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デュエプレ環境振り返り(8弾EX)

こんばんははじめまして。海月です。

書いているのがたいてい夜なのでこんばんはとしておきます。

自己紹介はあまり意味を成さないと思うので省略します。

とりあえずデュエプレはサービス開始当初からプレイしていて、毎月マスター到達するくらいです。

デュエプレ環境の振り返りを行っていきます。

今回は8弾EX篇です。

8弾がまだの方はこちらからどうぞ。


第8弾EXパック概要

第8弾EXパック・「覇竜咆哮-TRIBAL EXTREME-」は2021年4月22日にリリースされます。

EXパック全体の新方針に関しては前回の8弾記事にて触れているので、ここでは簡易な説明に留めます。

初となるこの「覇竜咆哮-TRIBAL EXTREME-」では、種族の強化がまず宣言されていました。

看板にティラノ・ドレイクである《覇竜凰ドルザバード》を据えたのは、そうした意気込みの表れが見えるところです。

各ハイブリッド種族の収録枚数もほぼ同一に均され、それまでくすぶっていた負け組種族たちの奮起が期待されました。

ちなみに、ハイブリッド種族とは、単色でありながら二つ以上の文明に存在する種族群であり、以下の5種族を指します。

アーク・セラフィム(光/自然)
グレートメカオー(光/水)
グランド・デビル(水/闇)
ティラノ・ドレイク(闇/火)
ドリームメイト(火/自然)

それまでの種族は、この種族といったらこの文明と単一で決まっていました。

最近始めたばかりの人などは知らない可能性もありそうなので、念のための補足です。

TCGではこれらハイブリッド種族はいずれも地味な存在だったのですが、その過去に反して、デュエプレでは【グレートメカオー】【ドリームメイト】が一線級の戦果を出していたため、向けられる視線は熱いものでした。

【アーク・セラフィム】は《独裁者ケンジ・パンダネルラ将軍》より1コスト重いものの確実性の高い踏み倒しを狙える《聖帝ソルダリオス》を、【グランド・デビル】は癖の強さに反して高いコスパを誇る《魔皇アスティマート》と、ハイブリッド種族中唯一の3種類目のフェニックス・《超神星プルート・デスブリンガー》を獲得します。

種族推しとは言いつつも、グッドスタッフのカードも小型弾の割にはそこそこに充実していました。

何より《ドルザバード》に並ぶもう一枚の看板とされた《光神龍スペル・デル・フィン》が注目を集めます。

呪文を封じるという単純明快でいて強力な効果を持つこのカードは、新たなフィニッシャーとしての活躍が約束されていました。

R以下のグッドスタッフとしては以下のようなカードがあります。

この中で特にユーザーの目を引いたのは《居合のアラゴナイト》です。

《アガピトス》の強さがすっかり広まったところに、タップキル戦術と相性抜群で、色基盤にもなるこのカードの評価が低いわけもありませんでした。

実際、後述するように、《アガピトス》の可能性を拡張するカードとして縦横無尽の活躍を見せていきます。

次点では生放送にて公開された《烈流神》が挙げられます。

8弾で登場したゴッドカードは軒並み株を高騰させていて、その新規かつデュエプレのオリジナルカードというだけでも注目されるには十分でした。

後に《ウンギョウ》が4コストとなり、リンク後の状態も弱体化する下方修正を受ける実力を今弾からすぐさま発揮します。

《三途万力》もわかりやすい全体除去効果で、7弾から続く横並べ環境のメタとして機能することが期待されました。

蓋を開ければほとんど環境で見ることはなかったものの、除去コントロール系のカード収録に厳しかった当時において、このカードの実装は大きな意味を持っていたと言えます。

同じく肩透かしを食らってしまったカードとしては、愛着を持ったTCGプレイヤーの多い《永遠のジャック・ヴァルディ》もありました。

似たデザインの《永刻のクイーン・メイデン》が無課金プレイヤーの星であったことも期待の一因としてはあったのだと思われます。

登場当初はほとんど採用先がないカードでしたが、後にクロスギアを選択で破壊できる上方修正を受けたことで、一定の活躍を見ることはできました。

いぶし銀的なカードとしては以下が挙げられるでしょう。

《ル・ギラ・レシール》は後に【黒緑Bロマノフ】のメタとして、《ギガメンテ》は名前の愛着と共に【除去コントロール】系統で、《パラリラ》と《モッフル》速攻~中速系のビートダウンで一定数使用されていきます。

