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過去の失敗をしばしば思い出し、起こってもない未来の失敗を憂いる癖は治るのか。

このコラムでもたびたび「ネガティブアピール」をしているくらしアトリエスタッフ(主に私)ですが、最近のスタッフ間の話題は「現実じゃないことで悩む癖は治るのか」です。

くらしアトリエのスタッフの中には、ポジティブ思考で合理的かつ建設的な思考を持った人ももちろんいるのですが、特にスタッフNは、何かうまくいかないことがあったとしても

1.「何が悪かったのか」を論理的に考え、
2.起きたことを総括し、
3.そうならないようにしっかり対応策を練り、
4.気持ちを切り替えて次のステップに行く、

というサイクルで仕事をしているらしい。

「終わったことや過去のミスをわざわざ振り返って悩むことはほぼない(キッパリ)」というスタッフNに対し、「何なら、まだ起きてもないことを想像して反省したりするけど…」と私が言うと、「…なんでそんな、無駄なことを…」と呆れられました。

実はいま、法人の今後を決定し得る大きな選択をしないといけない状況なのですが、どの選択肢を選んだとしても、「きっとこうなるんじゃない?」「そんでこうなったりして」「ああ、そしたらこうなるよね」「ダメダメ、それはダメ」のように、ネガティブ思考が転がって膨らんで、ありもしないことで反省したり、妄想で悩んだり…ということが、1日の中でけっこうなボリュームであるのです。

この癖を治したい…というか、無駄な時間だと分かっていてもついつい妄想してしまう心の状態、何とかならないか、というのが最近のテーマ。

未来のことだけではなく、当然、過去に起きたミスや過ちも、もう悩んでもどうにもならないのにふとした瞬間に思い出してしまいます。

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思い出したくないあれこれをほじくり返して反省してしまう作業は、かさぶたを剥がしたくなる衝動にも似ています。分かってるんだけどついつい「過去」のふたを開けちゃう。

自分の言ってしまった失言とかを思い出して
「あーーーっ」って思ってしまう経験ってないですか?
(もう何十年も前のことでも、鮮やかに思い出す…)


若さゆえの青さや、無知だったために起きたミス、そんなことは「今はもうしない、するはずがない」わけだから、手放したって罰は当たらない。

でも手放せない。

しかも、年を重ねるにつれて過去がどんどん長くなっているから、ほじくり返す材料も増える一方で、一度ふたを開けてしまうとなかなかそこから這い上がってこれないのですよね。

この葛藤、異なる思考回路を持っているスタッフN(前述)にとっては、もしかして意味が分からないことなのかもしれません。

過去を自分で掘り返し、未来に起こりうるあれこれを妄想しては反省し、つまりずーっと頭の中で「ああっ!」と頭を抱えている状態。

「そんな人生、楽しくないのでは」と思われそうですが、ところがどっこい、なぜか毎日めちゃくちゃ楽しいのです。

これが、本当に不思議です。

なぜそんな特殊な思考でいられるんだろう、と考えたときに思い浮かんだのが、

「こんなはずじゃなかった」という思考回路はない

ということでした。

いっぱい反省していっぱい後悔していますが、「私の人生、こんなはずじゃなかった」と思ったことはおそらく一度もありません。

「あの時、別の道を歩いていたら別の人生だっただろうなあ」と思うことはあっても、「そっちの道を歩いていればよかった!なんで私ここにいるんだろう」と考えたことはないのです。

「こんなはずじゃなかった」という思考は、いま起きている事象を否定することにつながります。家族とか、支えてくれている人とか、関わっているすべてのものを汚すことになる、そんな気がするのです。

何より、今の自分を否定することになる。つまりは、今の自分がけっこう楽しくて面白い人生を生きていると思っているから、あの時ああしていれば…という思考に至らないのだと思います。

人生を勝ち負けで表現する人もいるけれど、その軸ではなく、「面白おかしく、ちょっと幸せ」という軸でとらえたなら、自分はけっこうな好位置にいると思っています。

悩んだり迷ったり落ち込んだりしつつも、たまに人に喜ばれたり、面白い出来事があって笑い合えたり、しみじみ感動して泣けてきたり、そんなひとつひとつが、とてもありがたく、ささやかな幸せを感じる。

「成功はしてないけれどけっこう面白いんじゃない?」、そんな肯定感がうまくバランスをとっているのだなあ、と思い至りました。

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最初に書いた「悪いことを想像しすぎて起こってもないことで悩む癖は治るのか」という問題については、いろいろと方法はありそうなのですが(ちょっと検索しただけでもけっこうありました)、どれも自分をコントロールすることが求められ、それができる人はとっくにできているのでは…と思ったりもします。

きっと、物事をいい方向からとらえようとした時に、「いやいや調子に乗ったら失敗するよ!」というシグナルが知らず知らずのうちに鳴って、それがネガティブ妄想になっているのだと思います。

今を楽しく過ごすために、想定できる「悪いこと」を並べて出してしまおう、そうすれば実際に悪いことが起きたときに備えられる、という心理なんでしょうね。

人生面白いのに悩まなくていいじゃん、と言われそうですが、私自身はきっと、いつまでも想像して悩んで…を繰り返しつつも、笑ったり泣いたりして面白おかしく生きていくんじゃないかなあ、というのが現段階での答えです。

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自分の妄想による反省を受け流してくれたり、笑いに変えてくれたりするスタッフたちの存在もとても大きく、この絶妙なバランスを保ちながら、時おり起きる「楽しいこと」「嬉しいこと」を大切に抱えながら前に進みたいなあ、と思うのでした。

結局何も解決してないけど、まあいいか。


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