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誰もが知る、あのスーパースターの半生を描く。

2023年9月、ニューヨークのNEIL SIMON Theatreで
「MJ」を観劇しました。
今もニューヨークで公演中です!

第75回トニー賞で4部門を受賞し、
新作ミュージカルとしては最多受賞となったMJ。
観劇ブログとかを読んでいると賛否両論あったけれども、個人的には観てよかった作品!

物語はその名の通り、
マイケル・ジャクソンの半生を描いたミュージカル。
「Moulin Rouge!」ぶりのジュークボックス・ミュージカルで
全曲マイケル・ジャクソンの曲たち~!

半生を描くって?

物語は1992年のデンジャラス・ツアーの制作過程を、
MTV撮影クルーが密着取材している、いう設定で展開されていきます。

いわゆる開演時間になって、開始ブザーが鳴って幕が上がるのではなく、
開場時から既に幕はあいていて、デンジャラス・ツアーのリハーサルをしているシーンを客席から観ながら開演を待つというスタイル。
新しい!!
思わず、
「え?開演前だけどもう演者がステージにいる…遅刻した?!」と
一瞬焦りました(笑)
世界観の作り込み方がすごい。

こんな人が楽しめるはず!

個人的には、
「ミュージカルはそんなに…」という方でも
【ショーとして楽しめる作品】だと思いました!
客層のボリュームゾーンは40代〜50代で、
内容的にも暗い場面も多くあるので、大人向けだなと。

会場について

会場はコンパクトなので、比較的どの席からも楽しめますが、
ダンスナンバーが多いので、絶対前の方がダンスの迫力を楽しめる!
後はバンドがステージに出ているのだけれども、(オケピもある)
バンドの音の迫力が他のミュージカルとは桁違いだと思いました。
ドラムの音が、音圧が、客席にぶつかってくる感覚を体験。

そもそも似せようともしていないのではないか?

MJという誰もが知ってる人を主役にするのは、
本当に難しいだろうなあと思って、どんな作品になるのか
とても楽しみにしていました。

私の勝手な感覚ですが、日本人って【どれくらい似ているか】に
着眼してしまう
と思うのです。
例えばカラオケに行くとして、宇多田ヒカルを歌うとしますよね、
歌い出しで誰かが「上手い!!」と言ってくれるとします。
それはもちろん歌唱力としての「上手」でもあるのですが、
歌声が似ているか、似ていないかでいう「似ている」だとも思うのです。

今回でいうと、日本人の観劇ブログのコメントでは、
「MJに見えない」とか、「MJを超えられない」というコメントも若干ありました。
でも、そこじゃない気がするんです。
ミュージカルを観劇する人ならだれもが知っている俳優井上芳雄さんの観劇記事(日経クロストレンド)で、「日本だと、どれだけ似ているかが注目されますが、見た目より精神性重視なのでしょうか。」
という言葉を見かけました。

まさにその通りだなと。

似ているかどうかだけを追ってしまうと、「BACK TO THE FUTURE」のマーティンだって、永遠にMichael J.Foxを重ねてしまうのです。
目には見えていないことや、無形のものに目を向けることの大切さや楽しさを感じました。

私が観劇した日はMJ役をAramie Paytonという方が
演じていて、なんと彼は本作でブロードウェイデビューでした。
初めてのデビュー作品で、役がMJとはすごい。
もちろん彼も歌やダンス、話し方や所作もMJの特徴を細かく捉えているのですが、
それよりも演技(役作り)によって、AramieがMJに見えてきて
とても楽しかった。
「形あるもの」じゃなくて、「形ないもの」でしっかり魅了してくれました。
ダンスも含め、とにかく出演者全員レベルが高すぎる素晴らしい作品でした。

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