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心安らぐ場所に人は舞い戻る【村上市・高橋典子さん】

こんにちは!「くらすはたらく編集室」の読書くんです。
このインターンに参加して早半年が過ぎてしまいました…。時間の流れは早いものですね。
 
さて、
私は11月に村上市でゲストハウス「よはくや」を営む髙橋典子さんに“暮らし方・働き方”に対する考えや想いを伺ってきました。
髙橋さんの生き生きとした笑顔からは「地元への愛」が強く伝わってきました。
これから、それらのことについて詳しく話していきたいと思います。最後まで読んでいただけると嬉しいです。

髙橋典子さんプロフィール
村上市出身。大学進学を機に新潟を出て千葉へ。そのまま東京の広告代理店に就職。その後転職などを経験しつつ2010年に村上へUターン。村上の地元企業で働きながら2018年にゲストハウス「よはくや」を開業。

Ⅰ -村上を離れ、都会に行きたい-

―現在、髙橋さんは地元である村上市でお仕事をされていますが、以前は県外でもお仕事されていたとお聞きしました。
はい、その通りです。私は、小中を村上で過ごし、そのあと新潟市内の高校に進学して一人暮らしを始めました。大学は千葉の方に行ってそのままそっちで広告代理店に就職しました。
 
―高校で一人暮らしをされていたのですね。何か地元を出たいとかそういった思いがあったのでしょうか。
とにかく新潟から出たい。都会に行きたいっていう気持ちが当時は凄くあって。今こうやってUターンしているけれど、当時の私が聞いたらびっくりすると思う。
小さい頃はそんなに地元が好きじゃなくて。田舎だと思っていたし…。
だから新潟じゃなくて関東に出たいって思っていました(笑)。
 
―それで千葉の大学の方に行かれたということですね。大学卒業後はどのような仕事の日々を送っていたのでしょうか。
東京の広告代理店に就職して営業職をしていたのですが、今みたいにワークライフバランス的なことは何も言われていない時期だったので凄く忙しくて…。
早くて終電、遅いと2泊。みたいな…。それで体を壊してしまって。
 
―それは大変だったのですね。就活の時に、新潟での就職は考えていなかったのでしょうか。
新潟での就職は正直、全く考えていなかったです(笑)。

 その後、知人の紹介でウエディング系のベンチャー企業に転職し、企画や広報などを担当。そして、2010年の暮れに家庭の事情によって村上にUターンすることに。

Ⅱ -村上の良さに自分が追い付いた-

―2010年に村上にUターンされたのですね。
そうです。高校から一人暮らしをしていて、ずっと家族から離れて暮らしていたのもあって。そろそろ実家、家族と向き合う時期かなって。
それと、こうやって都会で暮らして働いているなかで、いつまでこの生活を続けるのだろう、続けられるのだろう、続けたいのだろうって考えたときにやっぱり自分って「田舎の子」だなって思う瞬間があって。そういうこともあってUターンしました。
 
―新潟にUターンしようと思ったのは、やはり家庭の事情があったというのが大きかったのでしょうか。
それもあります。でも、それだけじゃなくてさっきもちらっと言ったけど、私「田舎の子」だなって思う瞬間がやっぱりあって。
例えば、結婚して子供が生まれてってなった時にこの環境で子育てするのかなって。生活に対する迷いが生まれたタイミングでもありました。だから、どっちみち新潟に戻ったかもしれないです。
 
―髙橋さんは都会での生活を経験されてきたと思いますが、“新潟(地元)にあって都会には無いもの”を何か感じたりしたのでしょうか。
Uターンしてから特に感じたのは、村上の良さに自分が追い付いたなっていうのが凄くあって。私が新潟を出たのって18歳くらいだし、高校も新潟市内で一人暮らしをしていたので私の知っている村上って全然狭いというか深くないというか、浅いというか。戻ってきてみて比較するものができて初めて「自然の豊かさ」に気づきました。
あと、ご近所さんとの距離感だったり、そこから生まれる安心感だったり。地元を離れないと有難さに気づけなかったなと思う。都内に住んでいるときは近所に誰が住んでいるかなんて分からないし。一回、体調もメンタルもボロボロの時があって電車の中で泣いちゃったことがあって。その時、満員電車だったのに誰一人見向きもしてくれなくて。その時は「私が居てもいなくてもこの世界(都会)では一緒かもしれない」って思いましたね。
 
―都会を経験されたからこそ、気付いたことがあったのですね。

Ⅲ -Uターン後の取り組み

―Uターン後はどんな生活をされていたのでしょうか。
Uターンしてからは「きっかわ」っていう地元の会社で事務をしていて、その後も色々と山あり谷ありの人生を送ってきました。それから、2018年に村上市でゲストハウス「よはくや」を開業しました。 

