【価値観を形づくる宿】 5. 日常の角度を少しだけ変えるライフスタイルホテル
久しぶりに、書き残しておきたくなる宿泊が続いた。
過去、noteでこんな記録を残していたので、滞在の熱が冷めないうちに続けてみる。
立て続けに宿泊したふたつのホテルで
心動かされてしまった。自分のスイッチが入る瞬間をあきらかに受け取れた、気持ちと行動が変わる仕掛けをたしかに感じ取れたから?
滞在にあたって、ホテルのたくさんのこだわりを教えてくれた周囲、そしてホテルのみなさまに感謝を込めて書き残す。
Zentis Osaka、早起きした日の朝の洗濯。
回るドラムを見つめ頭を限りなく空っぽにする時間や、しわくちゃを広げてのばす単純な反復運動が好き。
普段なら慌ただしく家族を急かして家を出るのに、朝にゆとりがあるって稀有なこと。
Zentis Osakaには、最高のコインランドリーがある。
なんてカジュアル極まりないワードを放つが、「room001」と名付けられたこの小部屋はたしかに「0からまた新しいいちにちへ」「最高の」身支度を整えるのにふさわしい。
コインを入れて洗濯を回す間にコーヒーを一杯。備えられた地元ゆかりの本を読み、もう少しで仕上がるかな、と見計らってアイロンを温める。
整えたてのシャツをはたいてそのまま羽織ったら、備えられた棚からいつもと違う香水をひとふり拝借する。
その日は朝から外回りの予定で、チェックアウト時間には2時間半も早いのが悔しい。そのうえ外はげんなりするような炎天下だけど、いつもより背筋を伸ばして宿を出た。
いつもと同じルーティンを、いつもより格段に心躍る「001号室」から始める。うーん、この心地よさをなんとか自宅にも作れないものかしら、と烏滸がましいことを考える。どんなに同じモノを揃えたって、やっぱりこの小部屋には叶いそうにない。
日常を「少しだけ」豊かにする仕掛けについて、
この滞在から、ぼんやり考えていた。日常と非日常なんていうような大掛かりなギャップではなくて、たしかに毎日の延長にあるんだけど、滞在を経て暮らしがちょっとだけ変わるようなもの。
ニッコースタイル名古屋、夜9時を過ぎて。
またある日のチェックイン。へとへとになるまで歩き回って働いた日の夜だった。
部屋に入ってまずすべきこと。それはGENEVAのスピーカーでチャネルを90に合わせ、バルミューダのケトルでお湯を沸かすこと。ニッコースタイル名古屋の、音楽とコーヒーへの深いこだわりを体感したくて。
パンプスは床に投げ出されていても、穏やかな夜のBGMがいつもより豊かな夜を演出してくれる。
一服つくと、あー、もうこのまま寝てしまいたい。けど、初めましてのPanpuriのバスアメニティを堪能したくて、よたよたとお湯を張る。
BGMはそのまま、部屋の明かりもトーンダウンして、バスソルトと一緒に身体もお湯に溶かすのだ。
しつらえはもちろん違うけど、ちょっとだけペニンシュラのバスルームを思い出す。ライトと音楽が醸すゆるやかな夜がなんだか近しいかも。今日もちゃんとリセット完了できてえらい、と自画自賛して眠りにつく。
広い窓を覆う遮光カーテンも我が家の仲間に迎えたくなるほどよく働いてくれて、気づけば朝7時。
二度寝の誘惑に半分負けながらも這い上がり、またスピーカーをONにする。
スイッチを入れれば今度は、ゆっくり身体を起こしてくれる朝の音楽が流れる。不思議なことにその響きに背中を押されるようにして、そのまま顔を洗う。ひとたび洗面台に立てば丸鏡がなんだか自己肯定感も上げてくれて、サクッと身支度が完了してしまうわけだ。この仕組み、すごすぎ。
どんな写真のなかでも伝えられない、泊まってこそ気づくこと。
夜のOFFも朝のONも、滑らかに進んでいく仕掛け。
そこは確実に日常の延長にありながら、新しい日常の角度を少しだけ変える
そんな気づきをくれるのがライフスタイルホテルというものらしい、と初心者は解釈する。ひとりだけの室内で、次の日に持ち帰りたくなる暮らしの様式を体験して。
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