そして、これらの有用なカードの前には癖の強いSRたちが構えていました。

いずれもガチ・カジュアル様々な方向で使い方を模索されていったカードでした。

中には環境の心臓部分にまで達するカードも存在しますが、それについては後述しましょう。


次弾である9弾「武者聖戦伝 -ARCADIA OVERDRIVE-」は2021/5/27にリリースされます。

その間わずか1カ月と5日、8弾EX環境中に終えたランクマッチはオルゼキアカップのみでした。

たったそれだけの期間なものの、このカードプールの追加がもたらした環境変化は目覚ましいものであり、無視できないデュエプレの歴史を作った期間の一つです。

少々長い記事ではありますが、この時期にプレイしていた人が懐かしめる、プレイしていなかった人には「こんな時代があったんだな」と楽しめる記事になれば幸いです。


New Division 環境変遷

やはり大々的にプッシュされた【ティラノ・ドレイク】【アーク・セラフィム】がこぞって研究されます。

デザインに沿った【赤黒ティラノ・ドレイク】と【白緑アーク・セラフィム】が成立しました。

前述したように、【白青メカオー】【リースドリームメイト】の活躍したことから、ハイブリッド種族へのユーザー期待は高かったのでしょう。

同じように癖の強さが色濃く見える【青黒グランド・デビル】も、期待半分面白半分で探求されていきました。

ところが、いずれもその息は長続きしません。

主な理由としては、共通して下記が挙げられます。

・種族デッキ故にウィニーが軸となり、《竜極神 メツ》や《アガピトス》+《アラゴナイト》の除去が急所となった
・多色カード推しの中、単色の種族デッキのリソース・アドバンテージ力の細さが目立った
・付随してデッキパワー不足もあった

後に【アーク・セラフィム】は見直されて若干持ち直すものの、環境を動かすほどの力はないと早々に見限られていきました。

こうして熱も冷めた頃、8弾環境から続く【ゲオルグ天門】が再び幅を利かせる流れが戻ってきます。

新規戦力としては《アラゴナイト》と《デル・フィン》を迎えました。

《アラゴナイト》は《アガピトス》から出すことで、即座に5000以下の盤面処理をすることが可能です。

これはこの時点で遥か未来のカードである《勝利のガイアール・カイザー》とも比較され、オーパーツ的な強ムーブとして注目されます。

色基盤や最後の押し込みとして優秀なのは当然として、2枚で5色を揃える《聖鎧亜キングダム・ゲオルグ》の進化元にもなる、シナジーの応酬とも言えるカードでした。

《デル・フィン》は2024年現在でも互換である《ナンバーナイン》が現役なほどに高いカードパワーを持ったカードで、フィニッシャーとして0~2枚の幅で採用されます。

後に別の理由を帯びるようになると、採用が一般化していくこととなりました。

【ゲオルグ天門】はこの時点で歴代最強と評されるほどに高いデッキパワーを持っており、時を経た今でもその神々しいまでの強さが印象付いている人も少なからずいることでしょう。

まさに環境の王とも称すことができるほどに、未熟な完成度のデッキを淘汰していきます。

しかし、その王に立ち向かう新たな力がじきに頭角を現します。

実は、その新芽は前環境の8弾末期から芽吹いていました。

ゆっくりと時間をかけた芽が実を結び、【青抜き4cアガピトス】が表舞台を駆け出します。

このデッキを語るにあたって、その名実の変遷を省略することはできないでしょう。

原型はビートダウン型として始まりました。

《腐敗幽騎ガレック》《竜極神》《ホーリー・スパーク》をコントロール要素として持ちながらも、《アガピトス》を軸に盤面を横に広げてビートするのが基本コンセプトです。

初期型の特徴として以下の3枚が挙げられます。

《聖騎士ヴォイジャー》はキャントリップかつ軽減で間接的なアドバンテージの塊として、《幻獣竜機ボルパンサー》はこの時代としては破格のSA2打点として、《霊翼の宝アルバトロス》は強烈なpigによる押し込み役として、それぞれが高いシナジーをデッキにもたらしていました。

【ゲオルグ天門】は元々強固だった《ヘブンズ・ゲート》の基盤に、パワー溢れるグッドスタッフカードを投入したデッキでした。

一方でこちらは、その中で中盤の繋ぎと受けとして使われた《アガピトス》を、展開の要として捉え直す視点から成立したデッキです。

ビートダウンでの採用は【ドリームメイト】を間に挟んでいたとは言え、それまで中間管理職的便利カードだった《アガピトス》が、戦場の最前線に立つメインウェポンへと再構築されたことは特筆すべきでしょう。

