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島根と埼玉、ちょっといい話。

今日のコラムは「くらしアトリエ、ちょっといい話」。

先日の「日々、綴る。」に、埼玉からお客さまがいらしてくださった話をちょっと書きましたが、その続報。

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読んでおられない方のために説明すると、くらしアトリエの拠点である「はたひよどり(地名です)」の古い一軒家は借家で、大家さんは現在埼玉に住んでいらっしゃる御年90歳のおばあさんなのです。もともとご家族と一緒に暮らしておられた家なのですが、ご主人が亡くなり、大家さんはお子さんと一緒に暮らすために島根を離れ、埼玉へ引っ越されました。その際空き家になった家を雲南市が運営する「空き家バンク」に登録され、その空き家バンク制度を活用して家を借りることになったのが私たち、というわけ。

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実際に家を管理されているのは大家さんのご親戚で、私たちが借りている家のお隣に住んでおられます。お隣さんもすごく良い人で、私たちがこの家を借りることになった大きな理由が、お隣のおじさんの笑顔とお人柄でした。以来、遠方におられる大家さんとの仲介役として、田舎で暮らす大先輩として、折に触れていろんな知恵を頂き、助けてもらっています。

埼玉の大家さんにお会いしたのは1度きり。里帰りをされた際に、偶然お会いすることができました。その時はまだ矍鑠とされていて、上り坂をすたすたと歩いてこられて、「きれいに使ってもらってありがとう。好きに使ってくれていいからね」とおっしゃってくださいました。

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で、その大家さんが現在入所されている埼玉の施設でケアマネージャーをされている、という方が、先日「シマシマしまね」に来てくださったのです。

埼玉から?わざわざ?と驚くと、「観光のついでに…」と遠慮深くおっしゃっていたのですが、出雲大社からも松江城からもかなりの距離がある私たちの施設に、「ついでに」来るお客さまなんてほとんどいらっしゃいません。しかもおうかがいしたら、ホテルから原付バイクを借りて運転してこられたというじゃないですか!え゛~??と、スタッフ一同びっくりしてしまいました。

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大家さんは現在、足を悪くされていて出歩いたりができないそうなのですが、時々ケアマネさんが私たちのウェブサイトやInstagramを見せてあげて、懐かしい棚田の風景を楽しんでくださっているとのこと。

ケアマネさんがいらっしゃったときも、部屋の様子、窓から見える景色など、たくさん写真を撮影して、「大家さんに見せますね」とおっしゃってくださいました。後からうかがったところによると、その足で(原付バイクで!)展望公園まで足を延ばしてくださったそうです。すごい!

ケアマネさんのお心遣いや、わざわざお越しくださったことなど、ひとつひとつが本当に嬉しく、心がじーんとあたたかくなりました。

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お帰りの際に、棚田の写真が入っているくらしアトリエオリジナルのカレンダーと島根のお茶をお渡ししたのですが、その後ケアマネさんから「プレゼントをお渡ししました」というメールが届きました。思いがけない便りにまたびっくり。

メールには、カレンダーとお茶を大家さんに渡してくださったこと、私たちが家を借りることになったいきさつについて話をしたということ、そして

〇〇さんより「お土産ありがとうございます。写真も見せてもらって、とても喜んだ。と伝えて下さい。痛かった足もちょっと良くなりました。」  〇〇さんに写真撮ってもいい?とお伺いした所、「恥ずかしい 笑」とのことで、お手紙でお礼をと思い、メールいたしました。〇〇さんとくらしアトリエさんのおかげで、私も良い旅ができましたし、何より〇〇さんの笑顔を見ることができて、嬉しかったです。また、ご縁がありましたら、お邪魔させていただきます。
というメッセージが綴られていました。じーん…。

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家を借りるってもっとドライなものかと思っていたけれど、長い間住み継がれていた家を誰かに貸すということは、想像するよりずっと大きなことだったに違いありません。私たちは自由に家を構っていいよ、というお許しを頂いているのですが、(主に経済的な理由から)修繕していない部分もたくさんありますし、建具などそのまま使っているものも少なくありません。

そういうものひとつひとつにも、住み継いでいた方の思いがあるのだろうなあ、と思うと、リノベーションの意味を今一度考えたほうがいいなあという気持ちにもなりました。

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遠い地から私たちの活動を支えてくださっている大家さん。これからも元気で過ごしてもらえたらいいなあ、と、素敵なケアマネさんとの出会いを通じて感じた、というお話…。人と人との縁って、本当に不思議で、おもしろいですね。

サポートありがとうございます。とてもとても励みになります。 島根を中心としたNPO活動に活用させていただきます。島根での暮らしが、楽しく豊かなものになりますように。