三宅木工房・三宅智之さんによる、ひな人形の造形〜しとやかな木の生気の発露〜
岡山市の三宅木工房、三宅智之さんによる、ひな人形の造形です。
木のもとの形を生かして、浅く彫られています。色も木と同系色で、草木染めのようにやさしく淡く着色されています。
側面も、彫りが浅く、のっぺりしています。
造形の真骨頂は、背中の表現にありました。後ろから観ると、浅く彫ってあるのに、内裏びなの結った髪の生え際が、くっきり鮮やかに輝いて、早春に咲く白梅の趣です。雛は、束ねた髪が、小さく、かわいらしく躍動し、春の小川の流れのような生命感を帯びています。
本作は、木の声に応え、しとやかに木の命を引き出した、工芸の領域を越えたアート作品と言えます。妖精が木から生まれ出るのを、三宅さんが手伝ったという感じです。
桃の花を生けて、ひな祭りを祝いました。
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