見出し画像

完璧を目指さない

老前丸く掃く

続けるのが大事

画像3

 完璧ー。

 老前整理の鉄則の一つに「完璧を目指さない」があります。わざわざこれを加えたのは、「完璧にしなければ」という呪縛で挫折する確率が高いからです。マラソンで初めに飛び出して、途中で棄権する場合がありますね。老前整理は早くゴールすることを競うものではありません。自分のペースで、できることを無理せず、続けることが大切です。

 この「続ける」が簡単そうで難しいのです。完璧にしようと肩に力が入り、目を皿のようにしてちりひとつないようになんて、想像するだけでくたびれませんか。よく「四角い部屋を丸く掃く」といいます手を抜くとか、いいかげんな仕事のことで、よい意味ではないようですが、老前整理ではこれくらいがちょうどよいでしょう。体調の悪い時、介護で忙しいとき、友人との旅行や孫が遊びに来たら無理しないで休み、落ち着いたらまた再開する。それで十分です。

 このような時間は、からだは片付けをしていなくても、頭の整理は進んでいます。わざわざ考えてなくても、「これからは年に二回は夫婦で旅行がしたい」とか、法事などで親戚が集まった時に、「うちの母親ももうすぐ七回忌だ。そろそろ納戸の和ダンスの中の母親のきものを何とかしなければ」などが頭をよぎるわけです。

 何もかも一度にしようとすると「捨てる」ことが一番の目的になってしまいます。これでは今後のことを「考えると、」時間がありません。「何もかも捨てる」でなく、本当に大切なものを大事にするために、使うために、そでないものを手放していく。このような視点で大切なもの、必要なものを段階的に手放していけばよいのです。

もちろん、考えるばかりで一0年たってしまった・・・・・・では困りますが、これからの自分の生き方ですから、じっくり考えながら進めればよいでしょう。初めは迷うことも多いと思いますが、徐々に決断が速くなり、楽になります。そこまで続けばしめたものです。たぶん整理が楽しくなっているでしょう。そんなことは信じられないという人はぜひ試してみてください。

『転ばぬ先の「老前整理」』2016年 東京新聞より           イラスト なかだえり氏 

画像2

画像4

画像6

№31-8 エンド 木曜



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?