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リモートワークをやめることはできるのか?

昨年くらいから注目されてきたリモートワーク(テレワーク)ですが、ここにきてウィルス拡大防止のためにリモートワークを急遽導入することになった企業が多く出てきたようです。

noteでも #リモートオフィス というタグで多くのリモートワークの知見が書かれています。きっかけはともかく、働き方の多様化のためにリモートワークを試していく機運が高まるのは良いですね。

私も本家ブログで多数の記事を書いているので参考にしてください。

https://kuranuki.sonicgarden.jp/tag/remote-team

現地で働くことで価値のある仕事もたくさんあるので、あらゆる企業がすべてリモートワークすべきだとは思っていません。しかし、働く人にとって選択肢が増えることは良いことかな、と思います。

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ソニックガーデンでは、約10年前からリモートワークを実施してきました。2016年には本社オフィスをなくして、全社員リモートワークになりました。今は50人ほどですが、全国17都道府県にまたがって在宅勤務しています。

今回の #リモートオフィス というお題で、私たちが培ったリモートワークのノウハウでも書こうかと思いましたが、そうした有益な知見は他にも沢山あるので、私たちにしか考えられないことは何か、考えてみました。

それが「リモートワークをやめることはできるか?」です。

オフィスに集まらない働き方をしている私たちが、あえてリモートワークからオフィスワークに移行するとしたら、メリットはなにか、どういった問題が起きるのか、抵抗があるのか思考実験をしてみました。

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まず、オフィスに集まって働くようにした場合のメリットは何でしょうか。

顔を合わせて働くのでコミュニケーションがとりやすいこと。確かに、チャットだけだと相手の様子が見えないので声をかけにくいというのはあるでしょう。しかし、私たちの場合は仮想オフィスのRemottyに出社して働いているので、互いの顔を見て声掛けしたりしています。

全社員リモートワークですが、仕事をする間はバーチャルですが出社して働きます。働いている様子は、ほぼリアルタイムに更新されていくので、同じ場所・時間で一緒に働いている感じはします。

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相手の顔を見て、表情や声のトーンも含めて話ができること。オフィスや会議室で話をすると、そうしたメリットはあるでしょう。これも、今はZoomなどのテレビ会議ツールを使って、一人一台のPCから参加することで、実際に合って話すのと遜色なく話ができます。

「Zoomだと空気感が伝わらない」という方がいますが、もしそう感じるとしたら、実際に会っても伝わっていない可能性があります。映画を見て感動できるなら、画面越しでも感情は伝わるはずです。

出社させることで、ちゃんと働いているか管理しやすいこと。目の届かないところで働いていると、本当に働いているのか不安になりますか?それは、あまりにも社員のことを信頼していませんね。でも、会社で座っていても、真剣に仕事しているとは限りませんよ。

どれだけ席に座ってパソコンに向かっているかで評価するのではなく、どれだけ成果をあげたかを把握することです。TrelloやGithubを使って、達成した仕事は何か確認するようにしています。

同じ場所で一緒に働くことで、チームワークが育まれること。「机と机を並べて物理的に近い場所で働くことで、仕事の質とスピードが高まる」それが、米Yahoo!で在宅勤務を禁止したときに言われた言葉です。本当に、同じ場所にいるからチームになるのでしょうか。

チームワークの土台は信頼関係と心理的安全性だと考えています。それらは、何もせずに同じ場所にいれば育まれるものではありません。チームビルディングは、リモートであっても可能です。

仲間たちと一緒にランチしたり、人と飲みに行くことが楽しい。これはオフィスワークならではのメリットです。リモートワークでは、なかなか出来ることではありません。一応、リモートランチやリモート飲み会なども開催していますが、居酒屋での飲み会とは違います。

私たちの場合は、年に一度の家族旅行で全社員が集まったり、たまに合宿にいって朝から晩まで語り合ったりしています。毎日ランチ、毎週飲み会とはいきませんが、親密になる機会は十分だと感じています。

自宅じゃダラけてしまうので、ON/OFFが切り替えられること。確かに、自宅に書斎や作業部屋などがなければ、つい生活から仕事モードに切り替わらないこともあるでしょう。これはオフィスに出社する価値としてありそうです。だけど、本当にオフィスに集まる必要はありますか?

ON/OFFが切り替えられて、自宅よりも作業のしやすい場所があればオフィスに集まる必要はないのかも。私たちは、地方に住む人も自宅の近くに書斎代わりの部屋を借りて使っている人もいます。

オフィスに限定すれば、セキュリティや情報漏洩に強いこと。スマホ持ち込み禁止のオフィスや、インターネット接続も制限されている環境もありますね。セキュリティのリスク対策としては良いですが、生産性やクリエイティビティの毀損とのトレードオフがあります。

そもそもオフィスに限定せず、セキュリティに対する対策や周知徹底はすべきです。むしろ、個々人のセキュリティに関するリテラシーを高めた方が、一箇所に集めて遮断するより安全性は高いでしょう。

通勤の時間で、駅まで歩く運動ができて、電車内で本が読めること。通勤にかかっていた時間を使ってジムに行くなり、ゆったりと本を読んだりする方が良いように思います。

このように、いくつかオフィスワークのメリットを考えてみましたが、大前提として私たちの仕事がリモートワークに向いているのもありますが、どれも既にリモートワークでも実現が出来ていることばかりで、残念ながら改めてのメリットが見つかりませんでした。

逆に言えば、オフィスワークでも良いじゃないか、ということでもあります。それについては、私も同意です。むしろリモートワークにした場合に大きく働き方を変えなくても良いということです。

リモートワークを導入するかどうかを検討すると同時に、改めて本当にオフィスに集まる理由は何かを考えてみても良いのかもしれません。

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一方で、リモートワークをやめるとなって経営的に見たら、オフィスを借りなければならないことが最も大変です。

敷金や月々の賃貸料といったコストもそうですが、それよりも改めて、場所はどこで、どれくらいの広さ、会議室などの設備をどうするかといった検討しなければいけないことが多くて、人的コストが相当かかります。

かつてオフィスを借りていたこともありますが、企業が成長するにつれて社員数が増えていくので、相当にうまくキャパシティを選ばないといけません。継続的に考えていかねばなりません。

次に、マネジメントの観点からは、出社と退勤の管理などを徹底しなければならないとしたら、むしろ手間が増えます。なので、今まで通りラクローを使って自動の勤怠管理にするでしょう。

また無理して、Zoomやチャット、仮想オフィスは使わなくても良くなります。が、実際には仕事を進める上で使った方が効率的で生産性も高いので、使わないということはないでしょう。

あと、社員に対してオフィスへの通勤を義務付けなければいけません。地方に住んでいる社員も多くいるため、一人ずつ話し合いをするのでしょう。単身赴任か、引っ越し、新幹線通勤などを考慮します。

雇用条件が変わってしまうために、強制的にオフィス通勤に切り替えることは出来ません。地方で自宅も持っている社員も多いので、おそらく多くの社員は辞めてしまうのではないでしょうか。

いやはや、考えただけでゾッとしたので、この辺りでやめておきます。

#リモートオフィス

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あとがき

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