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年賀状ビジュアルはどう創られたのか 【3】

デザイナーがどんな風に考えてものを創っているのか」という切り口で、個人で作った2023の年賀状=NEW YEAR'Sビジュアルを一例として解説する全3回の最終回です。

■前回までのまとめ

■0.漠然と「やりたいこと=伝えたいこと」を考える
■1.なにをメインに持ってくるか
■2.誰に見せたいのか?

■3.どんなメッセージを込めるか?

前回はだいぶ長くなってしまいましたがそろそろ終盤です。

■4.どんなイメージにしたいのか

ここまでの右脳と左脳の行ったり来たりを繰り返して「不思議の国のアリス」に出てくる「ウサギ」「穴に飛び込む」ところをビジュアルにして「不思議の国」=「未知の世界」と連想して、そこへ飛び込むビジュアルを作って「チャレンジ精神」を表現しよう考えたわけです。ここでコンセプトと大体の絵面(えづら)が決定しました。

表現手法(タッチ)をどうするか


絵面(えづら)は決まりましたがマンガやアニメ的な感じでいくのか、リアル路線か、グラフィック系か、グラフィック系ならクールなのかPOPなのか、これによってだいぶ見え方(イメージ)が変わってきます。

  • かぶらない感じのサカヨリらしいものを創りたい

  • 個性出して差別化したい

という思いが最初にあったので

不思議感・風変わり
  アリスのお話 > 古い本の挿絵風のタッチ

【イマドキ感・クールな雰囲気】
  トレンド感のあるグラデーション > 色数抑えて余白大きく

この辺りがビジュアルのタッチ・トーン・マナーに自然となってきました。
これが出てくるには頭の中の引き出しが多い方がいいのですがこれはまた別の機会に。

■5.どうコミュニケーションするのか?

年賀状というとふつうは「Happy New Year」とか入れますが、今回は新年の「挨拶」よりも「抱負」をテーマにしているのでその他のことは言わないでおこうと決めました。

なので、文字は「Jump in !」だけです。
自分に対して「飛び込め!」という気分ですね。

これはなんでかというと、見る人に解釈の余地を残したコミュニケーションをしたいんですね。
説明しすぎるとそれ以外の解釈が無くなって表現が浅くなります。
想像の余地があると、その人なりに勝手にふくらまして自分のストーリーが生まれやすいと思っています。
ある意味挑戦的でもありますし、あんまり説明しすぎると押し付けがましい部分も出てきます。いずれにせよ説明しすぎは本来は野暮ってもんです(このブログは恥を忍んでそこを承知でやってるわけですが笑)。

ウサギと時計だけで「アリスのウサギ」は記号として成立すると判断。ちなみにウサギと時計のペン画はネット上のロイヤリティフリー素材を組み合わせたもの。反対色のグラデーションは異次元&未来的なイメージを醸し出し、フォントは手書き風にすることでトレンド感と柔らかさを。余白はたっぷり、影は無いのに前後関係(重なり方)と時計を少し隠すことで立体感と不思議な浮遊感を表現。レイアウトのバランスもあえて不安定に左に重心を寄せて右下のロゴで全体のバランスをとる。手書きフォントもカーブさせることで躍動感を。トータルではスッキリしたアート風味を出しつつビンテージなのにデジタル、レトロなのに現代的な雰囲気を目指した。


さて、年賀状ビジュアルはこんな感じで作られたのですが、ちょっとはデザイン思考の流れが伝わったでしょうか?

途中にも書きましたが、実はアイデアからビジュアルにつなげる部分(どの引き出しから何を持ってくるのか)という肝心なところを結構はしょっています笑

これはまた別の機会にたっぷりor小分けにやりたいと思います。
今後も、楽しんでいただけたら嬉しいです。


Thanks for reading!

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