ベッドは空っぽだった。ナースに訊くと、検査に行っ

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「優しい、いい子だよ」

「優しい、いい子だよ」

2008/09/19
(この記事は2008年のものです)

母の熱は7度ちょっとまで下がった。ベッドに横たわる母は、以前と同じ顔をしている。だけど今回入院して変わったことは、寝ている時間が増えたということだ。母はぼんやりと宙を見つめ、そして次の瞬間には静かに寝息をたてていたりする。

姉の話によると、母は昨日病室を訪ねた人を全部はよく憶えていないらしいので、「Rが来たのは憶えてる?」と、息子の名を

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だけど心は生きている

だけど心は生きている

2008/09/21
(この記事は2008年のものです)

母のベッドサイドには、蓄尿の袋がぶら下がっている。昨日の夕方以降、いつからかはわからないが、母は導尿されていたのだ。「オシッコが出なくなったの」と母は言う。

母の腕には点滴の管、胸には心電計が装着されていて、細い管が何本も絡み合っている。心電図はナースステーションでモニター監視されている。下半身からは導尿の管だ。身体中管を装着されて、母

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感情

感情

2008/09/23
(この記事は2008年のものです)

また母の話題?

そうよ。だってこれしかないもの。そうはいっても私だって、何も毎日毎時毎分毎秒、母のことを考えているわけではないですからね。違うことだってしてるもの。

本来の仕事だって、息子の学校のクラス委員のつまんない仕事だって、それから時々は友達に会ったり、電話で長話したり、蜘蛛と闘ったり、してるからね。

とはいえね…。

今日も

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秋分の日

秋分の日

2008/09/23
(この記事は2008年のものです)

9月23日。今日は秋分の日だってね。
東京は陽射しが結構暑かったけど、それでもやっぱり爽やかだった。

見上げるといつのまにか、すっかり秋の空。ふん、チャッカリしてるのね。なんて気になったりもする。季節に置いてきぼりにされたような気持ちになると、そんなつまらないことも言いたくなる。

これは母の入院する、中野の病院の前から見上げた、今日の

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秋の日に、笑う

秋の日に、笑う

2008/09/24
(この記事は2008年のものです)

朝から空がきれいすぎる。

私の部屋からは空は見えないので、曇っているのか晴れているのかさえわからないんだけれど、外へ出て空を見上げたとき、いきなりこんなに青空だったりすると、自分を不運な女のように感じてしまうのは私がいわゆるマイナス思考な人間だからか。

昨日も今日も、秋の空だよ。
わかってはいたけど、やっぱりいつのまにか秋なんだよ。

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病院

病院

2008/09/26
(この記事は2008年のものです)

今日の母は静かで、幻覚や妄想が激しく、とても淋しがりやだ。「もう帰っちゃうの? もっといなよ?」と顔を曇らせる。

昨日の夕飯から、食事が始まった。18日ぶりの食事だ。ドロドロの糊のようなお粥と、少しのお汁、やわらかいおかず。

今日の昼食も同じようなもの。お粥には味がないと言い、海老しんじょのあんかけは、ひとくち口に入れたら、ベーっと吐

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次のステップへ

次のステップへ

2008/10/01
(この記事は2008年のものです)

今日は都民の日でお休みだから、少しゆっくり寝ようかなと思った。昨日の夜中、寝る前になって、どうしようもなく身体がだるくなり、肩こり、関節痛、手の指まで痛くって、必死の思いで髪を乾かし、歯磨きをして、ベッドに横たわった。

朝目覚ましよりも先に目覚めると、激しい頭痛。腰痛。
ダルイ。どうしようもなく。熱は7度2分、喉も痛くないのに、なんでこ

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母との会話

母との会話

2008/10/02
(この記事は2008年のものです)

「なに足音忍ばせて来るのよ?」
   「今日はスニーカー履いてるから、足音がしないだけだよ」

「アンタが来てくれるのが、いちばん落ち着く」

「明日の予定はどうなってるの?」
   「明日も来るよ」
「午前の部? 午後の部?」
   「どっちがいいの?」
「午前の部!」
   「じゃあ、午前の部に来るよ」
「12時5分前じゃ、イヤなの」

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