ビジネスフォン営業【6】24歳

親に呼び戻されて地元に戻ってきましたが、仕事も無かったのでオヤジの知り合いの会社という事で、ビジネスフォンとビジネスFAXとISDNと言う回線のセット販売の営業の仕事につきました。
ここから給料はほとんど親に渡してました。２４歳で月の小遣いが2万程しかなかったのはきびしかった。
携帯代や飲み食いするお金などは会社が持ってくれていたので何とかなりましたが、ストレスは凄かったです。

ここで説明しますと、ISDN回線とはそれまでの電話は回線がアナログだったのですが、ISDNはデジタル回線でネットにつなぐとスピードが速いというのともう一つが、1回線で２回線分使う事ができると言うのがあったのです。だから２回線以上回線を引いている会社は電話の基本料金を２回線分払っているのですが、ISDNにする事で１回線でよくなるので安くなります。その浮いたお金でビジネスフォンを新しい物と交換しませんかと言う営業の仕事でした。

100%飛び込みの営業で範囲は大和川から南側で泉佐野からなので端まで行くだけで３時間くらいかかってしまうのですが、ひと月３００件飛び込んで１件売れるくらいの感じでした。
それでも2件売れれば営業トップでした。

エピソード１
未経験の仕事だったので、教育をすると言う事で車で営業をする場所に連れていかれ、実戦で教育すると同期の3人で始まったのですが、現場で長々と喋っていたので、聞いててもよくわからないし飛び込むのはやはり怖いですが、1発飛び込めば楽になるかなと思い、説明を少し聞いてもういけると思ったので教育を無視して、勝手に飛び込みをしてみました。教育をしていた課長がその会社の外でビックリして見ているのが見えた。そのまま無視して回線の話をしましたが、撃沈でした。
店を出ると怒られましたが、それで僕は吹っ切れました。
飛び込みも全く怖くなくなりバンバン飛び込みしてました。

エピソード２
教育で飛び込んだらまずは世間話で空気を和らげ、回線数を聞いてビジネスフォンのリースの期間を調べてから実は回線を変えていただくと安くなりましてって言う感じで営業すると聞いていましたが、僕は、飛び込んで何しに来たと聞かれたら、

「御社の回線が２回線ある場合にデジタル回線にしてもらうと基本料が下がり、その浮いた分でビジネスフォンを新しくしませんかと言う営業です。」

と初めに言い切ってから相手の出方を見て話していました。
コレも課長に凄く怒られましたが、無視してこのやり方でやってました。
働いていた４ヶ月の間で、トップを３ヶ月続けてましたのでやり方は間違えてなかったと思います。

エピソード３
営業の仕事の接待で毎日の様にラウンジに行ってましたが、飲んで歌って最後の方に必ずチークタイムといってチークを踊るのですが、何が楽しいのかも全くわかりませんでした。

エピソード４
コレも接待で大阪の宗右衛門町と言う歓楽街でメーカーの人を接待しなくてはいけなくなってウチの会社の社長とメーカーの営業を連れていたのですが、入った店でついてくれた女の子が、セット料金だと言って入ったのにセットに入っていない飲み物や食べ物をたのもうとばかりしたので、社長がブチギレてキープしていたボトルを女の子の頭にかけてしまった。
すると奥からスーツで体のでかい男の人が出てきて、

「お客さん困ります。ねこんなことされたら」

と凄まれました。
すぐに店を出たのですが、料金が１５万と言ってきたので、話が違ってるからおかしな事になったから払えないと説明してもダメだった。
ギリギリ殴られないようにしながら交渉していたのですが、
それを見ていた社長が、

「それくらいはろたるわ」

と言って全額出してくれました。
2件目を探せと言われたので、宗右衛門町を走り回り、店に飛び込んで料金を事細かく聞いて、前の店の様なことはないかと聞いて嫌な顔をしなかった店に行く事にした。
メーカーの人も社長も満足してもらえましたが、初めの店では社長と店側の間に入り料金の話をしてる時はかなりやばい空気だった。
怪我するかもなと思ったが意外とお金を払えば何もなかったので助かった。

エピソード５
よくいくラウンジに行くと、先客同士が喧嘩をしていたみたいで、ママが今日は無理だから帰ってくれとドアを少しだけ開けて言われたのでそう社長と課長と主任に言うと3人が納得してくれなくて、店に突入した。
それを止めようとして、まず僕は主任に殴られて足で押し倒された。
そして中に入ると
「何じゃお前らは」
となり喧嘩している客がヒートアップし椅子とテーブルを投げてきた。
僕はギリギリで避けましたが、課長がヒットしてしまい。
病院に救急車で運ばれてしまい、社長は付いていきましたが、僕と主任は別のラウンジに行ってそのまま飲んでいたのを覚えています。
今思うとヤバ目の会社でした。

エピソード６
営業成績はビジネスフォンのセットで販売すると４０万で電話器が2台ついての価格で、これを超えたら10,000円プラスにつき1ポイントで計算してビジネスフォン1台売って1ポイントだと言われていました。
だから、セットで２台着いてるので3台目から1ポイントと言う事になる。
それが15ポイント超えると給料に１０万プラスになると言っていたが、実際には僕が1８台売った時に1８台仕入れたから1台の単価が下がったからポイントは14ポイントだと言われて給料にプラスにならなかった。
おかしいと思っていたので、メーカーの営業を飲みにつれだした時に散々飲ませて、かなりグデングデンになったところで何気なくビジネスフォン1台のうちの会社への卸価格を聞くと1台で20,000プラスになっていた。
コレで僕は騙されていたんだとわかった。駆け引きは大切だなと知った仕事だった。

働いていて飛び込み営業を続けていると飛び込む会社が無くなってくる。
自転車で回っているので行き帰りの時間も考慮しないといけないので、更に厳しくなってくる。
僕は絶対に取れる案件が、なくなってくるなと思い。
続けるのは無理だと考えていた。
そんな時に不動産の営業の方が儲かるとテレアポのパートにきていた女の人に言われて、旦那さんの働いている会社に誘われたので、そっちに行く事にしました。

辞める時も少し揉めたので、僕は社長が僕を嫌うように持っていきました。アイツにはもう関わりたくないと思わせました。
そうしないと嫌がらせがありそうで、しかも親父の知り合いってのもあって関係をしっかりと切っておいた方がいいと判断しました。
当然親父にもそう言う事にするからと伝えてからやりました。
すんなり辞めるにはコレが1番だと思いました。
世の中にはへんな人も沢山いますから