《アガピトス》過労死時代の始まりであり、まさにパラダイムシフトとも言うべき転換点をこのデッキは生みました。

当時このデッキの登場が如何にセンセーショナルであり、更にユーザーの開拓熱も溢れていたことを裏付ける事実として、二つの記録を紹介しておきます。

どちらにも共通するのはその名称。

一つは公式番組にも出演するささぼーさんが付けた呼び名で、「クレケン」というものでした。

【デュエプレ】覇竜咆哮 新弾王決定戦 参加者デッキ分布【デュエルマスターズプレイス】より引用

これはデッキの基盤が前環境の【ドリームメイト】に類似していたことから、そちらの核であるはずの《独裁者ケンジ・パンダネルラ将軍》がないのに成立しているデッキとして、「クレイジーな《ケンジ》」を略して付けられたものです。

環境進出すると当然呼ばれる機会も増え、リスナーの間で定着する呼称となりました。

初見のささぼーさんに【ドリームメイト】の括りで見られたことからも、このデッキがビートダウンであったことがわかります。

もう一つが、当時有志の環境調査集団として地位を確立しつつあったBEANSでの扱いです。

【アガピトロス】から始まり、【アガピビート】を経て、最終的には【アガピ系】へと落ち着きました。

この変遷には実態の変化、つまり環境が進む中での構築研究が影響しているのですが、特定カードの名前が入ったコンボ的性質の見えるデッキ名からビートという大きな括りに移り、しまいには自分自身が属性となっていく《アガピトス》の恐るべき柔軟性はここにも垣間見ることができます。

飛び交った「アガピトロスって何?」「ビートという呼び方は適切じゃない」という疑問や意見は、今や歴史を作った証言です。

では、そうした構築変化と混乱を引き起こす主たる要因とは何だったのか。

8弾EX環境を語る上で最重要に位置づけられる存在、《驚天の超人》を切って語ることはできません。

《驚天の超人》についての事前評価はまちまちでしたが、お遊びカード・ハズレアと見る人が大半だったと記憶しています。

未熟だった筆者自身もあまり芳しい評価はしておらず、アイデンティティはあるものの…という評価でした。

というのも、8弾環境トップの【ゲオルグ天門】には易々このカードのパワーを超える《エリクシア》が搭載されており、簡単に有利交換する《魂と記憶の盾》も存在しました。

強いと評価する人でも、具体的なデッキの形までイメージできた人はそう多くなかったと思われます。

そうした背景を持ってある日現れたのが、【トリガーアメージング】です。

【ゲオルグ天門】への相性はたしかに想定通りのものでした。

ですが、翻って《エリクシア》や《魂と記憶の盾》を採用できるデッキが他にあるか?と問われると、最強の名をほしいままにしていた【ゲオルグ天門】がそれらを淘汰してしまっていたのです。

多くのデッキにとって効果を使えない2体の踏み倒しをさせてもらえても、それはさほど意味を成しませんでした。

かと言って出さない選択をすれば、相手は3コストでデメリットなしのT・ブレイカーを展開することができます。

SAを付与した上で、実質《驚天の超人》8枚積みを可能とする《運命の選択》も大きな働きをしたカードでした。

戦術はいたってシンプルで、《驚天の超人》でT・ブレイクを決めたら、あとはトップのSAで追撃し続けて分厚い盾で受けてるというものです。

この時代、特にトリガークリーチャーをケアする手段は限られたこともあって、こうしたデッキが早期にダメージレースで優位に立つと、もう半分ゲームが決まってしまうほどでした。

明快かつ逆転劇を起こしやすい上に強いと知れると、爆発的に使用者が増加していきます。

これによってメタ構造は大きく動くこととなりました。

デッキ単位で抗う策を持っていたのが【ツヴァイ】と【アポロ】です。

【ツヴァイ】は手札が増えるほどに爆発性を上げることから、ビートダウン殺しの側面を強く持つデッキでした。

それは規格外の《驚天の超人》も例外ではなく、雑な3点ブレイクに対しては大量の二本槍と《マーキュリー》でカウンターすることができたのです。

【トリガーアメージング】はトリガー獣も多いために油断はできないものの、それでも攻めと守りの要である《運命の選択》と《ホーリー・スパーク》を止め、ブロッカーを添えながら攻められるのは有効な策でした。

