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「旅に行けない今、旅を思う宿題」で得た気づき。

今日の「時々、コラム」はオンラインサークル「くらしの学校オンライン」で得た気づきについて。

オンラインサークルとは…「note」の機能のひとつで、メンバー限定の記事を投稿したり、掲示板の中でメンバーどうしが交流できたりするコンテンツです。「掲示板」と聞くと一昔前のいわゆるBBSを想像されるかもしれませんが、それとは異なり、クローズドな空間で、主催者が書いた記事に気軽にコメントできるオンライン上の空間、という感じ。コメントを書く・書かないはメンバーの皆さんの意志なので、もちろん記事を読むだけの方もいらっしゃいます。あくまでも自分のペースで、「地域」「暮らし」を考えていただくきっかけづくりに、そして、あわただしい日常の中でホッとできたり、時に刺激を受けたりする場所づくりに、という思いで4月にオープンし、現在約10名の方が参加されています。

「くらしの学校 オンライン」の特徴のひとつが、学校というだけあって宿題が出ること。こちらも提出する・しないは自由なのですが、スタッフも一緒に取り組むので、私たちにもとても良い勉強になっています。

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ゴールデンウィーク中に、こんな宿題を出題しました。

遠出ができない状況の中で、この際妄想でも理想でもいいので、旅行をプランニングしてプレゼンしてください、というもの。

具体的には以下のような感じでお題を出しました。

教科は地理歴史。テーマは「エア連休旅行に行って、旅行記をシェアしよう」。 
 ■解答プラン→以下のことについて考えてください。
 
 1.旅先
 2.そこを選んだ理由
 3.名所名物(あれば)その土地の特徴
 4.旅行記 
国内・海外どちらでも、日帰りでも宿泊つきでもOKですが、ゴールデンウイーク中に行く想定でプランニングしてみてくださいね。(渋滞がひどかった、とかのトラブルなんかもあってもいいし、理想のプランなのでなくてもOKです)。

空想は自由なので、思いっきり素敵な、オリジナルの旅行プランを立ててみてください。

家族旅行でもおひとりさまでも、近場でも海外でも、それぞれが「こんな旅行がしてみたい」というのを実際に調べて作ってみてください!というのが出題内容でした。

企画したとき、「メンバーの皆さんは楽しんで取り組んでくれるだろうか」「行けない旅行のプランなんて虚しい、って思われたりしないかな」という心配もあったのですが、サークルに登録してくださっている皆さんはきっと、何事にもポジティブシンキングで考えてくださるだろう、と考え、不安を持ちながらも、投げかけてみたのです。

結果から言うと…これが、すごく良かったんです!

皆さんとても前向きに、多角的な視点で取り組んでくださり、素敵な旅行記が8つ集まりました。自分が旅行記を書いても、参加者の方の旅行記を読んでも楽しい!ためになる!勉強になる!

旅行記コラージュ

国内・海外問わず、「以前行って素敵だったところ」あるいは「いつか行ってみたいところ」と、ユニークなプランがたくさん。中にはプレゼンシートを作ってくださったり、宿泊するホテルの情報まで細かく考えてくださったり。

特徴的だったのが、「どこかで用意されているプラン」を考えた方は一人もおられなかった、ということです。いわゆるパックツアーみたいに、観光名所を転々とまわって、ご当地グルメを食べて…というのではなく、「わたし」がどういう旅をしたいのか、旅によって何を得たいのか、が伝わってくるのが驚きと気づきでした。

「以前暮らしていた街の素敵なところを紹介します」

「新しいことをしている人に会いに行きたい」

「子どものころ初めて観た映画の舞台になった土地をめぐりたい」

「学生時代から10回は行っている素敵な土地へ、また行きたい」

「何も考えずにボーっとできる島を紹介します」

などなど…。

みなさん、テンション高く、楽しく取り組んでいただいたことが旅行記からも伝わってきました。そして、嬉しかったのはそれだけではなく、他のサークルメンバーの旅行記も楽しく読んでくださり、コメント欄で大いに盛り上がってくださったこと。

