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『障害者ビジネス』について当事者が思うこと


就労支援事業所をはじめとした障害者ビジネス

就労支援事業所など障害者福祉施設は、金儲けの為だけにできているところも多いです。
もちろん、福祉で金儲けをしてはいけないって事ではないし、施設である以上事業所も運営の為に利益を意識しなければいけないところはあるから、儲けを追求する事は一概に悪いとは言えない。

問題になってるのは、支援や運営体制が満足に整っていない、
就労支援も福祉支援も何一つせず、できず、実績も出していなければ出すつもりもない、
ただの補助金目当てで利用者と拠点だけを増やす悪質事業所

大量に利用者をかき集めて適当に囲い込みして、国からの補助金タンマリゲット!
こういうのを『障害者ビジネス』といいます。

社会にとっても利用者にとっても何一つ良い循環を生まない悪質事業所の噂を、見聞きする人も多いと思う。
ぼくも実際、この障害者ビジネスを行う事業所に引っ掛かりました。

クリエイティブ系サブカル系の事業所が増えてきて話題の時期で、ぼくが通い始めた事業所も人気の所でした。
最初は本社と拠点が全国に2,3か所、これからみんなと一緒に頑張っていくぜ‼な新鋭感が期待できました。

それから事業所にはどんどんと新規拠点、新規関連施設ができていき、一年後には全国に拠点を抱える大手となりました。
それだけたくさん拠点ができるって事は、事業所の実績が上がってきたんだろうなあと思ってたんだけど、
だんだんと「ん…?」と違和感を感じるようになり、徐々に不信感に変わっていきました。

実績が上がってきたはずなのに、何故だかぼくたち利用者に入ってくる仕事は増えず、工賃も上がっていかない。
就労の相談をしてもはぐらかされる。就職した利用者が出てこない。
立ち上がったはずのプロジェクトが、いつの間にか消えている。企画がうやむやになって流される。
関連施設の名称が急に変わる、突然閉鎖される。

事業所内の福祉資格者はサービス管理責任者ただ一人で、他は全員ド素人。
福祉や就労支援に関する知識ゼロ。
職員が技術を教えられない。
就労支援の意味もやり方も知らない職員、障害者への興味も理解もなく偏見まみれの職員、社会人大人としての常識を疑う職員。

事業所の実績も事業内容も展開も、なんだかよく分からない。管理体制が謎。
利用者と拠点だけが、ただわんさか増えていく…

後々知ると、拠点や関連施設はフランチャイズで運営されていました。
本社が事業所の名義を貸し、子会社的に開業、運営する方式。
最近はこのフランチャイズ運営も多いです。

フランチャイズ運営が全て悪、とは言い切れないけど、
こういう運営体制は事業所の責任や所在がよく分からず曖昧、うやむやになりやすく、どういう身元の個人、団体が運営に関わっているのか分からない。
詐欺師集団・反社会系組織が参入してくる事もありうる。


運営に疑問を感じて去っていった職員や利用者も多く、ぼくも見切りをつけて辞めました。
最初から金儲け目的で運営されていたのか、補助金の旨みに味をしめて拝金主義と化したのかはさておき、障害者ビジネスというのはこういうものだ、という勉強にはなりました。

障害者をダシに使って、ラクにお得に儲ける障害者ビジネス。
就労支援も福祉支援も真剣にしなくたっていい、ただ体制を整えて利用者を大勢集めて入れるだけで、国から安定した金が入ってくる。
旨い儲け方だよね。

『専門知識なしで簡単開業!』『年間収益1000万超えも可能‼の文字がデカデカ掲げられた開業案内パンフレット、それに群がる胡散臭い起業家たち。
心の底から虫唾が走りました。

結局、事業所なんて場所は健常者の金儲けの為にあるんだなと思い、福祉不信にもなりました。
障害者ビジネス、なんとも闇が深いです。

私腹の為か、社会の為か

単純に「福祉で金儲け」と聞くとイヤなイメージをもつ人も多いけど、福祉とビジネスを結びつける事自体は悪ではないし、むしろビジネスとして売り出し利益を生めば、結果利用者や社会にとって良い事になる。
大事なのは、障害者と社会にメリットを生むかどうかなのだ。

「福祉で金儲け‼」という事例としては、障害者アートがその例。
利用者をアーティスト、ビジネスパートナーとして支援し、彼らの作品や能力を商品、労働力として売り出す。
結果利用者にとっては賃金の取得・社会参加になるし、社会にとっては経済の循環・多様性社会への貢献になる。

