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【理解ある彼くん】生きづらい系カップルの解体新書【彼女ちゃん】

「自分は発達障害、精神疾患を抱えていて生きづらいです。
生きづらさの為、毎日死にたいと思っていました……
でもそんな自分にも、交際5年の理解ある彼くん/彼女ちゃんがいます!!
辛い時はいつだって支えてくれて、そのおかげで生きづらさがなくなり、今は毎日幸せに過ごせています♡
彼くん/彼女ちゃんに感謝です♡」

生きづらい系エッセイでは王道のパターン。クッソ腹立つよね
ぼくの周りにも、幸せいっぱい理解ある彼くん彼女ちゃん持ちの人たちがいます。
生きづらさなどないかのように、いっつも元気いっぱいに彼くんが~彼女ちゃんが~と惚気ていやがります。キエーイ

まあ私怨は置いといて、純粋に疑問に思ってる人も多いんじゃないかな?

一体、彼らはどうやって理解ある彼くん/彼女ちゃんを手に入れてるのか?
どこで出会ってるのか?
どうやって交際に至るのか?

その謎を、ぼくなりに分析してみました。

奴らの生態

出会いの場

マッチングアプリを除いての出会いの場は限られてくるよね。リアルでどうやって出会ってるの?
友達からの紹介とかじゃないとすると、彼らの出会いの場としては、
デイケアや当事者会などで知り合うってパターンが多いです。

デイケアや当事者会に参加できるまでに体調が回復すると、周囲への関心も高まります。
その中で周りとのコミュニケーションをとるようになっていくと、「この人いいな」と思える人と知り合う事が増えます。
「話しやすい人だな」「気が合うな」から始まって、徐々に「この人いいな、好きだな」という恋愛感情に発展していく。
とくにデイケアは若い人が少ないので、同世代で意気投合して恋仲に発展する事が多いです。

ぼくがデイケアに通っていた時も、カップルがたくさんいました。プログラム中もずっとイチャイチャ、帰りは仲良く手繋いで互いの家へ……キエーイ

ちなみにデイケアや当事者会は、あくまで自分の療養や自己理解の為に通ってる人が大半だけど、男漁り女漁りを目的に来ているような不届き者もいるから気をつけよう。

交際に発展

一緒に話す事が増え、お互い「良いな」と意識し合うと、自然と交際に発展します。
その過程は健常者でも同じだけど、生きづらい者同士のカップルの交際において、
「わたしたち、繋がってる」感は健常者カップルよりも特殊な感じです。

共有しているものが、個人のパーソナリティに関する事柄だから。

発達障害、精神疾患、うつ、引きこもり…このようなマイノリティに属するパーソナリティを抱えていると、同じ境遇の人と辛さや悩みを分かち合いたくなるもの。
ハンデを抱えながらも前を向く同志として、親近感や共感を抱きやすい。
また、発達障害者同士はお互い惹かれやすいとも言われます。

お互い生きづらい当事者同士なので、共感し合える。
「生きづらい者同士、一緒に支え合っていこう」といった感じ。

自分を受け入れてくれる優しく理解ある彼くん/彼女ちゃんができて幸せ、蜜月の日々…
もちろんうまくいくカップルもいるけど、破局が多いのも事実。

理解ある彼くん/彼女ちゃんの落とし穴

共感できるからといって理解できる訳ではない

お互い生きづらい者同士、共感できて分かち合える…と言ったけど、
あくまで共感できるってだけで、理解できてるという訳ではない事に注意。
その共感も、「僕/私も生きづらいよ~、分かるよ」という意味でだけなのがほとんど。

発達障害といってもASDとADHDでは違うし、同じASD同士でも特性の出方や症状は人それぞれ。
同じ困難を抱えているからといって、互いに障害や特性を把握・理解し合えている訳ではないし、必ず受け入れ合えるとも限らない。

例えばASDの彼氏と、ADHDの彼女のカップルがいるとしよう。
お互いの個性に惹かれて交際がスタートしたけど、しだいに互いの悪い面が気になるようになる。
彼の空気読めなさを彼女が許せなくなる。
彼は彼で、彼女の衝動性についていけなくなる。
「個性的で素敵な彼だと思ったのに…」
「彼女の自由奔放さに惹かれたはずだったのに…」

こうなったとしても、しっかりお互いが話し合う等して受け入れ合えればベストだけど、
それができるカップルは少ない。難しい問題だからね。
結局うまくいかなくて破局…というパターンが多い。

最悪モラハラに発展したり、カサンドラ化したりする事も。

共依存の闇

破局以上に怖いパターンが、共依存
片方の症状が重く、相手が「理解」しようと頑張るものの疲弊、共倒れ。
お互いズブズブに依存し合い、僕たちわたしたちの世界に耽溺して共倒れ。