多くの人が訪れる「きっかわ」

―「よはくや」とはどのようなゲストハウスなのでしょうか。
「よはくや」は、一軒家を皆で家族のようにシェアする3部屋だけの小さな素泊まり宿です。お食事処もお土産屋さんも温泉もない宿だけど、村上のまち全体を通して見渡してみるとそれらが全部ある。まち全体が在ってこそ完成する素敵な宿です。「よはくや」っていう名前も、宿は“余白”でまちと来てくれる人が“主役”になってほしいという願いを込めて付けました。

 ―まち全体が在ってこそ完成するって何かいいですね。「よはくや」のオーナー以外にもお仕事をされているそうで。
今は宿業以外にもライター業やポップアップイベントなどをしています。あとは、様々な職業の友人たちにワークショップを開催してもらう、「よはく市」の開催もしています。場所があると何かやりたいって思ったときにすぐ動けるので、それはすごく大きいなって思います。

熊本・阿蘇の窯元の山陶園さんのPOP UPの様子
「よはく市」の様子 (写真:Junpei Ono https://www.instagram.com/onoj5933/)

―複数の仕事をするのって大変だと思うのですが、実際どうなのでしょう。
それは、その人の性に合うかだと思います。私は色々な仕事をするうえで「よはくや」のためにならない仕事はしないって決めていて。巡り巡ってこの宿にお客さんを迎えることにプラスになる仕事をするようにしています。
 
―最後に今後の目標や展望などがあれば教えてください。
ひとつ、ずっと関わりたいなって思っていることがあって。それは移住希望の人の助けになることです。
他の自治体だとお試し移住施設みたいなのがあるのですが、村上にはなくて。でも、「移住希望です」って村上に泊まりに来てくれる人も多くて。そういう人たちが抱いている疑問とかを聴ける受け皿になれたら、私も楽しく暮らせて移住希望者の人たちのミスマッチも減らせるのではないかと考えています。これからそういう取り組みをやっていきたいって思っています!

 ―髙橋さんと移住希望者の人たちお互いがハッピーになれるいい取り組みですね。微力ながら応援しています。本日は貴重なお話をありがとうございました。 

Ⅳ -取材を通して-

 
ホッとできる、そんな居心地の良い場所
 
今回、髙橋さんの暮らし方・働き方に対する考えや想いを伺い、生き方を考えるうえの選択肢のひとつになりえる大切なこと気づいた。それは、「安心感」である。改めて「安心感」というフレーズを意識しながら髙橋さんとのお話を振り返ってみると、「よはくや」という場所は、髙橋さんにとってそれこそ「安心感のある、ありのままの自分で居られる環境」なのではないだろうか、と感じた。
「よはくや」は先ほども言ったが、村上の地域と一心同体の宿である。地域の飲食店や温泉、観光スポットなどがあってはじめて「よはくや」が存在でき、逆に地域に何もなければ「よはくや」は存在できない。一方で、村上の地域も「よはくや」があることによって市外からの観光客を呼び込むことができる。要は、お互いにお互いを必要としているのだ。そんな、地域密接での交わりができる環境をつくるためには双方、仕事の枠を超えた密接な信頼関係が必要なはずだ。これはすなわち、普段からプライベートでもコミュニケーションを取ったり、助け合ったりと地域間の人と人との距離感が近く、ありのままの自分で居られる環境であるということではないだろうか。
そんな、「安心感」を感じられる場所を選ぶ。それも紛れもなく大切なひとつの選択肢なのではないかと感じた。

きっかわの見学

 【おわりに】 
この世界には人の数だけの暮らし方や働き方がある。結局は自分が何を求めているのか、どうしたいのか、という心の声自分自身の性格がマッチしたときに理想の暮らし方・働き方ができるのだと思う。では、それにどうやったら気づけるのだろうか。私が考える答えは、自分の経験値を溜めるということである。まずは、世の中のことをもっともっと広く知ってみる。気になることや興味が湧いたら即行動してみる。この2つを実践していけば様々なことを感じられ、感じられた分だけ経験値が溜まり、経験値が溜まることで新しいことが見えてくる。これを繰り返すことでいつか自分が理想としている暮らし方や働き方に出逢えるはずだ。人は故郷のような安心して素の自分をさらけ出せる場所が恋しくなる。私は「心から安心できる場所があること」がこの先の生活を選択するときの重要な鍵なのではないかと感じた。この先、自分にとっての鍵を見つけ、今はまだどこかに隠れている扉を開けられたらなと思う。

よはくや instagram: https://www.instagram.com/yohakuya/

HP: https://yohakuya.com/

【書いた人:読書くん】
新潟生まれ新潟育ちの県内の大学に通う2年生。もうすぐ始まる就活に脅えています(笑)
趣味は、小説やマンガ・アニメなどを見ること。生粋のインドア派。朝に強い方です。最近ハマっているマンガは「僕の心のヤバいやつ」←オススメなのでぜひ!

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