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君の物語 22 選ばれし者

食事や飲み水、トイレの様子を把握するのは、体調管理に欠かせない。
いつもより食べる量が少なかったり
あまり水を飲まなかったりすると、心配になる。なかなかトイレに行かない時も心配になる。

ルゥの体調で気になることがあったら、まずムギに相談する。
毛並みの状態、目の色、鼻の濡れ具合、肉球の状態など細かいところ、私では気づかない小さな違和感にムギなら気付く。
それだけ普段のルゥを把握しているということだ。

お腹を触るとウン○がどれくらい溜まっているかもわかってしまう。
「ちょっとお腹をマッサージしてみようか。」とか「きっともう少しで出ると思うよ。」とか。
優しく撫でながら教えてくれる。

おとなしくお腹を触らせるのも相手がムギだから。マッサージされると、それはそれは気持ち良さそうにうっとりした表情になる。私は触らせてもらえない。
ムギが間をとりもって触らせてくれることはある。でもムギを介してでなければ許されない。

誰が見ても、ルゥにとってムギは特別な存在だった。あらゆることが彼女にだけ許されていた。

〈子猫の飼い主はムギ〉だと最初に思ったのは私だけど、そうなるように仕向けたことは一切ない。(そもそも仕向けられるのかもわからない)
ルゥが自ら選んだんだ。

子猫のルゥを保護したナミさんの言葉を思い出す。
「この猫ちゃんはきっと、ムギちゃんに会うために私の所へきたんだよ。〈ムギちゃんのところに連れて行って!〉てね。」

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