6月16日「小さな婦人の足跡」
白いブラウスを着てのほほんと笑う女性。彼女は裁判で提訴をしており、聴覚障害がある。上品という言葉が合いそうな、「笑顔の似合う婦人」という雰囲気を醸し出していた。周りの人たちと明らかに違うのは、彼女の生殖機能が優性保護法により永遠に使えないものにされたことだろうか。これは許されるべきことではない。
朝出勤し、今日明日でやらねばならないことを確認する。先輩に相談。納期はギリギリ守れそうである。書類を準備し、人と話し、時間を調べ、いざ出発。大阪市役所前のベンチで、2人でおにぎりを頬張る。トイレを済ませた2人も途中から一緒に。4人全員で川沿いの風を感じながらご飯を食べた。美味しい。鳩がのんびりといつまでも座っていた。鳩も疲れたりするんだろうか。
食事を済ませると裁判所へ向かう。入り口で先輩が手を振っており、その方へ走っていく。法廷に入ると座席を案内され、そちらへ進む。
原告の女性をじっと観察した。この女性の雰囲気は、とてもほんわかとしていた。私は柔らかい動きをするその人の手話を見つめる。
障害。いつか、灰汁のような扱いを受けなくて済む日が訪れるだろうか。
願うだけではなく、行動を起こすことこそが、当事者の役割なのだと心に刻む。
職場にかえってから残業。動画に音を入れる。残存聴力を駆使する。これは医学モデルかと思ったら笑ってしまった。聞こえないって難しいけど、面白いと思えるのは仲間がいるからだろう。明日もきっと忙しい。けど、なんとかしてみせる。
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