中には、サークルのメンバーとの交流で興味がさらに深くなった、と、メンバーの方が住んでいらっしゃる県への旅をプランニングされている方や、旅に行くための貯金を(リアルに)コツコツやっているんです、という方もおられました。

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(海外の風景みたいですが、松江市の枕木山から見た大根島です)

日頃どんなことにアンテナを向けているのか、旅行プランを見ているとその方の人となりが感じられます。大切にしているものも見えてくる。人気がある国とか、誰かがいいと言っていたから、とかいう理由ではなく、その方が本来興味を持っておられるものをもとにプランニングされているからこそ、ほかの人が見ても興味を惹かれるものになったのでしょうね。

そして何より「いろいろ調べているうちに旅に行ったような気持ちになりました」という前向きな声が多く、まさに「エア旅行」が各地で行われたのだな、というのも嬉しかった。

私自身もそうなのですが、旅行って「どこに行こうかな」「この辺においしいお店ないかな」など、夢中になって調べている時間こそが至福ですよね。旅行を趣味にされている方のホームページをお気に入りに入れて、読んでは参考にしたり、インテリアや暮らしぶりが素敵で「憧れる…」という方のブログを日々読んで、その方がセレクトした旅先に興味を抱いたり。

私は絶対に「近くにおいしいパン屋さんがある」「ペンションやホテルの朝ごはんが充実しているところ」という土地を選ぶのですが(素敵なお店に行ってみたいから、その近くにある観光地やホテルを選ぶことも)、そうやって調べて調べて、わくわくしながら出かける、その高揚感こそが旅行の醍醐味かな、と思ったりします。

で、そうやって調べ尽くしたつもりなのに、思いがけない風景やお店など新たな発見が必ずあって、そういうサプライズが旅の思い出になりますよね。作られたプランをなぞるだけの旅行よりも断然楽しい!(トラブルもあるけれど。)

「大切にしているものやコトがある」→「そこから旅行プランを練る」という過程こそが楽しいのだ、というのが今回の宿題での気づき。この過程が簡単そうに見えて、なかなか実践するのは難しかったりするものです。あえての「エア」旅行だったからこそ、すなわち理想や妄想を膨らませてじっくり考えたからこそ、よりその人らしさが抽出されたプランになり、精神的な満足度も高かったのかなと思います。そして、一生懸命考えられた誰かにとっての最適化プランは、他人が見ても面白いということも新たな気づきでした(というか読んでるうちにその熱に感化され他人のプランではなくなっていく…今度自分もそこに行ってみよう、という気になるという…)。

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皆さんの旅プランを知れただけでなく、「そういう視点があるのか~」という発見もあって、スタッフもすごく学びを頂きました。今後も、定期的にユニークな、ちょっと考えさせられるような「宿題」を考え、一緒に取り組んでいく予定です。

この「宿題」の目的は

◎大人になってから期限のある「宿題に取り組む」という経験

◎提出に向けて、自分の知らないことを調べたり考えたりすることで生まれる知の蓄積

◎別の人の宿題を読むことで生まれる気づきや、そこから生まれるコミュニケーション

にあります(もちろん読むだけでもOK、なぜなら読むだけでも知の蓄積や気づきが確実にあるから)。つまり、「考える機会」をちょっとだけ強制的に作ってみようというもの。今のところ2週間に1回の割合で企画しており、1回目は国語(最近読んだ本をプレゼンする)、2回目は地理歴史(エア旅行旅行記)でした。

サークル「くらしの学校 オンライン」、内容や実際の入り方についてはこちらの記事をご覧ください。

興味のある方は、お気軽にお問合せくださいね。皆さんとともに地域を、暮らしを学べることを楽しみにしています!



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