見出し画像

ナホさん

ナホさんは、岩手県内陸部の遠野市出身です。遠野市は民話の里として知られています。遠野が交通の要所であったので、旅人が各地の伝承を伝えたのと、四方を山に囲まれているために住民の移動が少なかったことがひとつの要因だそうです。
今、遠野の風土・文化が注目されていて、先日もNHK Eテレで、俳句の夏井いつき先生が、遠野を訪ねる番組が放映されました(夏井いつきのよみ旅 in 岩手前編)。

ナホさんは、父親の転勤で、15歳から18歳まで米国のテネシー州で過ごしました。多感な時期に現地の学校に通ったとのことで、異文化のなかで苦しいことが多かったことでしょう。

イワガキ・ナホさん

ナホさんは、東京の大学を卒業して、沖縄に住み、西日本各地を転居して、いろいろあって、遠野を出発して、地球を半周し、岡山に定住することになりました。
自然が厳しい風土に生まれ、長い旅をしてきたナホさんは、竹久夢二の感性を育んだ、温暖な岡山の風土に、きっと安らいだのではないでしょうか。

ナホさんは、真鍮の金工を生業にしています。

ナホさん作 真鍮のカトラリー 筆者所蔵

真鍮は、銅と亜鉛の合金で、黄金色が美しく、軟らかく加工がし易い特性があります。手に持つと、ステンレスの道具と比べて、やさしい感触がします。

ナホさんが制作した真鍮製のカトラリー*は、手作りなので表面や切削面に不規則な凹凸ができていて、それによって口唇や舌・口腔の粘膜が、揺すぶられ、くすぐられる感触が心地よく、味覚体験が豊潤になります。
使い続けて表面が酸化してくると、摩擦抵抗が増し、味覚体験が変化してくるのを楽しめます。酢と重曹で洗浄するとまた元の黄金色にもどってリセットされます。

辛抱強い東北人の感性と、温暖な岡山の風土とが融合して生み出された、飾り気がない、心遣いを秘めた道具です。
筆者は、すっかりはまってしまって、全用途の作品を揃えて、食材毎に使い分けながら、毎日使っています。

ナホさんは、ナホローハン(nahorohan)と言いますが、台湾料理(ルーローハン)では、ありません。
ナホさんは、東北人らしい、はにかんだ笑顔がチャーミングです。

照れ屋で、粘り強く、生きる力が凄い人。

そ・れ・が、ナホさん。

つづきは、こちら


*カトラリー:食卓用の刃物類。ナイフ、フォーク、スプーンなどを集合的にいう語。

追伸
ナホさんの作品は、クレド岡山1階のdouceで展示販売されていますので、ぜひ、お店を覗いてみて下さい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?