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「比較的まし」な事業所の選び方

療養を経て、「社会復帰するぞ!」という事で事業所を探している人。
どうせ通うのなら、良い事業所に通いたいよね。

でもぶっちゃけ事業所って、アタリは少ないです。良い事業所は数えるくらいしかないと思っていい。
一般的な会社と違って職員や仕事の質は低いです。
スタッフが社会人してなかったり、ろくな指導できなかったり、ひどい所だともはや組織として機能してなかったり。
とくにB型の場合それが顕著な事が多い。

それでも、比較的ましで良心的な事業所もあります。

今回はぼくの経験もまじえて、「比較的ましな事業所」の選び方をお伝えしよう。


比較的ましな事業所の選び方

変に全国展開していない

全国展開してない事業所を選んだ方が、ましな事が多いです。
1地域に本社ひとつ~数か所、または本社のある地方に数か所のような、地域密着やこじんまりとした拠点数の事業所。
例えば東京に本社があるとすれば、都内に3か所、神奈川に1か所、埼玉に1か所といったように、拠点が首都圏内に収まっているような具合。

拠点がポンポンできる様子が見られない事業所は、今ある拠点への一極集中した運営ができていると考えられるので、経営状況や運営の質も比較的安定していると捉えられます。

全国展開している事業所というのは、たくさんの拠点を抱える為に運営の質が分散されがち。
本社が拠点の面倒を見られず運営がおろそかになるなどの問題が起こりがちです。
フランチャイズ運営である事も多く、質が悪い事も多いです。

全国展開していても、運営元が実績ある大手企業

全国展開している事業所でも、運営元がしっかりとした名のある大手企業の場合はまだましな事が多いです。
大手だからといって安心だ安泰だは違うけど、大手企業という事はちゃんとそれなりの実績があり、社会的に名が知られているという事。
最低限の質の保証はあり、何かあった時の対応も比較的スムーズです。

運営元がよくて中堅、悪くて立ち上げたばかりのベンチャー企業だったりしたら要注意。
補助金目当てのいわゆる「障害者ビジネス」な事があるから。
就労支援なんてはなからする気がなく、ただ拠点と利用者を増やして金儲けするのが目的の悪質企業。
当然ながら質はお察しです。

そもそも全国展開なんてLITA〇ICOなどの大手企業ならともかく、そこらのベンチャー企業がそう簡単にホイホイできる訳ない。
名も実績もないのに急速に全国展開してる事業所があったら、なんかしらの裏があると考えていい。
(事業所ビジネスってのはけっこう闇が深くて、事業所は一般的な会社と違って簡単に開業ができます。だから悪質や落ち目の企業はこぞって福祉事業に参入するワケです)

こういった拝金主義の悪質企業には気をつけてね。

利用者へのサポートが整っている

事業所なら言わずもがななところだけど、驚くことにこれが全く整ってないとこもあるんです。
精神保健福祉士や生活指導員がいなかったり、酷いとこだとスタッフ全員福祉経験ゼロだったり。そんなんで運営できんのかって?恐ろしい事に運営してます。
そんな事業所に当たってしまうと、体調を悪化させてしまう事にも繋がりかねません。

社会復帰するにあたって、事業所での安心安定したサポートは必要不可欠。
ケアやサポートの体制が充実しているか、しっかりと確認しよう。

・福祉従事経験者のスタッフは何人いるか。
・常勤の精神保健福祉士は何人か。
・生活指導員や作業療法士、カウンセラーはいるか。何人在籍か。
・事業所と提携している病院はあるか。
・身体障害や難病等で介助が必要な場合、看護師はいるか。人数や勤務体制はどうか。
・定期面談はあるか。
・利用者に対してスタッフの数はどのくらいか。スタッフの男女比や年齢比はどうか。

