一年の始まりに▶youco
横浜読書会KURIBOOKS参加者 youco です。
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あけましておめでとうございます。
2024年も始まりましたね。天災による波乱の幕開けになってしまいました…お見舞い申し上げます。
私は例年通り、箱根駅伝を観ております。今年は100回大会。実に丸々1世紀も、人々の興味をひきつけてやまない箱根駅伝というのは、本当に不思議な競技ですね。
そんな魔力を持つ箱根駅伝ですから、箱根駅伝を題材にした本はたくさん出版されています。
私が読んだことがあるのは、ほんの数冊ですが、中でも一番感動したのは「チーム」堂場瞬一著です。これは、もちろん箱根駅伝を題材にしているのですが、学連選抜のチームをメインに描いているところが、特筆すべき点です。(残念ながら、2024年の100回記念大会では学連選抜チームの出場はないようですが。)学連選抜チームというのは、箱根駅伝出場を逃した大学の中から、予選会で好タイムを出した選手を選抜し構成される、混合チームです。たった一回の大会のために結成される即席チームといってもいいのでしょう。
箱根駅伝では、それぞれの大学の選手が、関係者が、限界のその先まで力を尽くして本番に挑みます。なぜそんなに頑張れるのか…それは、仲間のために母校の襷をつなぐため。それに尽きます。
ところが学連選抜というのは、チーム自体、二か月ほどでで結成・解消される刹那な仲間。
「チーム」は、いろいろな考え方の個性豊かな選手をまとめる学連選抜チームのキャプテン・浦を中心に、チーム結成から本番・箱根駅伝までを描いた物語です。彼らを導く監督は、同じく箱根を逃した大学の中で、予選会のチーム成績が一番良かった大学の監督が務めます。この物語では、何十年も箱根駅伝に挑んでいながら、一度も自分のチームで出場できないままこの年で引退をする吉池という監督です。最初で最後の箱根駅伝。予選会の終わりに、吉池は浦にこう声を掛けます。
「最後は自分のために走れ。駅伝でそんなことが許されるのは、お前たちだけなんだぞ」と。
しかしそこは”究極のチーム競技”駅伝…。当初こそ、確かに母校の襷のために走るのではないのだから、自分のために走る、というのはある意味正しいモチベーションの持ち方なのかな、と思いました。しかし読み進めるうちにそうではないんだと、短い期間でも共に練習し、チームとして走り出してしまえば、そこには紛れもないチームの絆が在るのだと選手たちに教えられた次第です。
第二部に入るといよいよ箱根駅伝の号砲が鳴り、選手たちのモノローグをはじめとした臨場感あふれる描写に、読むこちらはぐいぐい引き込まれます。監督が折に触れ選手たちに言うように、”自分のため”に走ろうとした選手たちが、いつしかチームのために、チームメイトのために…と必死になる姿は、涙なくして読めません。
この「チーム」という作品には続編の「チームⅡ」「チームⅢ」(2020年刊行…私は未読です)があり、さらに外伝として「ヒート」「キング」という作品が出ています。箱根駅伝・学連選抜チームの一人(“陸上界の至宝”山城選手)のその後…学連選抜チームは解散しましたが、絆は消えていない…という物語です。未読の方は5冊まとめて是非。
他にも「風が強く吹いている」三浦しをん著、「強奪箱根駅伝」安東能明著、ちょっと変わったところで「箱根駅伝ナイン・ストーリーズ」生島淳著など、ご紹介したい本はまだまだありますが、それらはまたいつかの横浜読書会で…。
今年も、たくさんの本好きの皆様とお会いできるのが楽しみです。
皆さまの参加を心よりお待ちしております。
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【投稿者】youco
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