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山の中の小さなソーセージ工房へ。「害獣」と呼ばれてきたイノシシに価値を見出してつくられた、おいしい一品。

おはようございます。

先日、雲南市にあるソーセージ工房へ出かけてきました。

工房の名前は「KANUKA PARK」。

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「シマシマしまね」でもワークショップ講師を何度も務めてくださった、鹿糠俊二さんが新たなプロジェクトとして開いたイノシシ肉のソーセージ工房です。

「イノシシ肉の加工の工房を作るんですよ~」と奥さまであるさやかさんにお話はうかがっていましたが、そこから開業までのスピード感!あっという間にホームページが立ち上がり、オンラインショップができ、多くの方からの「おいしかった!」という声が、こちらにも届くようになりました。

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鹿糠さんが作ったソーセージなんだからそりゃあおいしいに違いない、それはもう分かっていることなのだけれど、やっぱり直接話を聞きたいなと思い、工房にお邪魔しました。「パーク」という名前のとおり、もと公民館に隣接する小さな公園の中にある工房です。

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敷地内にはブランコや滑り台が…!かわいい。

久しぶりにお会いした鹿糠さんは相変わらずの人懐っこい表情で、「いやあ、できちゃいましたよ」とニコニコ。

もともと横浜や東京で料理人をされていた鹿糠さんが、奥さまの故郷である島根に移住して来られて、まさかソーセージ工房を作ることになるとは誰も思わなかったでしょう。そこには鹿糠さん自身の島根での経験が大いに影響しています。
農業を通して中山間地域の現状を目の当たりにし、害獣と言われているイノシシに新たな存在価値を見出し、コロナ禍の中でも、全国の多くの方にその魅力を味わってもらうために、と作られたのが加工品であるソーセージ。

そして、「明るく前向き、人が大好き!」というのが身体じゅうから溢れている鹿糠さんが、雲南の各地で出会った人たちも、その思いに賛同し、さまざまな形でサポートしているのが良いなあ、と思います。

以前、雲南市内のレストランでシェフをされていた時にも思ったのですが、鹿糠さんのところにはおいしい食材が集まってくるんですよね。それは、ご自身がつないできた人脈によるところが大きく、そしてそれは、鹿糠さんご自身が島根での暮らしを芯から楽しみ、自然の恵みや食材に対して真摯に向き合ってこられたからこそ。いろいろな職場を経験されて、その先々で「人」という財産も蓄積されていったんじゃないかなあと思います。

移住してからの年月と、島根の食材とが積み重なり、試行錯誤の末に生まれたソーセージ。事務所でさっそく調理していただいてみました!

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3種類のソーセージがあるのですが、それぞれに肉の挽き方やスパイスの調合を変えて製造されています。そして、裏面の原材料表示のなんとあっさりしたこと!ほぼ肉と塩のみ。食品添加物を加えないこともコンセプトのひとつで、そのため日持ちを考慮し、冷凍での販売にされているそうです。

「オリジナル」は肉本来のうまみがぎゅぎゅっと詰まった印象で、余計な味付けが一切ありません。食べ応えがあり、豚肉よりも味が濃い印象です。「カラダの奥から 力がみなぎる ひとかじり。」とホームページにも書いてあるとおり、満足感のある味わいです。

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今回は、同じ雲南市にある「杜のパン屋」さんのバゲットに合わせてサンドイッチにしてみました。

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どうせなら、ほかの具材も地元産で…と、トマトは雲南市の「ココロノファーム」さん、レタスは出雲市斐川町の「ながせファーム」さんで揃えちゃったりして。

むふふ、島根産のサンドイッチです。バゲットがあっさりしているので、ソーセージとの相性がよく、お腹いっぱいになりました。

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そしてもう1種類、チーズのソーセージには「木次乳業」さんの「プロボローネチーズ」と「イズモ・ラ・ルージュ(ゴーダチーズ)」が入っています。贅沢!

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こちらはスパイスの風味が程よく効いていて(このスパイスの効き具合が鹿糠さんの真骨頂)、フライパンで焼くとチーズがとろりと溶けてカリカリに…。

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メインの肉料理としてどーんとプレートに乗せてサーブしたい一品でした。

香りも食感も、「何度も何度も作って考えて、一番おいしい!っていう味にしたんすよ」と鹿糠さんが(こういう口調)おっしゃったとおり、バランスがよくて、世代を問わずおいしくいただけるんじゃないかと思いました。島根のような地方では、以前処理の仕方がまずかった肉を食べて、イノシシの肉に対してネガティブなイメージを持ってしまう人も多いのですが、一度ソーセージを食べてもらいたいなあ…。

「オリジナル」「チーズ」そして雲南市木次町の桜をスモークチップにして燻製された「スモーク」の3種類があります。どれも、毎日の朝食のおかず、とかよりも、ちょっと特別な夕食に、あるいはバーベキューなどアウトドアシーンに、という雰囲気がぴったりかな、と思います。

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今回、誰に頼まれたわけでもないのにこうしておいしい食材を調理して撮影したのですが、それは「島根っていいところだな」という思いを皆さんと分かち合いたいからです。


鹿糠さんが工房外の山々の景色を見ながら「ほんと、ここっていいところっすよねえ」としみじみおっしゃっていた、その気持ちを、画像とことばを通して皆さんにお伝えしたい。うまく伝えられるか分かりませんが、中山間地でこうして地域のことを考えながら、日々おいしいものを提供している人がいる、ということを、ひとりでも多くの方に知っていただけたらと思います。

鹿糠さんのソーセージは現在、オンラインショップでのみの販売となります。
将来的には近くにある道の駅「おろちの里」での販売や、キッチンカーでの出張なども考えておられるとのこと。今後の活躍に期待ですが、まずはソーセージのおいしさが、確実にたくさんの方に伝わることが大切!

皆さんもよかったら、お試しくださいね。


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