【アポロ】に関してはその必殺性の高さが最大の武器として輝きました。

《驚天の超人》によって進化元の展開をサポートしてもらえる上に、【トリガーアメージング】の採用カードの性質上、タップされた《アポロ》のワンショットを受け止めるのは《予言者リク》くらいで、そう簡単ではなかったのです。

振り返ってみると、前環境トップの【ゲオルグ天門】と、これらフェニックスを持つデッキによるメタ循環が想定できたことから、《驚天の超人》は大胆な調整で送り込まれたのかもしれません。

しかし、実際のところ、デッキ単位の対策だけではメタバランスを保つことはできませんでした。

急進的に環境を塗り替える《驚天の超人》を前に、ユーザーたちは次第にデッキで対抗するのではなく、カード単位での対策を迫られていきます。

それはつまり、何のシナジーのないデッキにも《サファイア》《デルフィン》《ダクマバルガロウ》といった大型獣を積むという、非常に原始的で破壊的な選択でした。

特に厚いトリガーを無効化しながらタップされた《驚天の超人》を叩ける《サファイア》の需要は高く、「【赤白速攻】から《サファイア》が出てきた」といった声が連日飛び交うようになります。

このデッキの出現がまさに嵐であり、台風の目として環境に甚大な影響を及ぼし続けた所以でもありました。

こうなると、環境を歪める因子として、早くも《驚天の超人》への非難が集中し、ナーフを望む声が上がるようになっていきます。

《ゲオルグ》を王、《アガピトス》を女王と見立てるならば、《驚天の超人》はヒールといった存在感でした。

新ハイブリッド種族デッキ→【ゲオルグ天門】→【青抜き4cアガピトス】→【トリガーアメージング】と注目デッキが変遷する中で、ようやく環境は定まっていきます。(ちなみに、ここまでわずか一週間ほどです)

ここで、環境デッキのサンプルを見てみましょう。


①ゲオルグ天門

度々述べてきたように、8弾から続く最強の代名詞です。

あらゆるデッキから敵視されてもなおトップと言い張れるほどにデッキパワーは抜きん出ていました。

【トリガーアメージング】に対して、生来的に回答を持てていたことも新たな強みとして加わります。

最大の弱点は【青単テクノロジー】であり、この関係性が環境に変革の余地を残していたとも言えます。

特にこの対面を意識したことで、それぞれ始まりは3枚採用だった《アガピトス》《ゲオルグ》が、4枚採用もよく見られる形へと推移していきました。


②トリガーアメージング

※以下記事からの引用ではありません

問題児として、その後も長期間に渡って槍玉に挙げられるデッキとなりました。

しかし、意外に深みのあるデッキだったことは、誤解のないよう述べておかねばなりません。

その一つは構築の多様性。

《アガピトス》が変幻自在の活躍を見せる傍ら、《驚天の超人》も様々な構築が試されました。

・《驚天の超人》《運命の選択》を除いてすべてトリガーで構築した文字通りの【トリガーアメージング】
・2~3コストの低コストカードを増やして純粋なビートダウン力を上げた【リースアメージング】
・トリガーを20枚ほどに抑えて《ガレック》《アルバトロス》などのコントロール要素を加えた【アメージングブラック】
・更にトリガーの枚数を抑え、最早どんなカードとも共存する《アガピトス》を加えた【アガピアメージング】
・トリガー界の最強カード《アクア・サーファー》や、【ドリームメイト】でも実力を認められる《烈流神》を加えた【アメージングブルー】
・上記に加えて、ぶっ壊れにどっぷり片足突っ込む《ゲオルグ》、《アルバトロス》を彷彿とさせるユニークな能力の《メフィスト》まで採用する【5cアメージング】

などなど、将来的にメスの入る7週間の間に多種多様な構築を生んでいきました。

もう一つは、意外に勝敗を分けるプレイング要素です。

どんな構築にしようとも、《驚天の超人》の相手にも踏み倒しを許容する性質から、実は手札読みという最も基礎的なプレイングが求められるデッキでした。

たとえば、天敵である《サファイア》に対しては《コロン》を、《エリクシア》に対しては《ガレック》をキープしてそれを《アルバトロス》で使い回したり、小型で刻みながらここぞという時に《驚天の超人》を走らせたりするなど、一辺倒ではない立ち回りが不可欠だったのです。