ここらへんを重点に確認をとろう。

ちなみに、「ピアスタッフ在籍」と載っているとこがあるけど、
ピアスタッフとは「障害の当事者でもあるスタッフ」という意味です。
同じ当事者目線での支援はありがたいって思う人もいるかもだけど、
あくまで当事者であるってだけで、彼らが精神保健福祉士等の資格を持っていたり、福祉経験がある訳ではない事には注意です。

いくら当事者といっても、その場合支援に関してはただのズブの素人なのでアテにならない。
なのでピアスタッフの有無に関しては、あまり重視する必要はないです。
酷いとベテランの利用者を「ピアスタッフ」として載せているなんてとこもあるから…

それよりも確認すべき事は、精神保健福祉士やカウンセラーの在籍状況、病院との提携といった支援体制が整っているかどうか。
ここらへんがしっかりしている事業所はアタリといっていい。

就労支援が充実している

これも言わずもがな。就労支援をしてない事業所なんて事業所じゃない。

・就労に向けた作業ができるか。
・カリキュラムは充実しているか。
・スタッフは知識や技術を持っているか。また、適切に指導してくれるか。
・取得できる資格はあるか。その際サポートは受けられるか。
・実際に就職した利用者はどれくらいいるか。

自分の目標とするステップアップができる場所かどうか、よく照らし合わせよう。

また、見学や体験の際にこれらを確認するのと同時に、
利用者やスタッフの様子も注意深く見てみてください。

利用者とスタッフの距離感が適切

あまりにも対応が事務的すぎるのは温かみがなくて抵抗あるけど、
かといって距離感が近すぎるのも問題です。

事業所のノリが大学のサークルのようなところは、公私混同が多い。
そういうとこは「スタッフのお気に入りの利用者ばかりがひいきされる」なんて事も多いです。
スタッフ間や利用者の私語雑談が目立ったり、ニックネームで呼び合っていたり、
事業所全体に慣れ合いの雰囲気を感じたら、なるべくそういうとこは避けた方が無難。

スタッフを無作為に募集していない

「通おうとしている事業所+求人」で検索をかけて、
その求人を確認しよう。

ブラック企業にも言える事だけど、
やたらいろんな求人サイトに募集かけてたり、そのどれもが未経験OKや学歴不問だったりな場合、その事業所のスタッフの質は悪いのが察せられる。

常勤スタッフが多く、人手が充分に足りている事業所を選ぼう。
スタッフの入れ替わりが少ないかもチェック。
人手不足なとこはやっぱりサービスの質も悪いです。

スタッフが定着しているという事は、勤務体制や状況が良いって事だからね。

スタッフの8割9割が福祉経験者

福祉経験者が職員の大半を占めているようでないと、その事業所は事業所としての機能を果たしてません。
福祉経験なしのスタッフばかりなんてとこはまず地雷。

その状況で「未経験OK」なんて募集かけてるとこもある。未経験者が何を教えられるってんねん。
専門的な仕事で未経験者大歓迎のとこは大抵地雷。

事業所のスタッフ募集案件についてもチェックしとこう。
それで事業所の状態がなんとなく察せる。

連絡や対応が早く、しっかりしている

見学や体験の問い合わせや予約の際、
折り返しの連絡が早く、しっかりとした対応の事業所を選ぼう。

体験の予約が確定したのに、後になって「この日は無理だから別の日に調整してくれ」とか言ってくるところもあります。
もっと酷いと連絡すら来ないとこも。
管理ができてない証拠なんでこの時点でやめとこう。

食事が旨い

食事が美味しい事業所は、アタリの事が多いです。
食事の補助が手厚い所は、利用者の体調にも気を使ってるという事にもなるからね。

食事提供は有料の所が多いんだけど、たまに無料で提供してくれる所もあります。
その場合工賃から引かれてるってのが多いけど、たまにガチで無料提供のとこもある。

やっぱりご飯が旨いところは良いところが多い。
見学や体験の際お昼ご飯がでる場合、
ご飯はあたたかいか、おかずはしっかり栄養バランスがとれているか、そこらへんをちらっと確認しておくといいかもです。

