シェア
pinky
2021年8月24日 12:46
ゾエ・イェニー「花粉の部屋」は、ドイツ語圏の文学賞を独占した繊細で果敢な作品。幼い頃、父と母は離婚し、母は新しい恋人と海外へ、父もやがて再婚していく。娘を顧みない子供のような親、抵抗の術を知らない子供。少女ヨーの子供時代と母の元で過ごした短い季節が淡々と描かれる。ヨーは親に期待せず簡単に捨てられる。この安易さが家族の<今>なのだろうか。壊れ切った家族への切実な思いが感情を殺した