アンテナが錆びつかないように。
先月のことですが、夏季休業前に松江のひまわり畑のことを紹介した記事を書きました。
残念ながらひまわりは見頃を過ぎてしまっていました、という内容なのですが、この記事の中で、
松江市にもひまわり畑ってないのかな、と思って探したら、古志町というところにありましたありました!
と書いています。
実はこれにはちょっと裏話がありまして…。
「古志町にひまわり畑があるって書いてあるよ」とスタッフに言われてGoogleマップを見たとき、「…あれ?」と何かが引っかかったのです。
この近くの道路を毎日のように車で通っている私。
そういえば少し前、運転しながら田んぼの向こうにぼんやりと黄色いものが見えたなあ。
黄色いものが見えたとき、なんとなく「菜の花みたいだな」と思ったのは覚えてたんだけど、あれがひまわり畑だったんだな…。
…っていうか8月に菜の花が咲いてるわけないじゃん!
おかしいな、ってなんで思わなかったんだ?
「菜の花じゃなければ何なんだろう」と疑問に思ったら、ちょっと寄り道して見に行っていたかもしれない。
そしたら満開のひまわりがきれいに咲いているところに出会えたのに!見頃を過ぎたひまわり畑の写真を撮って「また来年楽しめますように」なんて書かなくても、皆さんにお知らせしてシェアできたのに~!!
ボーっとしながら運転してて、季節の変化やちょっとした違和感にも気づかない、いや気づいていたのにスルーしてしまう、そんな自分に愕然とし、スタッフに「私、枯れちゃってるよ…」と泣きついたのでした。
10年前の自分だったら絶対にスルーすることなく「なんだろうあの黄色は!」と目を輝かせて寄り道をしたに違いない。
今の私のこの、アンテナの錆びつきようはなんだ!ボーっと生きちゃって、それでいいのか!と、ひたすらに反省したのですが、いやあ、ダメですね。
くらしアトリエは「暮らしと地域をつなげる」ことをコンセプトに発信を活動の核としているNPOであり、いわゆるタウン情報紙とかウェブマガジンとかではありません。
Instagramしか見ておられない方には「ときどき素敵なお店の情報を載せてくれる親切な人たち」に見えるかもしれませんが、私たちが本当に伝えたいのは「そんな素敵なお店があるこの地域って、いいですよね、誇らしいですよね。」ということなのです。
お店がおしゃれで食べものが美味しかったらそれは素晴らしいことなんだけど、それだけじゃなくて、きれいな景色を保全したり、社会を良くしようと地道に活動されている人たちがいたり、見えないところでいろんな人がひそやかに動いている。そういういろんな点と点がつながって「地域」はできている。
だから、自分たちもその点の一つになり、地域のためにできることをやりたい、と考え、さまざまな視点から「素敵!」と思えるものを探しては発信しています。
お店も、風景も、季節の花も、私たちにとっては「地域を素敵に思わせてくれる大切なもの」という視点では同じ位置づけであり、その発信こそが自分たちができる「ソーシャルグッド」のひとつの形、なのです。
ひまわり畑の見頃が終わっていたからと言って誰も責めたりはしないのでしょうけど、でもやっぱり、満開の写真を撮って皆さんにもお知らせしたかった。
情報を見た方が「私も行ってみようかな」と思ってくださったり、「松江にもあるんだ、いいこと聞いた」と感じてくださったり。
そしてその先に「島根っていいところだな」というちょっとした喜びや気づきがあってほしい。
「自分が住んでいる町にも、いいところがたくさんあるんだなあ」という気づき、その気づきがもたらす「シビックプライドの醸成」が、私たちの活動のミッションなのです。
そのためにはやっぱり自分自身が新たなものをキャッチする力を備えていなければならないし、「ん?」というちょっとした違和感を大事にしながら生きていかないといけない。NPO法人の目的を達成する意味でも、気を引き締めて日々を過ごさねばと、反省したのでした。
…という話をスタッフにしたら、「アンテナが錆びついてる、って気づけたことは良かったよね。気づかずにそのまま過ごしていたら、もっと感度が悪くなって折れちゃってるかもしれないよ。」と励まされました。なるほど、まだ気づけただけ良かったのかもしれない。
ついつい心地の良い空間の中でじっとしてしまいがちですが(この2年間ほとんど遠出できなかったことも影響していますが)、これからも楽しいことやわくわくすることを発信し、自分自身も好奇心を忘れずにアンテナを磨き上げておけるよう、頑張ろうと思います。
*来週の「時々、コラム」はお休みします。ご了承ください。
サポートありがとうございます。とてもとても励みになります。 島根を中心としたNPO活動に活用させていただきます。島根での暮らしが、楽しく豊かなものになりますように。