こういう共依存は、第三者の助けが必要な状況なのにも関わらず、二人だけで乗り切ろうやっていこうとすると起こりがち。
愛だけでどうこうできる問題じゃない。

療養中の身では、まだまだ体調やメンタルに不安を抱えている事が多い。
精神的に不安定になりがちだから、依存の不安もあります。

こういった状態で深い人間関係を築くと、相手に影響されて余計に症状やメンタルを悪化させてしまう事にも繋がりかねない。
とくに恋愛というのは些細な事での一喜一憂が激しく、メンタル面への影響がハンパない。

彼彼女からの既読がつかないというだけで、もう自分はいらないんだとか生きてる価値がないんだとかになってしまう。

療養中の恋愛はあまりにもリスクが大きすぎる。

精神面への悪影響が強すぎるから、デイケアや当事者会では「利用者・参加者間の連絡先の交換は全面禁止」のところが多いんです。
まあ、実際は隠れて交換し合ってるんだけどね…

話せる人ができたとしても、深い仲になるのはやめた方が安全。
人間関係の問題は同性同士でも大変なんだから、これが異性間となるとなおさら恐ろしい。男と女のトラブルはろくな事ねえんだよ。

気になる人ができてしまうと、デイケアや当事者会に通う目的が「療養」から「彼/彼女に会う為」にすり替わる。
そうなるとどんどん彼/彼女に依存していってしまい、メンタルに悪影響が出て、結果回復や治療が遅れてしまう。

片想いで終わるならまだしも、これが両想い、晴れてカップル成立、となるともっと大変。上記の通り、共依存に陥る可能性が出てくるから。

「愛する彼/彼女を、私/僕が支える!」となったとしても、
自分の療養で精一杯の中で、相手を支えられるのか。

相手の体調が悪化した時、影響されやしないか。
互いに依存し合ってしまわないか。

そこのところをよく考えたうえで、交際していく必要が出てくる。

理解ある彼くん/彼女ちゃんを作る際に、考えるべきこと

「自分も理解ある彼くん彼女ちゃんが欲しいよ~」と思ってる人は多いと思う。
支え合っていける恋人ができると心強いし、嬉しいしね。
でも、上記で書いたように、理解ある彼くん彼女ちゃんにはリスクもある。

リスクを回避する為に、理解ある彼くん彼女ちゃんを作る際に考えるべき事がある。

体調は安定しているか

心身共に安定し、自立できているか。または自立に向かえているか。
経済的な自立というよりは、精神的な自立。
自分の面倒をある程度自分で見れている。自己管理ができている。のが判断のポイント。

依存癖を自覚できているか

「自分は依存してしまう傾向がある」人は、よく考えて慎重になった方がいい。
とくに恋愛依存はリスクが多いから、心身共に深刻なダメージを負う危険が大きい。
「自分は依存癖がある」という事をしっかり自覚しよう。

その上で交際をすると決めたなら、
・日々の体調に気をつける
・日頃のメンタルケアをしっかり行う
・恋人以外の心の拠り所や居場所を持つ(なるべく複数)
・何かあった時の相談先をしっかり確保しておく

事が大切。

どうしても恋人ができるとそれ中心になってしまいがちだけど、まずは一番に大切にするべきなのは自分である事を意識しよう。

「自分も支える」という覚悟はあるか

「理解ある彼くん彼女ちゃんが欲しい」と言うのはいいけど、自分がなる覚悟はあるか?
相手にとっては、君が理解ある彼くん彼女ちゃんだ。

相手の事を気にかけてあげられる自信はあるか。
思いやれるか。分かってあげられるか。理解をしてあげられるか。支えてあげられるか。

本当の意味での理解ある彼くん彼女ちゃんに、なれるか。

相手におんぶにだっこしてもらう気満々じゃ、すぐに破局か共依存まっしぐらだよ。

恋人というのはお互いが支え合ってこその関係。交際は楽しい事ばかりじゃないし、辛いし、苦労も多い。とくに、生きづらさを抱えながらやっていくのは物凄く大変。

良い関係を築いていく自信と覚悟がないなら、恋人なんて作らない方がいい。
自分の為にも、相手の為にも。
ぼくはこんな覚悟は持てないんで、たぶん一生独り身です。

理解ある彼くん彼女ちゃんって甘美な響きだし、「羨ましい」ってなるけど、
思ってる以上にリスクも大きい。
互いに健全な関係を築けてるカップルは、多くはないんじゃないかな。

恋人ができたからといって生きづらさが消える訳じゃないし、逆に不安材料が増えるなんて事もあるから、理解ある彼くん彼女ちゃんに全てを託すのは危険すぎるな、って話。

あーでもそれでもやっぱり理解ある彼くん彼女ちゃん欲しいけどね!ぬあにが理解ある彼くん彼女ちゃん♡じゃ、んなもん俺だっていくらだって作れるわ!!
キエーーーーーーーーーーーーイ!!!!

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