見出し画像

電池の工場 後半【9】27歳

徳島での研修を終えて大阪に帰ってきました。

エピソード 1
帰ってくる時に住んでいたマンションの部屋を掃除して帰るとなっていました。
だからキチンと掃除をしなくてはいけいと掃除をしていると先輩が、

「大体でええよ、いらんもんも置いときたら勝手に片付けるから、会社の借り上げのマンションなんかそんなもんやで」

と言われて、そんなもんかと思い。そのままで帰りました。後日会社の社内放送で呼び出されました。
総務の方から、

「どう言う事や?キチンと片付けられてないやないか、次借りらへんかったらどうするんや」

と激ギレされ、先輩がと言いたかったが、それは抑えて謝って許してもらいました。
現場に戻ってその先輩に伝えると、

「そうなん?まーええやん」

のみの反応で、謝罪はなかった。
おいおいとは思いましたが、あまり関わらないでおこうと思いました。

エピソード 2
上記の先輩と僕が最後まで研修を徳島で受けていて、帰る前の週に会社に顔を出したみたいで、会社の女の人達からお土産でコレ買ってきてとお金をもらっていた。
美味しいなると金時のお菓子だと聞いてきたみたいで、帰りに買う事になった。
お土産屋さんによってどのお菓子ですかと聞くと、

「俺しらんねん。大体どれも同じやろ、聞いたのはこんな感じやからコレでいいわ。」

と言うので、

「お金までもらって買って来てって言うてるから電話で確認した方がいいですよ」

と言うと、

「面倒くさいからええよ。」

で6箱約15000円分を購入。
大丈夫かなって思ったのですが、先輩がそう言うからええんかなと思い、そのまま大阪に帰った。
後日その土産を初出勤の日が先輩より僕の方が早かった為僕に会社の女の人に渡してくれと僕に持ってきた。
初出勤の日にその土産を持って行って渡すと、ビミョーな顔。

「あの子がこれで良いっていうたん?」

と聞かれて、

「ハイ、もしかして違いますか?」

と聞くと

「全然違うねんけど、確認するけどあの子がコレで良いって言うたんやな」

と言われて、流石にお金の事もあるし、僕は確認してたので、

「そうです。僕は確認の電話した方がいいとは言いましたが、先輩が大丈夫やからって言うので買いました。すいませんでした。」

「ええねんけどコレも美味しいから、でもアイツ腹立つわー」

と言う事になったので、慌てて休憩の時に電話すると、

「そうなん違ってたん、まーしゃーないなそのお菓子俺知らんし」

と言うので、

「だから確認の電話した方が良いって言うたじゃないですか、明日怒られてください。」

と伝えて電話を切った。色々ビックリしましたが、この先輩はその後を見ていると、かなりガサツでそのくせ精神的に脆くて、強く言うとすぐに拗ねる傾向にありました。

まあ帰ってきてやっと給料が元に戻ると思っていたのですが、ラインの立ち上げの準備という事で、2ヶ月間定時で上がる事になりました。給料が手取り30万が定時なので、15万になります。課長に研修前の話と違うと抗議しましたが、しゃーないやろの一言で終わりでした。
ここでもこの課長に不信をいだきます。

エピソード 3
ラインの立ち上げの為にする仕事とは、この工場がISOを取得していたのでその為の書類作りでした。
しかし9人のグループでエクセルが使えるのが僕ともう1人の2人のみだったので、手順書を作るにも聞きながら打ち込んでいくというかなり気の長い話になってしまっていた。
徳島の研修では1人1人が一つの機械の操作に特化した研修だったので、僕の知らない機械の操作がほとんどなので聞くのですが、その担当の人がしっかりノートでもとっていたら良いのですが、ノートもなくて記憶だけでしゃべるもんですから、曖昧で作った後から書き換える事も多くてこんがらがってしまいそうになりながら、作っていきました。
手順書や品質基準書など作っては課長に提出して、ダメ出しを修正してを繰り返してなんとか完成して製作者の欄に僕ともう1人の2人で自分の作った物にはその名前を入れると決めていました。
いざ完成すると製作者の所の名前は全て徳島の本体から来た当時組長と言う役職の人の名前になっていた。
抗議するとええやないかのひと言で終わりで、課長に抗議すると会社ってそういうものやからと言われた。
この時にこの会社とは会わへんのかもなって強く思いました。

エピソード 4
ある給料日、その日は僕は夜勤だったしかも金曜日で明細をもらうのはその日の夜勤で出てきた時だったので事務所の人は皆んな帰ってからもらう事になる。
課長から明細をもらい計算をしてみると一万少ない。

