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ロールモデル

 『ロールモデル』

仕事を進めるうえで行動や考え方の模範となる人物のこと。ロールモデルを設定することで、目指すべき道ややるべきことが明確になり、成長の加速に期待できる。とあります。

 先日、私のロールモデルの1人というか、憧れのミュージシャンの1人、David Sanbornが亡くなりました。高校生の頃、Marcus Millerが大好きでスラップばかりやっていた頃にサンボーンのサポートで演奏しているマーカスに夢中になりました。リーダーの時のマーカスよりもサンボーンのバックでサポートしているマーカスが渋くて色気があって大好きでした。

 それからはずっとマーカスばかり狂ったように聴いていました。学校へ行く時も。休み時間も。友達と一緒にいるのに片耳はイヤフォンをして音楽聴いているくらいの音楽バカでしたね。

 高校もジャズバンド部に入っていたので音楽三昧。そんなある日、ピアニストといえばハービーでしょ?(って当時良さを理解しきれていなかったけど)そんなハービーがブルーノートに来る!ってことでバイト代をはたいて予約したのです。そうしたら、体調不良でサンボーンのバンドが変わることになりましたと。ハービーのトラがサンボーンって今の時代は考えられませんが、友達とワクワク行ってみたらやはり、ハマりました!めちゃくちゃかっこよくて圧倒されました。

 それからは、日々更にサンボーンを聴くようになりました。そんなサンボーンを高校生の時にそろそろ来日する頃だ!と学校の帰りに成田空港に出待ちというか、待ち伏せしたこともありました。空港が近くてラッキーでした。まさか、制服を着たJK(女子高生)に出待ちされてるなんて思ってもいなかったのか、ボサボサの髪に少し足を引きずりながらゲートから出て来たサンボーンはビックリしていた様子でした。今回のブルーノート行くからね!とカタコトの英語で伝えて、¥75くらいのおせんべいのお菓子渡して(何してんだか、私)写真撮ってもらってサインも頂きました。ブルーノートに来たら、楽屋に遊びに来てね、と言ってくれてもう最高に嬉しかったのを思い出しました。

 ブルーノート公演でもドキドキしながら、サウンドエンジニアのおじさんに楽屋に遊びに来てと言われたから行っていいか?と聞いてライブが終わるまで心臓がバクバクしていた思い出。「あの時の子たちか?よく来てくれたねー!」と暖かく迎えてくれたサンボーン。その後も何度か、ブルーノートに来るたびに楽屋に遊びに行かせてもらったっけ。

 そして、そんなジャズスターとの出会いで私の夢も膨らみ、アメリカに行って音楽やりたい!いつかサンボーンと共演できるくらいになりたいと思うようになり、ボストンの渡り、NYに行きつきました。サンボーンが住んでいる街に。

 その頃には音楽性も変わって来て、フュージョンよりどジャズにハマっていた私。あんまりサンボーン好きなんだ、なんて公に言ってもなかったな。でもある日、クリスチャン・マクブライドをJazz Standardに見に行った時、なんと隣に座ったのが、サンボーンではありませんか!!めちゃくちゃびっくりしてこんなことあるんだ?!ってまたあの時のように心臓の鼓動が激しくなりました。勇気を出して、声をかけました。

 「あなたは覚えていないかもれないけど、昔、空港で会った高校生です。あなたの大ファンです」と昔よりマシな英語で話すと、「覚えてるよ!」ともしかしたらリップサービスかもしれませんが、言ってくれて、どんなに嬉しかったことか。それから「赤坂にある〇〇は美味しい」とか他愛もない話をしたのですが、サンボーンとの出会いは私の人生に大きな影響を与えた出会いでした。

 その後、サンボーンが住んでいた街でミュージシャンとして暮らしたり、彼が載っていた雑誌に載せてもらえたり、演奏していたブルーノートのステージに上がったり、まだまだですが、彼は私のロールモデルです!

 ロールモデルを持つこと、そして近寄ってみることってものすごい影響力を得られるんだなと思いました。

 私もサンボーンが私にしてくれたように、誰かに大きないい影響を与えられるような人になりたいです。

 そしてサンボーン、今まで本当にありがとうございました。私が天国に行ったら一緒にセッションしましょう!

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津川久里子
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