クリエイティブ系の事業所の選び方

デザイナーなどのクリエイティブ系の事業所に興味がある人は多いと思います。

ぼくもクリエイティブ系の事業所に現在進行形で通っているけど、やはりスキルと実績を積むにあたっては、堅実で将来性のあるところを選ぶべきだと思っています。
二の舞にならないよう、「比較的まし」なクリエイティブ系事業所の選び方をまとめました。

掲げるクリエイティブに現実味がある

クリエイティブ系の事業所は「スキルを身につけて仕事に繋がる」などと謳ってる事が多いけど、
その身につけられるスキル、目指せる職業に現実味があるかどうかチェックしよう。

現実味がある
webデザイナー、デザイナー、プログラマー

職業としてのニーズも高いし、スキルを身につければ就労の幅も広がる。

堅実な感じで載せてるとこはまだ現実味がある
動画クリエイター、イラストレーター、モデリングクリエイター、ライター

専業でやってくには不安定だけど、副業としては役立つ。複数のスキルを持ってると有利。

地雷臭
Vtuber、アニメーター、声優、ボカロP、プロゲーマー、ハンドメイド作家

学んでなれるようなもんじゃないし、ガチプロでもやってくのは大変なんだぞ

職業じゃねえ
コスプレイヤー

職業…?レイヤーって職業なのか…………?

上記にあげた中で、検討すべきなのはよくてイラストレーターあたりまでにしておこう。
声優とかプロゲーマーって何だよって感じだよね。コスプレとかもガチで言ってるとこあったぞ……

専門学校でも同じだけど、あちらは一応講師がいるし、業界とのコネクションもある(一応)
でもたかが事業所にそんな環境が整ってる訳がない。国や行政からの補助金で成り立ってる就労支援施設のどこにそんな豊富な設備やコネがあるのか。
一介の事業所に何ができるというのか、よく考えたら分かると思う。

最近クリエイター系というか、サブカル系の事業所が増えてきたけど、その手の職業なんて専門行っても難しいのに、事業所でなんてなおさら目指せる訳ない。

プロクリエイターなんて在籍してないし、就労に繋がるコネクションなんてはなからありません。

ぼくも一時期つられちゃったけど、サブカルをウリにしてる事業所はほとんどが悪徳業者。
情弱なオタク障害者を釣る為なら何だって書くんだよ。

ホームページが信用できる

ホームページがカラフルでアニメ的でも、
事業所の概要がしっかり載っているところは比較的まともです。

・事業所と本社(運営元)の所在地
・事業所の沿革
・事業内容
・代表の紹介(顔写真つきで本名で載ってると比較的信用できる)

等がしっかり掲載されていて、引っ掛かりなく読めたらある程度は大丈夫。

怪しいのは、
・本社や運営元が載っていなかったりあやふや
(載ってても一番下とか分かりにくいとこに書いてある)
・事業内容が謎
(具体的にどういう事業なのかが分からない、事業が多岐に渡りすぎ)
・代表がアニメキャラ
(何者なのか、どういう経緯で事業所を立ち上げたのか見えてこない)

ホームページがやたらとガチャガチャしてたり、萌えキャラで埋め尽くされてたり、
「君もクリエイターになれる!!!!」の謳い文句で全開のとこは選ばない方がいいです。
万が一そういうとこに入っちゃっても、それ以降は怪しいのを察せられると思う。

実際にクリエイティブの実績がある

クリエイターとしてのスキル、実績を積むには、やはり実績ある場所での経験が必要になります。
その為、利用者がクリエイターとして輩出された例がある、利用者の作品が多く世に出されているなど、事業所がクリエイティブとしての実績を果たしているところを選ぶべきです。

・利用者の作品が企業とコラボしてグッズとして販売
・事業所で制作された音源やデザインがイベントや外部で使用
・障害者アートとして展示会を開催
・カフェやギャラリーに発表、展示。そこでの原画やグッズ販売

