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宮本武蔵の五輪書に書かれている「2つの目」について

剣の達人、宮本武蔵は命をかけた真剣勝負において六十数度の勝負に無敗であった秘訣を「五輪書」に記している。

五輪書は、地・水・火・風・空の五巻で構成されていて、その中の水之巻に「観(かん)の目つよく、見(けん)の目よわく」という一文がある。

「観の目」とは、対象を全体的に把握して物事の奥深くに潜んでいる本質を見抜く目だ。

これを養うには、感情を交えずに、あるがままに、平静に心の鏡を研ぎ澄ませて物事を「観る」ように訓練をする必要がある。

「見の目」とは、肉眼で物事の表面を先入観無く捉え、あるがままに物事を見る目を言う。

どちらも重要な目であるに違いないが「見の目」は表面上のことだけに囚われがちになるので「見の目」で物事を見つつ、「観の目」を鋭くすることが重要だと宮本武蔵は説く。

一見、優雅に泳ぐアヒルも水中で激しく足を動かしているし、綺麗に芽吹く花は地中に深い根を這わせているというように目に見える物以上のことが世の中にはある。

本を読んでいて読み終わったにも関わらず内容が何も残っていないというのは「見の目」が働いていて「観の目」が働いていない状態の典型例だ。

先入観や外見にとらわれて錯覚や誤認をしたり、意識を集中しないでぼんやりしていると
「見れどもみえず」ということが起きがちである。

これは仕事上の対人関係にも同じことが言える。
仕事上で対人関係が悪くなる原因の大半は相手が自分の期待通りに動かない事だ。
自分の期待と異なる反応、成果、対応を相手にされると信頼関係が失われ、「あいつとは合わない」となりがちだ。

だがここで「観の目」を働かせ、相手の行動の裏側を観察してみると自身の期待通りに動かなかった理由が見れる。

また、自分が好きだと思う人や物の長所の裏には表裏一体である短所が隠れている。
大好きだった人を一瞬で大嫌いになるということは誰しもが経験していることだろう。

目先の動きだけに心を奪われることなく、絶えずその先の動きに気を配って予測し、その奥にある本質に思いを馳せたりするように「観の目」を強く持つことを常日頃から心がけることが重要だ。

「観の目」を意識すると嫌いな人や物が、以前ほどは気にならなくなる。

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