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勝敗を決める隠れた要素

「戦力」は勝敗を決める最も大きな要素だ。
戦いに勝つために誰もが戦力を高め、優位に戦いを進めようとする。だが、面白いことに勝敗は戦力だけでは決まらない。

勝負を決める要素には、「戦力」「士気」「心理」「変化」の四つがあるという。

圧倒的な戦力を持ってしても戦う者の士気が低いと力を出し切ることができない。逆に指揮官の采配によって士気が上がれば、人は能力以上の力を発揮し、戦力差をひっくり返すこともできる。また、群衆心理を上手く使ったり、相手より心理的に優位に立つことで戦力差を埋めることもできる。

勝敗を決める四要素の中で「変化」という要素はかなり重要だ。
変化は人の能力であったり、環境であったり様々な部分に生じるが、変化が起きることで戦局が変わり、到底勝てないと思っていた相手にも勝つこともできる。

先日、テスラの時価総額がトヨタを抜いたというニュースが流れた。
生産能力、販売台数、保有資産、どれをとっても圧倒的戦力を有するトヨタにテスラは時価総額で勝利したのだ。

この勝利の最も大きな要因は「変化」と言って良い。

自動車業界では環境問題やSDGs(持続可能な開発目標)が叫ばれるようになり、ある大きな「変化」が生じている。

気温・降水量・雲といった気候が、長期的な視野で見て変化することを「気候変動」というが、20年以上前から騒がれていた温暖化現象はいまや「気候変動」に形を変え、水不足や激しい雨による洪水や海面上昇などの災害を世界中で起こしている。

そのため、気候変動の原因である排気ガス対策と温室効果ガス削減のために、世界各国がガソリン車やディーゼル車の新車販売の禁止及び規制を発表し、自動車の電気自動車(EV)化が間近に迫っている。

アメリカ最大の自動車市場であるカリフォルニア州では既に、販売台数の一部を排出ガスを全く出さないEV車または燃料電池車にしなければならない規制が実施されているし、世界最大の市場を持つ中国は既にディーゼル・ガソリン車の販売規制を開始している。

これらのビジネス環境の変化によりEV主流時代が到来したときに世界最大のEVメーカーであるテスラの企業価値が今よりもはるかに高まることを世界中の投資家が期待していることから株価が急上昇し、時価総額でトヨタを抜く結果となった。

変化によって圧倒的に有利な立場にいた者が急に王者の立場から陥落する事は以前別のnoteで紹介した。

https://note.com/kuri03/n/n9dccf3485e7b

今、我々の周りで起きている劇的変化はビジネスの戦局を大きく変えている。
今まで勝ち組と言われていた大企業が次々に過去最高の赤字を発表しているが、これは勝敗を決める要素の「変化」が大きく効いている。

経営者はこの難局を乗り越え、戦いに勝利するため、設備投資や新規採用で「戦力」を強化するのか、給料やトップのメッセージで社員の「士気」を高めるのか、それとも顧客やマーケットの「心理」をコントロールするのか、戦術を選択しなければならない。

変化に対応していくためにはいち早く変化に気づき、変革を起こすことが一番だが、実際にそうなると、社内の抵抗勢力が必ず阻もうとする。だが、外からの変化に対応していくために個人が出来ることは自身の考えや生活に変化を起こし、不測の事態に備える必要がある。

自身の中の変化の種火を絶やしてはいけない。

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