黙々と料理をしているとマインドフルネスをしている気持ちになる
料理が好き。かれこれ20年くらいの趣味。小学校低学年の頃から好きで、自分の中で一番長い趣味かもしれない。
時間をかけて大作を作る、というよりは冷蔵庫の中の余り物や、その日の特売品を使って美味しい料理を作るのが得意。
仕事終わりに近所のスーパーに寄り、特売の野菜や魚を見て、店内をフラフラ歩きながらその日のメニューを考える。
あと一緒にお酒も買う。これで、お酒を飲みながら料理をするという、最高の楽しみの準備が整う。
私は普段フリーランスとして仕事をしている。決まった業務時間は特にないが、だいたい20:00に仕事を終える。近所のコワーキングスペースの閉店時間が20:00なのだ。
そうして仕事終わりに買い物をして家に帰り、だいたい料理を始めるのが21:00。お酒を飲みながら、30分程度で料理を仕上げる。
この時間がたまらなく楽しい。
仕事柄、一日中パソコンと向き合っている。料理は液晶ディスプレイから開放される数少ない時間である。
包丁で野菜を切ったり、ボウルで調味料を混ぜ合わせたり、フライパンに油を引いて肉がジュウジュウ焼けている音を聞いたり、お玉でスープをかきまぜたり。
そうした一つひとつの作業を黙々とこなしていると、まるでマインドフルネスをしている気持ちになるし、実際に効果はあると思う。
「過去や未来ではなく、いまこの瞬間に意識を集中させる」というのがマインドフルネスの本質で、これを行うことで集中力が上がったり、ストレス発散になる。要は「心を整える」瞑想に近い。
目の前の野菜に集中し、まな板の上で、トントントンと小気味よく包丁を走らせると、心がすーっと落ち着く。
この時間はストレスから開放されて(といっても最近はそこまでストレスはないのだが)、自分だけの時間を満喫できる。
マインドフルネスは昔から興味があった。あれは確か2016年くらい。巷でマインドフルネス関連本が続々と出版された時代。私もマインドフルネスにハマっていた。
社会人になりたてだったこともあり、ストレスの発散法や業務効率化といったワードに敏感になっていたことも影響していた。
そんな訳でマインドフルネスに熱中していた私は、2016年の秋、勤め先の会社のセミナーにマインドフルネスの講師を呼んだ。
「会社のためになることだったらなんでもやっていいよ」という会社主催のセミナーで、お金も会社持ち。その年はたまたま私が主催者(担当者)だった。
いま思えば、会社のお金を使って自分の興味のある分野のプロを呼べたので、非常にありがたい話だった。会社員バンザイ。
あれから5年。2021年のいまはマインドフルネスも騒がれなくなった。プレジデントや東洋経済で扱われることもなくなったし、関連本の出版も落ち着いた。
盛り上がりのピークが去った感はある。とはいえ、こういったライフハック的なトピックは盛り上がったり盛り下がったりを繰り返しているから、そのうちまた注目されるかもしれない。
ともかく、そんなマインドフルネスを日々の料理で実践して楽しんでいる。仕事やプライベートではパソコンやスマホとにらめっこ。
時にはデジタルデバイスから離れて、人参でも見つめながら、小気味よく包丁の音を立てる時間も必要である。
おしまい。
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