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気が利かないスタッフが考えた、気の利いた「ひとことカード」の話。

先週、松江市内で開催した「とのまち 春のおくりもの展」の中で、私たちくらしアトリエのオリジナル商品として「ひとことカードセット」というのを新たに製作しました。
その時のnoteはこちら。

贈る気持ちを楽しむツールのひとつとして、プレゼントに添えるカードや一筆箋のアソートセットを作ったのです。
大小さまざまなサイズのメッセージカードや、リネン糸をつけたタグが合計9種類に、ちいさなサイズの封筒が2枚入っています。

こちらのセットが出来上がった背景には、くらしアトリエの中心スタッフの、とあるコンプレックスがあります。

それは、「気が利かない」ということへの、ままならない気持ち。

とにかく私と、もうひとりの中心スタッフが、何というのか、こう…他の方への心遣いとか思いやりを形にすることに対して、揃いも揃って気が利かないのです。

例えば…ご挨拶に伺うその日の朝に「あ、なんか手みやげがいるのでは…」(遅っ!漂う「今さら」感…)と思いついたりします。前の日の時点で「シマシマしまね」の商品を手みやげとして持って行く、ということを思いつくことができない…日々商品に囲まれて過ごしているというのに、なんと気が利かないのでしょうか。

そんなスタッフなので、逆にお客さまから思いがけず差し入れのお菓子やお花を頂いたり、小さなカードに心のこもったメッセージを頂いたりすると、「こんな素敵なふるまいができるなんてすごい…」と、めちゃくちゃ尊敬します。

大人たるもの、日頃からそういう「さりげない気遣い」「気の利いたふるまい」をしていきたい、という思いはつのり、「気の利いた人」へのあこがれも日々、増すばかり。

そんな中、こともあろうに(?)イベントのコンセプトを「贈りもの」にしたわけで、気が利かない中心スタッフたちは「やるって言ったものの、自分たちに果たしてそんなイベントができるんだろうか」と不安になったのでした。

だって、贈りものって気が利くことが大前提じゃないですか?気が利かないという自覚があるのに、お客さまに「こういうギフトはいかがでしょう」なんて提案なんかできるのか?

もちろん、人に何かをプレゼントするという行為は大好きで、選ぶのも好き。島根のものをいろいろと組み合わせて県外の友人に贈ったりするのも、何より楽しい行為です。

選ぶことの楽しさは伝えられるし、並ぶ商品には自信がある。だからこそ、最後の最後になにか「気の利いたこと」をプラスしてオリジナリティを出したいなあ、と思ったのでした。

そこで(気が利かないなりに)一生懸命考えた末に出来あがったのが、「ひとことカード」。

イベント期間中に贈りものとして商品をご購入くださったお客さまに、お好きなメッセージカードを1つプレゼントし、何か言葉を添えてもらおう、というもの。

スタッフとも話したのですが、誰かに何かを「贈る」とき、ただモノだけを渡すのではなく、そこに何か「ひとこと」を添えたい、という気持ちがどなたにもあるのではないか、と思うのです。

逆に言えば、何か「ひとこと」を添えることで初めてギフトは完成する、というか…。

感謝や労い、激励など、いろいろな気持ちを込めてモノを贈るわけで、その気持ちをおもてに表す手段として、いろいろな種類のカードの中から気持ちに合ったものを選んでいただくのはどうかな、と考えたのでした。

使いやすいサイズ感、箱や袋につけたときの色合い、華やかさや奥ゆかしさ…いろいろなシチュエーションを考えて、実にたくさんの試作を重ね、できあがったのが10種類以上のバラエティ豊かなカードたちです。

イベント期間中、たくさんの方が「贈りものに」と商品をお買い上げくださったのですが、「カードを選んでください」とお伝えすると、皆さんすごく楽しそうに、あるいは悩ましげに「どれにしよう」と選んでいらっしゃって、おすすめする側から見ていてもすごく嬉しい気持ちになりました。

さらに嬉しかったのは、悩んでいらっしゃる方に「これとこれは宍道湖の写真なんです」とお伝えすると、「じゃあせっかくだからこれにします」と、松江の風景のカードを選んでくださる方が本当に多かったこと。

お子さまの卒業式の合間に来てくださった親御さんが、「ああ、これ松江なんですね、きれいですねえ」とカードを選んでくださったこともありましたし、「私も宍道湖のあたりをよく歩くんだけど、これはどこから撮影したの?」と質問される方も。

宍道湖は松江市民にとってはやはり、誇るべき存在。その写真を喜んでくださるというのが、「シビックプライド(=地域への誇り)」を提唱している自分たちにとってはなにより、嬉しいことでした。

カードは写真だけでなく、松江市の花・椿のイラストや、ちょうど満開を迎える時期のミモザのイラスト、また、宍道湖に浮かぶ白鳥をイメージしたカードなども。

メッセージはその場で書かれる方もいらっしゃいましたが、大部分の方は「家に帰ってゆっくり考えて書きます」とそのままお持ち帰りになられました。どんなことを書かれたのかな……喜んで頂けたでしょうか。

好評だった「手みやげセット」。

また、イベント期間中に一番人気だったのが、小さなサイズの手提げ袋にクッキーやドリップバッグコーヒーを入れた手軽なプチギフト「手みやげセット」でしたが、こちらに「ありがとう」「おつかれさま」「がんばって」など、ひとことメッセージをタグにしてつけていたのが、とても好評でした。


最初はあらかじめタグをつけて並べていたのですが、後半は、何もつけていない手提げ袋に好きなタグをつけていただくというサービスも行いました。

いちばんご要望が多かったのは「ありがとう」。異動やお引越しの挨拶に使われるという方が多くいらっしゃいました。

また、お別れするお友達に、すごく迷った末に「がんばって」を選ばれた方も。
こんな風に簡単なひとことが添えてあると、気持ちを伝えるのに背中を押してくれるというか、より思いが届くような気がしますよね。

退職される上司の方に、マグカップとエコバッグのセット。袋の持ち手にカードをつけました。

気が利かないからこそ、せめて思いを言葉にして伝えたい、そして何より、贈るという行為を楽しみたい、楽しんでほしい、という自分たちなりの熱意が形になって喜んで頂けたのは、とても嬉しい瞬間でした。


スタッフが精いっぱい考えて作ったこちらのカードたち。期間中、「ひとことカードセット」として販売もさせていただき、おかげさまで予想以上に多くの方が手に取ってくださいました。

ネットショップにも新商品として登録しています!宍道湖の写真入りのものと、母の日やお誕生日などに使い勝手の良いお花の写真入りのもの、2種類からお選びいただけます。

良かったらこちらのページもご覧くださいね。

春を迎え、新たな出会いがあり、5月には母の日、6月には父の日と、感謝を伝えるシーンもたくさんあります。

また、ギフトという形ではなくても、何かを借りてお返しするときや、お金や書類を渡すときなど、「ちょっとひとこと」を添えたいな、ということ、けっこうありますよね。

そんな時にぜひぜひ、気が利かない人たちが一生懸命作ったカードセット、お役立ていただけたらと思います。

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