HPで利用者の作品紹介をしている事業所も多いので、それらがどういうところで使われているのか、どういった形で世に出ているのか、一通り調べておこう。

また注意点として、クリエイティブ系の事業所は「こんな活動をしています!」「こんな仕事ができます!」と多岐に渡る活動内容を載せている事が多いんだけど、
実際はそんな活動していない、名ばかりのプロジェクトだった、って事もあるので注意しよう。

この見分け方として、
事業所がやたらいろんな媒体に手出してるところは注意すべき。

例えばイラスト・CG制作がメインなら、それに関連づくデザイン、モデリング、アニメ動画制作にも活動媒体を広げるのは分かる。
なのにそれらとはまったく関連のない事業、保護猫活動だったりメイド喫茶やってたりとかするのは「?」って思うよね。

こういった掲げているものに一貫性のないところは、ひとつひとつの活動がなあなあ、おざなりです。
利用者を釣る為にあれもこれもできるよーなんて言ってるだけなので、蓋を開ければ何の実績もない、名ばかりのお仕事案件だった、ていう訳。

「いろいろ載ってるけど、結局どんな事やってるんだろう?」と疑問を抱いたら、そのプロジェクトや仕事内容について検索したり、掘り下げて調べてみよう。
しっかりとした実績が載っている、出てくるのならいいけど、調べても何も出てこない、実態が謎、という場合は、利用者釣りの過大広告の可能性が高い。
しょせん名ばかりなので、スキルも実績も積めません。文化祭のノリのような「クリエイターごっこ」として終わります。

名ばかりプロジェクトには注意しよう。

事業所関係ない全くの「外部」企業からの依頼受注がある

クリエイティブ系の事業所の場合、提携している外部企業から依頼を受注する事があります。

ただここで注意してほしい事があって、この「外部企業」、「外部」といっても実は全くの他社ではない事があるんです。
事業所とは一切関係のない「ガチの外部」企業ではなく、よく調べると事業所の系列や運営元の関連企業だった、なんて事があります。

その提携先が「全部系列企業」だと、全く仕事のモチベーションが上がりません。

仕事の依頼はその系列企業だけからしか来ず、内輪だけでのやり取り。
ガチ外部企業や団体との共同企画だったり地域コミュニティやイベントへの参加参入がある訳でもなく、
ただひたすら事業所と系列企業とを行ったり来たりするだけの内輪サイクル。

要するに、内輪の系列企業との間で仕事を適当に作っているだけなのを、
「外部からの依頼」として謳ってるって事。

自家発電自家消費じゃないかい!!
なにが依頼じゃ…

別にただ仕事がしたいってだけならこれでもいいのかもだけど、
これじゃあまりにも社会貢献している感覚がない。

内輪のサイクルじゃ成果が世に出てる感がないからモヤモヤする。
いくら仕事をこなしても事業所内だけで完結、消費されるだけじゃ萎える。
それが続くとだんだんとフラストレーションが溜まり、意欲が低下していきます。

負の感情が多くなるとクリエイティブにも苦痛を感じちゃうから、
そう感じて辛くなる事が増えたら、事業所を変えるなり個人の創作活動を充実させたり、別の手段をとる事をおすすめします。

ちょっと話がそれたけど、クリエイティブ系の「外部企業」にはこういった実例も多いから注意した方がいいです。
酷いところだと名ばかりで実態のない内輪企業や団体をたくさん作り、それを「外部企業」と謳っているとこもあるから気をつけよう。

事業所が紹介している「提携企業」「外部企業」について、内輪っぽいのかガチの外部企業なのか、依頼にあたりガチ外部との接点はあるのか多いのか、よく調べる事をおすすめします。
まあこういうのは入ってから分かる事が多いんだけど。

まとめ

長くなったけど、以上がぼくなりの観点で見た「ましな事業所の選び方」でした。
結局は入ってみないと分からないけど、あきらかにヤバいところは通所前に察せられる事も多いと思います。
新たに気づいた点があったらその都度編集します。
(2023.8.15追記)

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