要所を抑えると安定した勝率を出せるデッキとして、上位でも好まれました。


③青抜き4cアガピトス

ビートダウンから始まった構築は、次第にコントロール型へと移っていきました。

注目すべきは《フェアリー・ギフト》と《G・A・E》の採用です。

《フェアリー・ギフト》は《アガピトス》《竜極神》などの早出し手段として機能し、押しの場面でも受けの場面でも活躍を見せました。

そして《G・A・E》は、デッキ名を別名【G・A・Eコントロール】とするほどに、《アガピトス》に並ぶ核のカードとして重宝されます。

このデッキは原型が細いリソースを《ヴォイジャー》や《アガピトス》などで回していましたが、《G・A・E》はゴッドカード両面がそれぞれcipのサーチ効果を持ったことから、その補完を務めます。

しかしながら、山札探索が濁るという問題を新たに抱えるようになったため、《ヴォイジャー》は泣く泣く抜けていき、ここがビート型とコントロール型を分ける分水嶺となりました。

こうして二種の構築に分離し、【ゲオルグ天門】に並び立つ強さで名を馳せていく【青抜き4cアガピトス】ですが、そこに現れたのが【トリガーアメージング】です。

無対策のままでは明確に不利を取ってしまうこのデッキは、やむを得ず《サファイア》《デルフィン》《ダクマバルガロウ》といった直接的な対策を取っていくこととなりました。

ただ、これらのカードもデッキとの嚙み合いは必要最低限にあったため、コンセプトを揺るがすほどの変化とならなかったのは不幸中の幸いだったと言えるでしょう。

【トリガーアメージング】へ適応することができると、次第にミラーを意識した《破壊と誕生の神殿》が採用されていきます。

相手の《アガピトス》を破壊して自分の《アガピトス》を出すのは鉄板のカウンタームーブとなり、このカードのためにコストの被る《アルバトロス》は減少するという流れを経ました。


④青単テクノロジー

【ゲオルグ天門】に有利なメタ的性質を売りにしていましたが、なんと新しく加わった【青抜き4cアガピトス】も有利に寄る対面でした。

【トリガーアメージング】などのビートダウンにこそ不利なものの、遅いデッキ殺しとしての地位を確かなものとしていきます。

ただ、その《驚天の超人》に対しても、クリティカルではないものの《キング・レムリア》という新たな回答を得ていました。

もちろん、従来の《ツヴァイ》と折衷した形も健在です。

その他にも《アスティマート》などのグランド・デビルを加えたものも型として存在し、コンボ性の高いデッキながらに多角性を魅せていきます。

【ゲオルグ天門】【青抜き4cアガピトス】【トリガーアメージング】の陰に隠れていますが、このデッキも深みのある、根強いファンを持ったデッキです。


⑤黒抜き4cドリームメイト

新しく追加された《列流神》を採用し、青型の4色構築が基本となりました。

ビートダウンとしてはコントロール性も高い【4cアガピトス】、理不尽性のある【トリガーアメージング】に挟まれ、一歩立場は後退しています。

それでも安定性は抜群であり、《驚天の超人》対策を積まずとも環境で戦うことができました。

《列流神》は後に弱体化の調整を受けるほどに有力なカードで、7コストで実質SAアンブロッカブル持ちとなることから、【ゲオルグ天門】などへの詰めとして歓迎されました。

もっとも、青が加わったことで色事故のリスクは上がり、デッキ性質は確実に変化していたと言えます。

かつてよりも受けが弱くなり、その座は【トリガーアメージング】に移っていたことから、そちらの劣化と見る筋もありました。


⑥ツヴァイ

何一つ新弾の影響はなく、《ツヴァイ》と《マーキュリー》のカードパワーで環境に食らいつきます。

直近のインフレの端緒とも言える性質が見えるところです。

この頃になるとドローソースの呪文はほぼ抜け、《スパーク》を除いてフルクリーチャー型にする構築が基本となりました。

いわゆる前寄せとされる構築です。

Tier1群に対して五分前後で戦えるほか、【ゲオルグ天門】を狙う【青単テクノロジー】を狩るというメタのメタ的役割も持っていました。


⑦赤白アポロ

【トリガーアメージング】によって株が上がったことは前述の通り。

【ゲオルグ天門】が不利とされていましたが、まったく勝てないということもなく、《アポロ》によるワンショットはどのデッキにとっても常に脅威として立ちはだかります。

しかし、《アガピトス》と《アラゴナイト》によるタップキル戦術はこのデッキにとって向かい風で、複数の上位デッキにこのギミックが搭載されていることから、環境中堅の位置に甘んじます。

