「市民のリビングルーム」フィンランド図書館(1) Kirkkonummen Kirjasto
フィンランドの図書館はどれも本当に素敵。静かにしなければいけない堅い場所ではなく、子どもたちが遊んだり、友達をお茶をしたり、カップルがデートで出かけたりできるような場所。
ところで、フィンランドは図書館利用率が世界一らしいです。
それには様々なサービスの工夫もありますが、空間の工夫に目を向けて、図書館を見たいと思います。
今回、Kirkkonummiに新しく出来た図書館に行ってみてので、レポします。
1. Entrance エントランス
図書館に入るとすぐに、淡い光に包まれます。
温かみのある木の壁と、自然光を反射する白い壁。
これから知の空間へ入っていくんだ、とワクワクさせてくれるエントランスです。
2.Children 遊び心いっぱいの子供スペース
エントランスを進んでいくと、壁にくぼみがあり、ちょっと本を飾るコーナーが。この時は、ムーミンの本たちがピックアップされて並んでいました。
子供の目に留まりやすい場所に、ちょん、と少し本が置いてある。注意を引き付けやすい、本の紹介の仕方だと思います。
その棚の横には、壁に空いた小さな穴が。ちょうど5歳くらいまでの子供が入れるくらいの大きさです。
大人が簡単に通れないサイズに特別感を感じるのか、娘は喜んで中に入って行きました。
ワクワクして穴の向こうへ行ってみると、子供用の図書スペースでした。
本は子供が手に取りやすいように、また本の表紙が見えやすいように並べられています。
座って読む場所は、洞窟みたいなくぼみであったり、石のような大きさの様々なベンチ。子供の冒険心をくすぐります。
海底をテーマにしているようで、インテリアに使われている色は、海の色を想像させる青や緑、砂浜や岩を想像させられるグレー、魚の色を思わせるオレンジや赤。
本を読むのに飽きたら、身体を動かしてエネルギーを発散できる仕掛けも。
小さい子供は集中力が長く続かないもの。そしてありあまるエネルギーを発散してあげないと、癇癪を起してしまうこともあるのでは。
それでも大丈夫。図書館の中に、身体をしっかり動かして遊べるスペースがあります。
そう、フィンランドの図書館は、子供が本を読むだけではなく、走ったりして遊んでもOK! (はしゃぎすぎは、大人がたしなめます。)
知的活動に、遊びを入れて休憩を。
上の写真は、さっそく遊んでいる3歳の娘。とても楽しんでいました。
上の写真の右側はクライミング、滑り台、小さな洞窟があり、左側には赤ちゃん向けのおもちゃがあるスペースです。
滑り台の方ではだいたい2-4歳、赤ちゃん向けの方には0-1歳の子供がいました。
子供同士でぶつかって、小さい子がケガをしないように、空間がしっかり分けられていています。これで親も安心して子供を遊ばせれます。
上のカプセルみたいな機械。どんどん本を借りたくなるような、装置です。スクリーンの下に本を置いて、本の表紙についてあるバーコードを読み込むと、本を借りることができます。
ティーン向けのスペースに、こんなお勧めコーナーがありました。興味を引き付けられる展示です。
2.Stairs 1階と2階を繋ぐ階段は、本を読む場所。
ティーン向けのエリアの近くに、1階と2階を繋ぐ大きな階段があります。
階段の上にはベンチのようなクッションが置かれ、そこへ座って本を読めるようになっています。
階段に座ると、上のような景色。右に子供用のエリア、左側に10代の若者のエリアが見えます。
この階段付近は、若者たちで賑わう場所。
階段を本を読みたい場所にする。そうすることで、本を読む、という静的活動の間で、少しでも動的活動を増やすようにする配慮でしょうか。
3.Study 勉強・会議スペース
階段を上っていくと、本よりも椅子や机の方が多く置かれた空間になっていました。
DVDやゲーム、CD、ボードゲーム、チェス盤などが置かれていました。
フィンランドの図書館は本だけを借りることのできる場所ではありません。わたしたちもボードゲームを借りたり、フィンランド語の勉強の為にジブリのDVDを借りたこともあります。
この扉の向こうにあるのは、、
Study roomでした。部屋は照明のレベルを落とされ、壁は濃いグレー。その中にホワッと浮かびあがる、木の作業机と椅子。自然に視線がデスクへ行きます。
デスクの上には、携帯の充電器とプラグが。
部屋の外にはテラスがあり、優しく自然光が入ってきます。
ぐっと集中して、静かな場所で作業したい時に、使いたいな、と思える部屋でした。
そして会議室。予約して利用可能です。部屋にはスクリーンがあり、プレゼンをして新しいビジネスでも話し合っている人達の様子が見えます。
そしてまた一階へ、メインのエリアへ。
4.Adult 何時間でも居たい、大人用スペース
自然光に溢れる、開放感のある、清らかな空間。
天井が高く、本棚は、大人が手に取りやすいちょうどよい高さ。本を手に取って、一人掛け椅子にゆったり腰を掛けて読む。
ここでも、本もぎっしり詰められていなく、余裕をもって置かれています。
仕事や勉強をするのに向いているスペース
土曜日の朝、すでにパソコンに向かって作業している若者たちがいました。
図書館にはカフェもあり、カフェの近くのエリアは天井が低くなり、椅子が小さなテーブルを挟んで向かい合わせに置いてあり、話しやすい雰囲気になっています。
おじいさんおばあさん達が、コーヒーと本を手に、静かにおしゃべりしていました。
5.感想 ここでリモートワークしたい、と思う図書館!
Kirkkonummi kirjastoに限らず、フィンランドの他の図書館も本当に空間が素敵なところが多いのですが、ここで本を読んだり、仕事をしたりすると、生活に対する満足感、幸福感が上がります。
図書館=「市民のリビングスペース」
これを体現してると思います。
本をちょっと読みに、コーヒーを飲みに、友達とお喋りをしに、子供と遊びに、勉強をしに、仕事をしに、息抜きに、いろんな理由で行ける図書館。
図書館大好きです。これからも、フィンランドにある様々な図書館をご紹介したいと思います。
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