Kurara

何がしたいわけでもないです。

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学校イチ怖いお婆さんは、なんの先生だったのか

そのひとは、音楽教諭のはずである。 職員室にいることはなく、音楽室のある4階が住処。第1から第4まである謎の小部屋「音楽準備室」で楽譜の束と過ごしていた。 わたしが中学から高校の6年間を過ごすカトリックの女子校、その門をくぐったころ、お婆さんはすでに60代。はりのあるグレイヘアーは逆に若々しく見えた。 背は小さいが、背筋を曲げることはない。同年代であろうマスール(修道女)、熱気と圧しか感じない男性教諭にも勝る気迫。校長よりも権力を持つ、スクールカースト最上位の最恐教師だ

    • 【価値観を形づくる宿】 5. 日常の角度を少しだけ変えるライフスタイルホテル

      久しぶりに、書き残しておきたくなる宿泊が続いた。 過去、noteでこんな記録を残していたので、滞在の熱が冷めないうちに続けてみる。 立て続けに宿泊したふたつのホテルで 心動かされてしまった。自分のスイッチが入る瞬間をあきらかに受け取れた、気持ちと行動が変わる仕掛けをたしかに感じ取れたから? 滞在にあたって、ホテルのたくさんのこだわりを教えてくれた周囲、そしてホテルのみなさまに感謝を込めて書き残す。 Zentis Osaka、早起きした日の朝の洗濯。 回るドラムを見つ

      • 3月31日、保育園児のこどもごころ

        18時をすぎてからお迎えに駆け込む親は少なく、いつもならどんどん空いていくはずの保育園の駐輪場がごったがえしている。 3月31日、卒園児や退任する先生へひとこと挨拶しようと親もこどもも帰る気がないのだ。ましてや働く父母たちの金曜日、名残惜しさも相まって例年以上にのんびりモード。 0歳児クラスから保育園に通う娘も、保育園生活丸5年の年中さんを締めくくる節目だ。来年は年長さん、となってはじめて、ようやくお別れの季節を理解したらしい。 よーく遊んでもらったひとつ上のお兄さんお

        • 雑誌の読み(切り)方がわからない

          雑誌名とその特徴がすらすらっとやりとりされる会議。 これでこれをこうしようと思います〜ああ(媒体名)っぽいね〜、なんて会話が飛び交うシーンを、別の世界の出来事のように眺めてしまう私がいる。 マーケティングやPRの仕事をしている人って、どうしてそんなにすらすらと媒体名やその読者層の特徴を語れるんだろうなあ。 知識不足を恥じるような立場でもないのでストレートに質問してみる。まあそりゃあそうだ、まずは「読んでいるから」と回答がくる。 いろいろな雑誌を並べて、めくって、ざっとト

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          入会1年、初めて友人にSHElikesを語った日

          20代後半、友人のなかにも「ひとかどの人物」が急に増えた気がした。SNSで流れてくる採用メディアのインタビュー記事やウェビナーのバナー。見慣れた顔に肩書きが加わると、途端に彼らは知らない物語の主人公に見えた。 同じ学生時代を過ごしたはずなのに、一方のわたしは?メディアに載らなくたっていいけど、スキルに専門性、そろそろどうなんだろう。 誇らしい友人たちと「何者でもない」わたしの差分。 数年悩んで、2022年の1月、キャリアスクールで学ぶことを決めた。 入会の意思決定から今

          入会1年、初めて友人にSHElikesを語った日

          2023年、あなたは「52万5,600分」をなにで数える?

          " Five hundred twenty-five thousand Six hundred minutes… " 繰り返される数字から始まる幕開け。 ミュージカルRENTの二幕冒頭、直後に年明けのシーンが描かれるなかで歌われるナンバーの一節だ。 その52万5,600分、つまり1年を ” How do you measure ? " あなたは何で数えるかと問いかける。例えば。 2022年を数えてみて わたしの振り返りは、1年に観た演劇の数で。 劇場に足を運び、通信

          2023年、あなたは「52万5,600分」をなにで数える?

          年始に迎える、年に一度の外見勝負

          頑張ったところで中身はたいして人と変わらないんだから、 せめて外見で勝負したい。 そう、わたしらしいかたちで。 というのはひととなりの話ではなく、お年玉について。 中身を弾んだところで厚みが変わるようなインパクトは出せっこない。それならポチ袋。なんなら記名なしの袋だってあいつからもらったやつだと思われるような、外見勝負をしたいのです。 友人同士で現金を渡しあうようなご趣味をお持ちの方は、このお気持ち汲み取ってくれるでしょうか。 すなわち、チケット代を手渡しする文化のみ

          年始に迎える、年に一度の外見勝負

          振り返り|2022年観劇・14作品まとめ

          2022年の観劇は14作品でピリオドとなりそうです。公演中止のため、ここに入らずに紙切れに変わったチケットもありますが、今年観たもの振り返ります。お芝居・ミュージカル、入り混じりの雑食記。 長いです。目次に何かピンとくるものがあれば飛ばして見てください。 お好きな方は、主観・思い入れによって文量の差が激しいことをお許しください。色々と敬称略ですが、重ねてすみません。 リトルプリンス(シアタークリエ・1月) 音楽座の歴史に残る演目が東宝製作で蘇る。王子役は音楽座上演時から