《フェアリー・ギフト》の採用が一般的になっていたことも辛く、環境は【ツヴァイ】含めたこれらのデッキの理不尽ムーブに間に合わせるが如く高速化する様相も呈していました。


⑧白青メカオー

小型のcip効果によってアドバンテージを得てフィニッシャーに繋ぐデッキのため、効果を使わせない上に高いビート力を持つ【トリガーアメージング】は不利対面でした。

【赤白アポロ】同様に《アガピトス》によるボードコントロールも痛く、環境は四面楚歌のようにこのデッキにとって苦しいものに変化していました。

しかし、ここがメタゲームの面白いところか、次第に【白青メカオー】が復権する兆しを見せます。

肝となったのは、このデッキの最大の売りでもある「安定感」。

たしかに【白青メカオー】にとってキツイ動きをするデッキは増えたものの、それらも始動ターンと要求値を考慮すると必ずしも狙って取れる動きではありませんでした。

そこを掻い潜って堅実な展開をできると、途端に五分に持ち込める対面が多かったのです。

2弾前の環境から存在するために練度の高いプレイヤーも多く、「細い筋を通して勝ちに行く」という性質を更に研ぎ澄ませていくこととなります。

特に2デッキ制のルールなどでは活躍の目立つデッキでした。


そうした環境が形作られたところで、8弾EXリリースから9日間で終わりを迎えたオルゼキアカップの結果が以下です。

最強の【ゲオルグ天門】に、【青抜き4cアガピトス】や【ツヴァイ】【テクノロジー】が追随する、バランスの取れた環境でした。

また、1位,2位は、入賞率2番手の【青抜き4cアガピトス】から輩出されています。

この頃はまだ筆者の調査力も不足していたためにサンプル数が少ないですが、【トリガーアメージング】は実際のところもう少しいたはずだと思います。

《アガピトス》の汎用性と《驚天の超人》の破壊性による環境規定力は強かったものの、その中での多様性があったのは、強調すべきこの環境の特徴だと言えるしょう。

ここまで未紹介であった入賞デッキに触れていきます。

・5cアガピ、赤抜き4cアガピ

【青抜き4cアガピトス】の派生で、青を加える理由もまた十分にありました。

何と言っても《ゲオルグ》のカードパワーは抜きんでていて、色基盤としても優秀な役割を果たすのが大きい要素でした。

もう、本当に暴力的なまでにパワーに溢れたカードだったんですよね。

その他、ハンデスの少ない環境で堅実なアドバンテージの取り合いが強い《アクア・ポインター》、青の主眼であるドローソースとして《プリズム・ブレイン》、汎用除去カードの《魂と記憶の盾》、定番トリガー獣の《サーファー》、《アガピトス》のお供《フルメタル・レモン》などが候補でした。

いずれにも共通する要素は多色ということ。

デュエプレのマナシステムによる多色の扱いやすさに最新のカードパワーが加わって、多様性に拍車がかかっていたことが読み取れます。


・青抜き4cソルダリオス

環境序盤に見られた【アーク・セラフィム】に【青抜き4cアガピトス】を加えたものです。

【アーク・セラフィム】が【ドリームメイト】に安定感で劣る一方で、出力を定めた確実な踏み倒しが狙えることがコントロール要素を強めた構築を可能にしました。

《ソルダリオス》の踏み倒しがビーストフォークも対象なことから、【青抜き4cアガピトス】の原型にあった《アルバトロス》をシナジーを以て採用するタナボタを得ています。


・青抜き4cゲートサファイア

【クローシス除去サファイア】は名前にある通り、最も素直に《サファイア》を採用できるデッキで、この《驚天の超人》環境の中で息を吹き返すかと思われたデッキでした。

しかし、クローシスカラーで構成するコントロールは妨害カードのパワーの低さと脆さによってデッキの総合値が低く、いわば敗者のデッキという評価が通念となっていました。

その層の薄い部分を《アガピトス》の基盤で補強することで復活させたのがこのデッキです。

先ほどの【青抜き4cソルダリオス】同様、《アガピトス》が切り開いた可能性の一つとして紹介しておきます。


続くスペル・デル・フィンカップでは、出揃ったデッキたちで鎬を削る群雄割拠の状態となり、マイナーチェンジを経験しながらも一貫してバランスの取れた環境が継続しました。

