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「嬉しいこと」の連鎖 ~デザインがつなげてくれるもの。

今日の「時々、コラム」は、「嬉しいこと」の連鎖について。

イベント準備でバタバタしている中、いつもデザインのお仕事でお世話になっている鳥取県大山町の「ゲストハウス寿庵」さんのnoteを読んで、じんわり嬉しくなりました。

寿庵さんのnoteはこちら。タイトルはずばり「嬉しいこと。」

80代のお母さまと一緒に寿庵で宿泊されたお客さま。
お母さまはかつて大山登山を何度もされていた山好きさんだそうで、寿庵さんの2021年版カレンダーを親戚からもらったことがきっかけで、大山にどうしても行きたい!と気持ちが高まり、今回おふたりでご宿泊されたとのこと。

私が言うのもなんですが、寿庵さんは宿泊用のお部屋が2階にあり、階段もかなり急で、ご高齢の方には不向きな印象です。でも、それでも寿庵に宿泊されたお母さま、きっとご縁を感じられたのでしょうね。

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その縁をつないだのが、自分たちもかかわっていたカレンダーだったというのがとても嬉しくて、寿庵さんが喜んでいらっしゃるのも伝わり(一緒に大山を案内したと書いてあって、寿庵さんならやりそう!さすが!と思ってしまった)、嬉しいの連鎖でこちらもあたたかな気持ちになりました。

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以前にも何度かお伝えしていますが、この寿庵さんの2021年版カレンダーは、暖冬+コロナ禍で集客が見込めない山の宿を何とか存続させ、皆さんに大山のことを(今は来れなくても)思い出してほしい、というオーナーさんの気持ちを受けて、プロジェクトとして制作したものです。

プロジェクトの詳細はこちらにあります。

オーナーさんがとにかく山好き、大山が好き、という方で、私たちもそのお人柄に触れ、女性がおひとりで宿を開業するというチャレンジを応援したい、という気持ちで開業前からお付き合いをさせていただいています。

カレンダーも、同じ作るならたくさんの方に見ていただけるように投票制にして、お客さまたちに写真を選んでもらったらどうかな、と提案をさせていただきました。

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写真も、オーナーさんの思いを応援したい、というアマチュアの方たちが撮影されたもので、12か月それぞれにたくさんの方たちの「大山っていいね」という気持ちが詰まっています。

私たちは、皆さんのその気持ちを形にする作業を担当し、12枚+表紙のデザインをさせていただきました。

売れてほしいなあ…とドキドキし、寿庵さんがあまり頻繁に宣伝されないからやきもきして「何度もPRしたほうがいいですよ!」とメールしたり(おせっかいかもしれないけれど、せっかくの良いものだからたくさんの人に届いてほしい)して、オーナーさんと一緒の気持ちでずっと過ごしてきました。

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なので、今回このカレンダーがつないでくれたエピソードを読んで、ああデザインという仕事をさせてもらってよかったなあ、としみじみ感じたのでした。


デザインにはいろいろな役割があり、目立つように、とか、オリジナリティを重視して、とか、クライアントさんによって求めるものはさまざまです。

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でも私たちくらしアトリエの場合、奇抜なものや派手なものは苦手で、「商品棚で目立つよりも、買って帰った方が家においてすんなりなじむデザイン」のほうが得意…というかそっち側しかできません。家の中でデザインが目立つよりも、むしろ馴染んでわからないくらいがいい、とさえ思っているので、かなり偏った仕事をしていると自覚しています。

でも、NPO法人くらしアトリエがデザイン業を行うのであれば、「暮らしを、地域を楽しむ」「住んでいる土地を誇りに思う」という自分たちのコンセプトに沿ったものを作ることが必然的な役割であり、そうでないものは自分たちが行うべきではない、と考えています。それを考えて考えて仕事をすると、デザインの方向性はおのずと決まってくる、と思うのです。


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おかげさまで、このコンセプトを理解していただき、「ひそやかで、でもちゃんと思いがこもったものを作りたい…」というご依頼があります。

ひとつのお仕事が次のお仕事を招いてくれることもあります。各地で頑張っている人たちを「私たちなりのデザインで」応援したい!という気持ちは、こうして依頼をしてくださる皆さんのおかげでずっと続いているのだと思うと、あらためて感謝、感謝です。


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寿庵さんのほかにも…かなり前の話ですが、雲南市の郷土料理レシピ冊子「ふるさと、ごはん」の製作を担当させていただいた際には、たまたまお会いした方から「娘が成人式であの冊子をもらってきたのよ。市役所もいいことされるねえ、ありがたいわ」という言葉をいただきました。

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20歳の娘さんに、ふるさとの料理を伝えたい…という気持ちが素敵だなあと思ったのと同時に、自分たちの仕事がいろんな方の人生の節目に立ち会っているんだなあ…と感慨深かったのを覚えています。

また、同じ雲南市の「うすの会」さん。
思えば「ふるさと、ごはん」がご縁で仲良くさせていただいていますが、ジャムのパッケージが道の駅でもとても人気だと、喜んでくださっています。ジャムも、「いろんな果物や野菜をミックスして作ってみたら?」とご提案し、うすの会さんもそれに応えて試作を重ねてくださってできあがったもの。

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おいしいのができたから、パッケージもとびっきりかわいくて、わくわくするようなものにしよう!と、楽しみつつも思いが伝わるように心を込めて製作しました。実際に道の駅で喜ばれているということで、こちらも嬉しい。



さらに…こちらも雲南市ですが、定住推進のPRポスターを担当させていただいたことがありました。

雲南定住ポスター

山王寺の棚田に、スタッフの娘たち3人を連れてきて「ほれ遊べ!」と野に放って撮影したものです。

この棚田+娘たちの風景が雑誌の裏表紙に掲載され、それを見た方が島根に興味を持ってくださり、最終的に移住に至った…という、めちゃくちゃ嬉しいお話もありました。直接そのお話をご本人からうかがったときには、嬉しいやら責任を感じるやらで、やたらドキドキしてしまいました…。

書き尽くせませんが、すべてのデザイン、すべての依頼者の方に思いがあり、一歩一歩前に進んでいくそのお手伝いができるという意味でも、デザインの仕事は本当にやりがいがあります。

これからも、依頼してくださった方にも、受け取った方にも嬉しさがあるような仕事をしたい!あらためて原点に立ち返るきっかけをいただいた、今回の「嬉しいこと」でした。


そして、デザインのお話に関連して。私たちくらしアトリエのnoteの記事の中で、ダントツで一番に閲覧されているのがこちらの記事です。

新型コロナウイルス感染症の拡大予防のための注意喚起データを無料配布しています。たくさんの方に見ていただき、お店の方など、実際に利用してくださっています。ありがとうございます!

あすまで開催中の「うつわと暮らしを楽しむ秋」のマーケットでも、施設内に数か所掲示して注意喚起しています。

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感染がふたたび拡大しつつあり、不安も尽きませんが、それぞれができることをしっかりと当たり前に行うことが、一番の予防策だと考えています。デザインで少しでも皆さんの不安の解消になれば…という思いで製作したこちらのデータ、引き続き無料でダウンロードしていただけますので、ぜひご活用ください。よろしくお願いいたします。


サポートありがとうございます。とてもとても励みになります。 島根を中心としたNPO活動に活用させていただきます。島根での暮らしが、楽しく豊かなものになりますように。