このようなwin-winの利益を生み出せるのなら、当事者としても障害者ビジネスは大いに歓迎なのだ。

だけど前にあげたように、ただ運営者が金儲けするだけの悪例が多すぎるから、障害者ビジネスは嫌悪されるのだ。

ぶっちゃけ腹の底では「儲けたいから!」でも全然かまわんのよ。それが資本主義だからね。
ただビジネスを謳うなら、それ相応の利益を社会にもたらしてほしい。

「ただひたすら障害者の為、社会の為に、事業所を立ち上げました」なんて人はいないだろうし、福祉に携わる人には純粋に崇高な使命と思いを持っていてほしい、なんても思わない。


腹の底では「金儲けしてえなー」と鼻くそほじってて構わんから、
障害者福祉ビジネスで売り出した以上は、しっかりと障害者支援・社会貢献をしろ。
「社会の為」と謳い文句を出している以上、社会の為に利益を生め。

てめえ一人が私腹肥やす為に血税が使われてるなんて、日本国民キレるぜ。


障害者ビジネスに利用されない為に

こういった悪徳事業所の囲い込みを受けない為には、福祉に頼りきりにならない働き方生き方を、自分たちで考えてやっていかなきゃいけないと思ってます。
もちろん障害を持って生きづらさを抱える中、福祉支援は必要だし、福祉になんて一切頼らない!となってしまうとかえって自分を追い詰めてしまう。
ただ、選択肢が福祉だけしかないと、福祉団体や事業所の囲い込みを受けやすくなってしまうし、悪質な障害者ビジネスの食い物にされてしまう事にも繋がる。

身を守る為に大切な事は、知識を身につける事と主体性をもつ事

事業所が面倒見てくれると受動的になるのではなく、自分で主体性を持って取り組むこと。
社会の仕組みや就労に関しての知識を身につけること。
事業所以外の居場所や選択肢を見つける、コミュニティを作ること。

頼れそうな福祉の場は、複数もつこと。
事業所が言うことを、すべて鵜呑みにしないこと。
疑問点はしっかり調べること。
おかしいと感じたら逃げる勇気をもつこと。

居場所はその事業所ひとつだけじゃないし、
事業所をやめたからといって就職ができない訳でもない。

それはクリエイティブ系の事業所でも同じ。

最近は事業所も多様化して、ITやクリエイティブに特化した事業所も多い。
本気でクリエイターの技術を学びたい、仕事に就きたいと思って入ってみたら、実態は悪質障害者ビジネスで将来への活路を絶たれて落胆って人も多いと思う。
ぼくも期待して入ってしまい、「事業所でスキルを身につけて、売り出してもらってクリエイターに…」という野望が打ち砕かれて絶望しました。

事業所は「プロクリエイターが指導します、仕事に繋がります!」などの広告を出しているので、文面から専門学校のようなイメージを期待して釣られます。
騙されて自己嫌悪に陥ったり、将来への希望や活路を失って路頭に迷う人も、ぼくの周りでも多かったです。

障害者ビジネスではなく、しっかりとスキルを指導、就労を支援してくれる優良な事業所も中にはあるけど、事業所が優良か悪質か見分けるのは難しく、また100パーセント理想通りの環境はないので、短期間に何度も何度も事業所を転々とする羽目になります。
それを繰り返す中で自信を失ったり、福祉不信や人間不信に陥る事も。

ぼくも「事業所でクリエイターになれなかったら人生終わりだ!」と病みました。
就労できず一般的な職種に興味が持てないできない身ゆえなんとかして事業所でクリエイターになってフリーランスで独立したい!という中、その道が絶たれた事で将来への展望を失ってしまいました。

だけど、なにもその事業所をやめたからといってクリエイターへの道が閉ざされた訳ではないし、
スキルを学ぶ場や活動場所は事業所以外にもたくさんある。

事業所に頼らなくたって自分で仕事を見つける事はできるし、実績を積んでいく事だってできる。

自分をクリエイターにしてくれるのは事業所ではなく、自分自身という事を意識できるようになってからは、事業所への執着がなくなったし自分で考える力、行動力ももてるようになりました。
事業所への依存がなくなった事で、他に目を向ける大事さや余裕も生まれました。


だから、クリエイティブ系の事業所に騙され、もう自分はクリエイターにはなれないんだ…と落ち込んでいる人は、どうか諦めないでほしい。
事業所なんてなくたって、クリエイターを目指す事はできるし可能性だってたくさんあるから。

障害者ビジネスにしがみつく必要はない。


長くなりましたが、障害者ビジネスについてぼくが考えることをまとめてみました。
もちろん、しっかりとまともな運営・支援をしている事業所もたくさんあります。
だけど、上記のように、劣悪で悪質なところも多いのが事実です。


口先だけの支援、得体の知れないビジネス、こういったものに利用されない為にも、障害者や支援者は広い視野をもって、身を守る事が大事だと思っています。
自分への戒めもこめて、今回まとめさせてもらいました。

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