その中でも【青抜き4cアガピトス】は特に人気が高く、どの対面にも相性差小さくプレイヤーの力量で戦えるデッキとして好まれます。

未紹介のデッキとしては、【クローシス除去サファイア】【赤黒ドルバロム】【白緑セラフィム】【トリガー烈流神】などがあり、Tierで言えば3~4くらいの位置付けでした。

最後にこれらを紹介しておきましょう。

・クローシス除去サファイア

デッキの強さという観点からTierでの位置づけこそ低くなるものの、時によっては環境上位のデッキと遜色ない使用率を誇ったデッキです。

前述の通り、《驚天の超人》によって《サファイア》に追い風が吹く環境でした。

また、グッドスタッフ環境で種族デッキの数が減っていたことから、提督サイクル(マッドネス)の採用率が下がり、ハンデスへの警戒が緩んでいたこともこのデッキには吉報でした。

ただ、従来から指摘されていたデッキパワーの不足は改善されておらず、「行けるかも?」という期待を持たせつつもなかなか結果を残せないデッキというマイナスイメージからの脱却はできませんでした。

相性だけで見ればそれなりに多くのデッキと戦うことができたところがプレイヤー泣かせで、憎らしさと可愛さを持ち合わせていたデッキです。


・赤黒ドルバロム

《ドルバロム》が現役だった頃は、常に刺さりの良さが意識されており、後ろ寄りになると隙あらばと様々な【ドルバロム】が環境入りを果たしていました。

この頃は赤黒の型が主流で、《のろいとテラーの贈り物》による自壊ギミックを扱うところから【クローシス除去サファイア】と併せて【除去コントロール】の括りにされることが多かったです。

【トリガーアメージング】には弱かったものの、上位で好まれるデッキに対して相性が良いということで着目されました。


・白緑セラフィム

環境初期で模索された【白緑セラフィム】は、環境が熟してくる中で一定の実力を認められるようになりました。

前述した【青抜き4cソルダリオス】はかなりグッドスタッフ構築に寄っていたのでまったく別物で、こちらは種族の強みを活かした構成となっています。

【ドリームメイト】と比して、この時期珍しかったスパークケアのできる《アラク・カイ・バデス》や、除去効果持ちの《ラディア》が差別化点として強調できるポイントでした。

《ヘブンズ・ゲート》と《アガピトス》を加えた天門型も存在し、今弾プッシュされた種族デッキとしては最も健闘を見せました。

後に公認大会のレギュレーションにもなる、SR以上のレアリティを排除したカードプールで戦うUVRのルールでは、問題なくフルパワーで使用することができて人気を博すデッキとなります。


・トリガー烈流神

【トリガーアメージング】から派生するように、脅威の36枚トリガー構築が誕生します。

《烈流神》をまともに止めるカードが《魂と記憶の盾》くらいしかない環境だったこともあって、粘り強い打点が高く評価されていました。

後にナーフを受けるまでになりますが、【ドリームメイト】での採用をはじめとして、この時からポテンシャルは魅せていたと言えます。

明快かつ逆転劇を起こせるSR不要の構築であったため、格安版【トリガーアメージング】といった形で一定数使用されました。


All Division 環境変遷

8弾と同じくスタン落ちの影響が1弾・2弾分しかなかったため、基本的にはND環境を踏襲しています。

特筆すべき点のみ触れていきます。

前弾に引き続き、AD特有のデッキとして存在感を放ったのは【黒緑速攻】と【5cカチュア】でした。

【黒緑速攻】は速攻デッキとしてのデッキパワーが各段に高く、一部に微不利という程度で多くの五分対面に対して高い回転率を出すことができ、ランクマッチ適性が強みのデッキでした。

新生の【トリガーアメージング】に対しては不利なものの、ある程度は戦うことができ、【青抜き4cアガピトス】は《フェアリー・ギフト》による《アガピトス》《竜極神メツ》の早期着地さえ注意すれば基本有利を取れます。

サンプルのリストには採用されていませんが、後にパワーラインの高さが強みとなる《夢見がちモッフル》がこの弾では追加されました。

【5cカチュア】はこちらも《アガピトス》系統のデッキとして《アラゴナイト》と《デル・フィン》を獲得し、【青抜き4cアガピトス】の知見に倣って《G・A・E》を採用し始めました。

