くりちょこ編集委員会のコピーのコピー

何をすべきか? をサービスの特性から考えてみる

サービス業だと仮定して。

医療はサービス業かどうかに異論がおありの人もいらっしゃるかもですが、公には「サービス産業の中にある産業」だと明記されています。(平成7年厚生白書より。)
ここでは素直に医療、イコール、サービスだととらえ、サービス提供側としてできることを考えてみます。

サービス・マーケティングという考えかたがあります。

マーケティングとは、ものを売ることを考える学問ですが、マーケティングでは、売る対象が、形のあるモノの場合と、形のないサービスの場合とに分けて考えるのです。なぜなら、サービスという商品には、形のあるモノとは違った特性があるから。

たとえば、

・モノなら、事前に生産しておいて、注文があったら在庫をすぐ出荷できる。それに対して、サービスは、お客さんが来て初めて生産でき、その場で消費される。

・形として目に見えたり触れたりしないから、実際サービスを受けないと価値がわからない。

・お客にとって当たり外れがある場合がある。同じ店でも、サーブのうまい店員さんもいれば、雑な人もいたり。

などなど。

賢そうな言葉でいうと、「不可分性」とか「消滅性」とか言ったりします。このへんは有名な理論なので、興味があれば、各自お調べください。

特性がわかっているということは。

ところで、マーケティングは学問です。ですから特性が提唱されているということは、当然、それらの解決方法も提唱されているのです。

ヤバいぜ!問題だ!どうにかしないと!と意気込んだって、何が問題なのかわからないでは手の打ちようもありません。が、問題がわかれば対処の考えようがあるんですね。それを頭のいい学者さんたちが放置しているわけはありません。

たとえば、

形がないから、買う前の消費者にはメリットがわかりにくく、購買に至らない
 ↓ 
事前の説明などを工夫して、できるだけ「形があって選べる」状態に近づける。
貯蔵できないから、提供者がそのときにさばける分しか売れない
 ↓ 
同時に多数に提供できないか、1回の提供時間を短縮して多く回転させられないか、など提供方法の工夫を考える。

一般のサービスの世界では、こういった視点で、質ないし顧客満足向上や、利益向上を考えているのです。

上記のような工夫はサービスの種類によって、考慮できるもの・できないものがありますが、サービスの質をいかに担保するかはどのサービス事業でも共通する課題でしょう。提供するヒトの力がサービス業の命綱です。
質の担保をかなえる手段として有力視されているのが、サービス提供者への教育と動機づけです。

クリニックでのサービス提供者とは

さて、視点を医院に移すと、「患者の病気を治す」「患者が病気とうまく付き合うのを助ける」「患者が調子良い状態を保つお手伝いをする」といった、中核サービスの提供者はドクターです。診断も診療計画立案も治療も、医療行為は医師だけしか提供できません。

ですが、人は、レストランの評価をコックの腕だけで決めるでしょうか。
来院者が医院を評価するときに基準とするサービスは、医療行為だけとは限りません。患者さんが来院してから帰られるまで、かかわるスタッフ全員、目に映る光景すべてが、医院の評価につながります。

つまり、全員がサービス提供者であると自覚せねばならない。経営陣は全員がサービス提供者だと認識せねばならない。

それをふまえて、サービス・マーケティングの視点で考えると、従業員の教育は、「余力があれば」ではなく、必須事項の一部です。
そして医療機関で忘れられがちなのが動機づけ。医師も看護師も、ライセンスホルダーは「自己研鑽が当たり前、自分の努力は自分で褒める」ができる人種ばかりかもしれません。ですが、マネジメントを考えるときには、その基準は忘れてください。

ではどうやって教育したらいいの?(時間がないのに。)
動機づけって何?

たくさんの研究者が、いろいろおもしろい考え方を提唱しているのです。別の機会に紹介します。


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