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慶應大学講義『都市型ポップス概論』14【春期最終講義 HIP HOP〜街角の音楽の変遷〜】(こたにな々)

●文学部 久保田万太郎記念講座【現代芸術 Ⅰ】

『都市型ポップス概論』 第十四回目

----------------2018.07.20 慶應義塾大学 三田キャンパス

講師:藤井丈司 (音楽プロデューサー) ・ 牧村憲一 (音楽プロデューサー)

ミドル・パッセージ

大西洋間奴隷貿易において、アフリカの黒人奴隷たちを奴隷船に乗せて南北両アメリカ大陸へと運んだ道筋を指す言葉。

このアフリカ人達がアメリカにやって来たのは1619年。バージニア州のジェームズタウンに20名が来たのが最初だと言われている。

このアフリカ人達がアメリカ大陸に持ち込んだのは、労働力と音楽だった。

持ち込んだ音楽の4つの特徴ー

当時アフリカには文字が無く、言語と音楽が同時にあった。

●水太鼓

河で水太鼓をしコミュニケーションを取る子どもたち。

参照リンク:https://www.youtube.com/watch?v=iVStKVoadO4


●軒先で歌うシンガー

訪れる地域の家や家族を事前に調査し、その家の前で褒める歌を歌った。

参照リンク:https://www.youtube.com/watch?v=u9fLX6HyZWY

暮らしと音楽が共にあり文字がなくても成り立っていた。

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アフリカには共通のリズムがあり、”ラテン” というのはアフリカのベーシックなリズムから来ているというのが今や立証されている。16世紀あるいはもっと前からあったリズムを今日我々は当たり前のように受け入れている

バージニア州のジェームズタウンに20名のアフリカ人達が来てから200年後の1800年代中頃には ”ジュビリー・シンガーズ” という黒人達だけのコーラスグループが出来る。

この黒人霊歌はさらに ”賛美歌” や ”ゴスペル” となった

●賛美歌第二編 167番 Amazing Grace

参照リンク(音声のみ):https://www.youtube.com/watch?v=ZoJz2SANTyo

1950年代にジャズがモダンジャズ期に入った時、黒人から生まれた音楽のボーカル・コーラスは ”ドゥーワップ” というスタイルを生み出す。

ドゥーワップは、街角、ストリートで披露された。アカペラ、楽器のない、買えない人々の音楽だった。

●Take 6 『What a Friend We Have In Jesus』

参照リンク(音声のみ):https://www.youtube.com/watch?v=bfT7876GzLo

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やがて時を経て ”ディスコ” にも。踊れるかはヒットのための重要な要素だった。

●YMO『Tighten Up』

参照リンク:https://www.youtube.com/watch?v=dVw9ff2_DNY

この後、”ファンク” が流行。

こうしたアメリカの音楽に影響されたアフリカのミュージシャン達も沢山いた。”フェラ・クティ” はその一人。黒人たちの直面していた公民権運動や、アフリカがルーツのアメリカナイズされた音楽に刺激を受ける。

その、フェラ・クティに影響を受けたのがYMOだった。

●YMO『Riot in lagos』

参照リンク:https://www.youtube.com/watch?v=6VxrjudULGE

この曲には歌は入っていないが、動物のような鳴き声が意図して入っており、それは冒頭で観たアフリカの水太鼓のように自然と音楽が同居している

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一方、 ”街角の音楽” の発展は?

楽器を使わずレコードを ”サンプリング”するという手法で、新たな音楽を生んだ。

●アフリカ・バンバータ『Planet Rock』

クラフトワークというドイツのテクノグループから再生産した音楽。レコードから取った音だけで楽曲が作れるという事を知らしめた曲。

参照リンク:https://www.youtube.com/watch?v=b-elzq4IaOk


●RUN DMC 『Walk This Way』

既成の楽曲を利用し、ヒット曲を出す。

参照リンク:https://www.youtube.com/watch?v=4B_UYYPb-Gk


● Geisha Girls『Kick & Loud』

RUN DMCとある意味対をなす日本のパロディ・ヒップホップ。坂本龍一プロデュースで芸人のダウンタウンによるユニット。

参照リンク:https://www.youtube.com/watch?v=URhBUEnAdw8


●小沢健二&スチャダラパー『今夜はフギー・バック』

日本のヒップホップスタイルのヒット曲。文学的なものとストリートの組み合わせで成功する事が多い。日本のヒップホップのオリジナリティはそこにあると言える。

参照リンク:https://www.youtube.com/watch?v=6lKTQbrM9RI

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●BEAMS40周年記念 TOKYO CULTURE STORY 『今夜はフギー・バック』

時代性と音楽とファッションと、その時代を司った音楽はどういった音楽だったのかを短い時間で表現した映像―。

参照リンク:https://www.youtube.com/watch?v=l3Mufe5jY60

本来、文字とは別に言語と音楽があった時代があり、それがやがて文字という存在によって音楽が分裂した。故に音楽と言葉をどうやってあるべき姿に戻せるかという模索がずっと続いている。

音楽は螺旋状に回っている、

と最初の講義のテーマに戻って、春学期は終了です。

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お読みくださってありがとうございました!

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素晴らしい講義を春期して下さった牧村先生と秋期から講義を担当される藤井先生に感謝致します。では、また次回!(秋期レポートは不定期でバンバン出していきたいと思います)

本文章は牧村さん及び藤井さんの許可と添削を経て掲載させて頂いています

文:こたにな々 (ライター) 兵庫県出身・東京都在住  https://twitter.com/HiPlease7

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