AI時代の働き方

 日本初となる労働時間の上限規制や同一労働同一賃金を内容とする政府主導の「働き方改革」法案が6月末に国会で成立しましたが、法律改正を待つまでもなく、働き方は変わりつつあります。テクノロジーの進化と共に。

下記リンクは、既に米IT企業で始まっているAIによる業務効率化の例ですが、人事領域の分野でもAI・ビッグデータを活用してた「HRテクノロジー」が(HRは「Human Resources」の略。人事のこと)話題となっています。

具体的には、採用分野では既にエントリーシートのAI分析による「ふるい掛け」が始まっているばかりか、既存の従業員とのマッチングから採用判断のアシストを行ったり、マッチするジョブを提案したりするものがあります。また、入社後もこれまでの仕事の履歴を登録しておけば、今後のキャリアにマッチした研修を提案してくれたり、自らのキャリア相談にAIが答えてくれたり、メールの文面を分析することにより退職傾向であるとかメンタルヘルスの状態を判定することも可能になりつつあります。

また、RPA(Robotic Process Automationの略。プログラムにより定型化された仕事を自動化するテクノロジーのこと)により、もはや定型的な仕事は熟練の作業員よりも、遙かに早く・正確に仕上げてくれます。「あそことアソコの今月分のデータを組み合わせてこのようなグラフと表を作る」などといった定期的にある定型的な報告書などは一瞬で仕上げてくれます。

そんな近未来のような働き方が目の前に存在する今、働くということそのものの価値も、好む・好まざるに関わらず、変容しつつあります。

つまり、機械的・単純作業はテクノロジーの力を借りた方が遙かに早いことになるため、単純事務作業は今後RPAコストが下がることによって縮小傾向となるのです。

では、「AIに仕事を奪われてしまう!お先真っ暗だ!」という事なのでしょうか。

そもそも、時代の変化と共に、仕事が変わるのは今に始まったことではありません。

古くは馬車の時代から車の時代になったとき、馬の世話をする仕事をしていた人は車に仕事を奪われたでしょう。また、人が改札で切符を切っていた時代から自動改札に代わり、「切符を切る仕事」はほぼなくなりました。電話を掛けるときも、「電話交換手」という仕事があった時代もありますが、今では想像もつきません。

その一方で、車を整備する仕事が生まれています。また、鉄道会社も改札に大量の人員を割かなくて良くなった分、新たなサービスの方に人を回せるでしょう。駅構内も昔と比べて随分とキレイに・便利になりました。携帯電話もあります。

つまり、消える仕事があれば、生まれる仕事がある訳です。

では、自分の仕事が無くなったときにどうするか。それは変化に対応する力が重要ということです。

目の前にある仕事をこなすことはとても重要です。しかし、全体の中でその仕事がどんな位置づけであり、どんな改善の余地があって、またどんな新たな価値を生み出せるかについて考えて居ると、思わぬところでこれまでのスキルを活かせるかもしれません。

テクノロジーがどれだけ発達しようと、最後の判断を行い、計画に責任を負い、従業員の満足度を上げ、顧客の信頼を獲得するのは最後は人の仕事です。

テクノロジーの発達をおそれるのではなく、その変化を受け入れ適切に対応すること、そんな考え方が求められています。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33376610V20C18A7000000/

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