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バリスタが「大会」という打席に立ち続ける理由

Kyoto Standでお馴染みのOsha。パッキングスタッフの求人をきっかけにKurasuにジョインした彼女は今、バリスタとして数々の競技大会に挑戦し、コーヒー抽出の技術を磨き続けています。今回の記事では、「バリスタ」という肩書が最も似合う彼女の「今」に迫りたいと思います。

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「わからない」と「わかる」が混在する大会、その中にしかない経験

——Kurasuでは「Oshaさんといえば大会」というイメージもあるほどですが、コーヒーの競技大会に頻繁にチャレンジし続ける動機はありますか?

まずシンプルに「楽しくて仕方ない」というのが大前提です。その上で、自分にとってのバリスタの理想像が「どんな環境の中でも美味しいコーヒーを抽出できる」ことなんです。グラインダーが変わっても、山でも海でもその場のベストなコーヒーを抽出できるようになりたい。大会を重ねていくことで、それが実現されるのではないかというイメージはありますね。

——大会に出場して印象に残っていることはありますか?

他の選手のアプローチを見るのはすごく興味深いです。抽出理論を理解していると、他の選手の抽出を見ても「わからない」ということは少なく、多くは「気づき」になります。大会には審査基準があるため、評価されるための一杯、そしてその基準を超える一杯という方向性が重要です。徹底した一杯をいかに提供できるかが、勝ち進む鍵となります。そのためのアプローチは無数にあり、その中に新しい発見があることも少なくありません。

記憶に残っているエピソードの一つが、以前、Kurasu社内で開催されたブリューワーズの予選大会です。当時、私の仕事は、まだパッキング業務がメインでした。先輩たちを見ていると、コーヒー一杯を抽出するだけのために、微粉を取り除いたり、豆を選別したり、抽出後の液体に蓋をしたり……当時の私には、何をしているのか、まだ「わからない」ことが多かったのを覚えています。

今でも、World Barista Championshipの試合動画を見て、まだ「なぜそうするのかわからない」と感じることが多いです。でも大会に行けば、その理由がわかる瞬間を体験できるんです。大会には「わからない」と「わかる」が混在しており、「わかる」は「気づき」になります。その「気づき」を現場で活かしたいと思っています。

——単なる情報を、現場に活かせる体験へと変えてくれるのが「大会」なんですね。さて、そんなOshaさんにとって美味しいコーヒーとは何でしょうか?

私にとって美味しいコーヒーとは「クリーンで余韻が長いコーヒー」です。酸味が強すぎないバランスの取れた味わいが好みです。お客様に提供する際には、相手の好みに合わせてコーヒーを選び、舌に寄り添った対応をできればと心掛けています。

自分の基準が変えられる瞬間

——今までどんな大会に参加されましたか?大会ごとの気づきはありましたか?

SCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)が主催するブリュワーズ大会や、コーヒーショップやメーカーがスポンサーとなって主催する大会に参加しています。大会ごとに選んで参加しているというより、打席に立つ数を増やしたいと思って機会があれば参加しています。

直近で参加した「EL ROCIO CUP」の大会では、「5分間で課題豆をベストなエスプレッソで抽出する」という課題がありました。その後、現場に戻ったとき、毎朝エスプレッソを調整する際のスピード感が増していました。自分の中の意識が変わった瞬間でした。今も「いかに短い時間でベストなエスプレッソを抽出するか」を一つの基準にして、現場に立っています。

——日々の業務の解像度を向上させるのは、一人ではなかなか難しいことも多いと思いますが。

細かいTipsをいかに共有できるかも重要だと思います。例えば、エスプレッソマシンの清掃の仕方一つにしても、コーヒーを美味しくするTipsが多く潜んでいます。そういうコミュニケーションを取るためにも、日ごろから「背中を見せられる」存在でありたいですね。

大会に出るのは、少しはカッコいいと思って出ている部分もありますが(笑)。カッコいいと思える選択肢を選び続けることって、背中を見せる上でも重要だと思います。

——とてもわかります。大会で根気強い選手たちと競争する、それだけでも努力が必要なことですよね。

今は自分の業務範囲の中で大会の準備をしている感覚ですが、いつかは大会漬けの毎日を過ごしてみたいという目標もあります。優勝するバリスタたちはきっとハードなトレーニングを重ねているだろうし、自分もその一環として努力を続けていけたらと思います。

解像度を上げて、経験をつなげて

——最後に、Oshaさんのこれからの抱負や目標をぜひ教えてください。

まず、自分が経験したこと、得たインサイトを新しいメンバーたちと共有しながら、良い新しい風を一緒に吹き込んでいきたいと思っています。Kurasuのコーヒーを底上げできるメンバーの一人になれると嬉しいです。

大会に出る一つの目的は、限られた時間と多くの変数の中でコーヒーを淹れる経験が、ホームブリューの方々に寄り添うことに繋がると感じるからです。ホームブリューの文化を広めることにも注力しているKurasuだからこそ、個人的にはグラインダーの1目盛りの違いまですべて把握しておきたいという気持ちがあります。お客様に寄り添ってコーヒーを淹れるためにも、大会にチャレンジし続けたいと思います。

Oshaは、コーヒーの抽出に対して「合格点はあっても満点はない」という姿勢を持ち続けているのだとか。そんな彼女が淹れるコーヒーの美味しさは、味だけでなく、Oshaへの「信頼」も含んだ美味しさだと感じられます。シナジーあふれるKyoto Standの一杯で、最高の一日を迎えたい気分になりました。

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