「おかしいので課長に相談にいった。
僕の計算より一万少ないんですが、僕が間違えてるかもしれないので来週月曜日に事務所の方に確認してもらいたいのですが」

って丁寧に言ってみた。
すると

「事務員が間違えるわけがない、お前の間違えや。
俺は事務所の人間と現場の人間やったら事務所の人間を信じる。」

といきなり怒られ、無視されそうになったので、

「まあどっちが間違えてるかわからないのですいませんが月曜日に一応確認だけしてもらえないでしょうか」

と怒りを抑えながら言った。

「わかったけどコレはお前の思い込みや面倒やけど聞くだけ聞いたる」

と言って自分の仕事を始めてしまった。
よろしくお願いしますだけ言って事務所を離れた。
この時点で怒りより面白い事言うたなって思っていた。

待ちに待った月曜日、朝仕事を始めるなり課長がやってきた。

「事務員が計算間違えてた。一万払うから来月でも良いか?それとも今すぐ必要か?」

と何故か怒りながら言ってきた。

「すいません。すぐに必要なんで払ってもらえますか」

と言い返した。
すると課長が財布を出してきて僕にお金を投げてきた。

「ありがとうございます。」 

と言ってお金をひらった。
そのまま事務所に戻ろうとするので、

「ちょっと待って下さい。少し話があるので機械の裏に来て下さい。」

と言った。
なんや忙しいんや、と言いながら
みんなの目が届かない裏に来た。

「すいませんが何かひと言ないですか?」

と聞くと、

「何もないわ」

と言われた。

「ないってなんや、事務所の人間は信じるけど現場の人間は信じへんって俺に言うたんちゃうんか?
それが間違えてたんやろ?謝らんかい
なんで何も言わへんねん。
信じへんねやったらこの機械アンタがいてない夜勤でいきなり止めたろか?
マイナスが1000万くらい出るけどええんか?
まー現場の人間なんて信じてないんやったら仕方ないよな。
現場の人間前にしてよーあんな事いえたなー
誤って下さい。」

と思いっきり低い声でまくしたてた。

「すまん」

「それだけですか?
土下座でもしたらどうですか?」

と続けると、
土下座をしてくれました。
土下座はどうでも良かったんですが、あまりにもアホな事を言うていると思っていたので、怒りがおさまりませんでした。
土下座してすぐに立ち上がって事務所に戻りました。
この時にもうこの会社にはおれないなと思っていました。
大きい会社は僕には向いていないと感じた大きな出来事でした。

エピソード 5
その工場は3班2交代制で僕のいた班に他の班では使い物にならないと言われた新人が回されてきた。
どうも休憩に行かせると時間を過ぎても帰ってこないとか、遅刻が多いとか検査事項をキチンとこなさない
僕とリーダーは新人に何も強要はしなかった。ただただ囁く作戦をして、自発的に仕事をしてもらう事にしようと決めて受け入れた。
休憩から帰ってこない時は、
「ええよ好きなだけ行ったら
でも自分だけ休憩しててソワソワしてたけど、見つからへんかなって気にしてたんやろ?
休憩に集中できへん事ないか?
俺らは良いから気にせんでええけど」

と言い続けた。
仕事するのって嫌じゃないですか?
って言われた時は、

「人生で仕事をしてる時間が長いのに嫌な時間になったらしんどくなるやん
少しでも楽しくやろうよ」

って言う事にしてそれを何回も何回も繰り返して言い続けました。
すると少しずつ変わり始め仕事をしていると興味を持って話しかけてくるようになった。
そしてある日何を言われるわけでもないのに改善を始めた。
しかしそこはやらなくても良いところでやるだけ無駄な改善だったが、僕とリーダーは自主的にやり始めたので、ここはやってもらって自分で作ったっていう成功体験をさせた方がいいと考えて放置していた。
飯休憩からリーダーと2人で戻ると新人は改善やめて椅子に座っていた。
何故やめたのか聞くとサブマネージャーが無駄やからやめとけと言って来たらしい。
僕とリーダーはそのサブマネージャーが他では使いもんにならんからそっちの班でどないかならんかと言って来ていたので、その時に僕らは僕らのやる事に口出ししないでくださいって言ってあったので、サブマネージャーの所に行って

「何でせっかく自主的に始めた改善を止めたんですか?」

って食ってかかっていった。

「無駄な改善やからやんか」

「手を抜く事ばっかりやってたあいつが自分から始めた改善やったのにここで止めたらもう自主的に仕事しないですよ。ここまで僕らがどんなけ頑張って教えて来たかわかってますか?
無駄な改善でも邪魔な改善じゃないんやからやらせて褒めて後からもしかしたらここは必要なかったかもしれんけどようやったって言うつもりやったのに何してくれてるんですか」

て言うと

「あいつにもお金払ってるねんから無駄な事させるな」

って言ってきたので、

「じゃーもう僕らに出来ることはないです。アイツがやる気でーへんかったとしても僕らは関係ないですからね。
潰したのはサブマネージャーですからね


と言って新人のフォローに行きました。

「俺らは良い考えやと思ったけど色々な見方があるからまた改善思いついたら一緒にやろか」

その後やっぱり新人からは改善案は出てこなかった。
でも仕事は真面目にするようになっていた。元々真面目ではあったんだろうなと思う。
僕らはキッカケを作っただけなんだろうと思った。
この事がキッカケで僕は仕事とは頭の中でするもんだと確信した。

技術や方法などをいくら教えてもそれを受け取る相手が物事の考え方を間違えていたら全く身にならない。

コレが基本中の基本になる。

まあそんなこんなで色々ありましたが、この会社で課長にたてついて土下座までさせた事は後々やはり良くなかったようで、働きにくくなっていったので、ここでは出世できないと思い。
辞める事にした。

「高品質を目標とし
  お客様に信頼され
   満足される商品を提供する。」 

と言う品質基本方針ってのがあって毎日朝礼で唱和させられていたが、それが今仕事をする時に僕の中にある仕事の品質を支えている。
短い期間でしたが、凄く濃い時間を過ごしたと思う。

この記事が参加している募集

この経験に学べ

仕事について話そう

転職体験記

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?