          振り返り|2022年観劇・14作品まとめ

          振り返り|今年の一文字と「わたしをお使いください」

          2022年は恥の多い一年だった。できないことに向き合いながらそれでも何かしたくて何ができるのか考えて、未だしんどいなかにはあるけれど、まあ2021年だって2023年だってそうなんだろう。 1月初旬の仕事始めのミーティングで掲げた、今年の一文字。 その一文字は「捧(ささげる)」。 そのころはそのころで色々と選択する機会にあった。 ざっくり言うと、これからも一生同じ業界について考え続けていくべきかという悩みにひとつ答えを出したところだった。結果として、その道を進み続けている。

          振り返り|今年の一文字と「わたしをお使いください」

          もう二度と会えないと思ったら、国境を越えて連れて帰ってしまう

          国内でも海外でも、観光地のお土産やさんってなんであんなに吸引力があるんでしょう。大した量は買わないのに、店内をひとしきりぜーんぶ回ってしまわないと気が済まないの。 定番のお菓子や名産品が大型書店みたいに平積みされているなかをすり抜けて、立ち止まるおもちゃコーナーが大好き。キーホルダーがくるくる回る筒型ラックのディスプレイを、とりあえずキィって言わせる。 子どもと旅する前からそうだったから、子どものためじゃない。 わたしが楽しいだけ。 旅先でこそ止せばいいのに、買ってしま

          もう二度と会えないと思ったら、国境を越えて連れて帰ってしまう

          手巻き寿司と手間のおはなし

          最寄りのスーパーは魚が不味い。そのへんで買っても魚が美味しい地域はいいなあ。海辺の宿で、持ち込んだスーパーの魚が豪華な煮付けと海鮮丼に変わったとき、心底ずるいって思った。 切ない話で、我が家で美味しい魚が食べたくなったら電車に乗って買い物に行くのだ。家事の手抜きの手巻き寿司には、実は交通費がかかっているのよ。 刺身と具材を盛って、お吸い物と付け合わせ。 今日の夜ごはんはこれでおしまい。みなさんどうぞ、いただきます。 わたしは長女の、夫は長男の専属板前。子どもたちの食べるペ

          手巻き寿司と手間のおはなし

          【書く習慣】30日間書いてみて、気づいたこと

          #30 30日間書いてみて、気づいたこと DAY1を始めたのは10月8日のこと。はなから「書く習慣1ヶ月チャレンジ=DAY30まで毎日投稿」は無理!とハードルを下げに下げて始めた。そこから約2ヶ月かかったわけだが、今日でひと区切り。 30のテーマを順に進めた、書く習慣。 はじめたきっかけと、30投稿を続けてみての2つの気づきを残して締めよう。 書く習慣、はじめたきっかけ オンラインから始まる交友関係が増えているこのごろ。名前は知ってる、アイコンの画像で知ってる、目に見

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          【価値観を形づくる宿】 4. 旅暮らし経験ゼロからのソーシャルホテル「HOTEL GRAPHY根津」

          4本目、そろそろおしまいに近づいています。極めて個人的な宿泊施設にまつわる記憶の話です。 社会人になって:移動制限のさなか、旅暮らしを思う 旅行・宿泊業界で働いていても、旅暮らしとはだいぶ違います。 「旅行業界で仕事する」「旅を仕事にする」「旅しながら暮らす(仕事する)」どれも少しずつ違うんですよね。わたし自身は1つ目しか当てはまっていません。 旅暮らしはしたことがありません。学生時代にバックパッカーとして各地を回った経験もありません。宿泊施設で旅人同士の交流が生まれる

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          【価値観を形づくる宿】 3. 大学生が初めて知った旅館の導線「飛騨亭花扇」

          うっかり続いてしまった3本目、極めて個人的な宿泊施設にまつわる記憶の話です。 大学生:背伸び価格の旅館に泊まってみたかった ホテル、ホテルと言って幼少期から今までを過ごしているわたしです。一方で仕事やプライベートでも「旅館」まわりの経験はかなり少なく、それゆえ色々とひっくるめた「旅行好き」とはなんとなく名乗りにくい。 旅館とご縁がなかった理由は、建築様式と立地かと思います。建築をやっていた父が…とよく枕詞や言い訳に使いますが、携わっていたのは洋風建築。そして都内で生活す

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          【価値観を形づくる宿】 2. 小学生の憧れを刺激したメゾネット「蓼科東急ホテル」

          うっかり続いてしまった2本目、極めて個人的な宿泊施設にまつわる記憶の話です。 小学生:二段ベッドよりも憧れたメゾネット これは小学生のころの記憶。長野県の蓼科高原での宿泊です。 幼いころの宿泊体験はほとんど、建築家の父が仕事のお付き合いやインプットを目的として予定したものだった気がします。 そのため、仕事関係者との家族ぐるみの付き合い(に見せる)ための宿泊が多かったのですが、この宿泊は珍しく家族4人だけでの時間だったようです。 なぜ「家族4人」と思い出せたのかという

          【価値観を形づくる宿】 2. 小学生の憧れを刺激したメゾネット「蓼科東急ホテル」

          【価値観を形づくる宿】 1. 幼児の目から見た「二期倶楽部」

          極めて個人的な、宿泊施設にまつわる記憶の話です。 最近「運命思考」というワードを知りました。人もものの記憶もすべて繋がりや因果があると考えるらしいです。長いこと宿泊業界の周辺でフラフラしている自分の、今を形作っているはずの記憶を残しておきたいなと思い、これを書いています。 わたしの場合悲しいことに、長いあいだ自分の記憶に残ると確信できる宿泊施設はそう数多くありません。なかでも、価値観を形作ったとまで表現できるものは片手で数えられるほどです。 なぜ泊まったのか、何をしにい

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