凶悪コンボのパーツである《ゲオルグ》はオーバーキルの傾向にあったことから抜けていき、安定感と対応力を上げた構築が志向されていきます。

元から大型ドラゴンを採用する上に、S級放置不可生物の《カチュア》があることから【トリガーアメージング】への睨みは強いデッキでした。

8弾EX環境での立ち位置は共に悪くなく、Tier1候補としてNDの環境にADならではのスパイスを加えます。

具体的に影響を整理すると、

【黒緑速攻】→【青単テクノロジー】【除去コントロール】【青抜き4cアガピトス】を抑止

【5cカチュア】→【トリガーアメージング】を抑止

といった感じです。

BEANSさんのデータでも、その流れを汲んだ分布で推移していました。

【ゲオルグ天門】【青抜き4cアガピトス】こそトップなものの、【黒緑速攻】【5cカチュア】共にこれらと戦うには十分な強さだったと言えます。

その中でも【青抜き4cアガピトス】は人気の高い傾向にあって、ND同様に広域の対応力を持つミッドレンジとして選択するプレイヤーは多くいました。

オルゼキアカップの入賞者は以下の通りです。

やはり【黒緑速攻】の影響力は大きく、これに分の悪い【青単テクノロジー】や【青抜き4cアガピトス】などのデッキの入賞数はNDと比べても抑えられ気味でした。

【5cカチュア】は【黒緑速攻】に不利を付けたためにこの時点では目立っていないものの、抑止力としては機能し、【トリガーアメージング】の入賞数は控えめです。

【トリガーアメージング】に不利だった【ドリームメイト】は、NDと比べてもこれを好機に入賞数を伸ばしたといったところでしょうか。

この結果を見るだけでは【ツヴァイ】の通りはかなり良さそうなので、こちらもND同様まだまだ筆者の調査力が不足していて、実際はもっと入賞者がいたのではないかと振り返って思います。

【5cカチュア】に関してはスペル・デル・フィンカップに移ってから研究が進み、多数の上位成績者を生み出していきました。

9弾がリリースされる直前には【黒緑速攻】でレート1800に到達する者も2名現れ、NDとは別軸の盛り上がりを見せていきます。


総括

8弾EXリリースによってNDから落ちるカードはなく、収録枚数が少ないことからも、8弾環境を踏襲した環境形成がされるだろうという見方が大勢でした。

8弾のインフレが相当進んでいただけに、強化されるハイブリッド種族がどこまでやれるのだろうという楽観もあったのだと思います。

しかし、実際は《アガピトス》の研究の深化に加え、《驚天の超人》という特級の異物が、まさにちゃぶ台返しをするが如くに環境を作り変えていきました。

ユーザーたちは6弾、7弾、8弾と振れ幅の大きい環境変化を経験しただけに、辿り着いたこの歪な環境には賛否の声が入り混じります。

飛び交う理不尽さに健全とは言い難く、音を上げたプレイヤーも少なくありませんでした。

それでも、1カ月強の間に目まぐるしく変わる環境には、様々な工夫と、それを試す余地があったことは述べてきた通りです。

8弾で本格化してきたNDとADの差異についても、よりその色は濃くなり、ディビジョンが分けられた意義が強くなってきていました。

5/10には次弾である9弾「武者聖戦伝 -ARCADIA OVERDRIVE-」のティザームービーが公開され、ユーザーたちの視線は早くも新しい環境へと向かい出します。

8弾EXリリースからわずか18日後のことです。

《アガピトス》や《驚天の超人》を止めるカードは現れるのか。

あるいは、ナーフという形での調整が入るのか。

そもそも、この過密なペースに我々は付いていくことはできるのだろうか。

嵐を抜けた先が新たな嵐な環境が続く中、様々な思いをユーザーの胸中に抱かせながら、短く濃密な環境は終わりを迎えていきました。


その他、当時あったこんなことやあんなこと

BGM設定が可能に(2021/4/22~)

8弾EXより、一部シークレットカードにスキンが付属し、さらにテーマソングがある場合はBGMも特典として入手できるようになりました。

これに合わせてBGMをメニューから好きな時に聴いたり、対戦中に流すBGMを任意に組んだプレイリストで流すことができるようになりました。

スキンおよびBGMによるゲームへの付加価値を認める方針転換がここからなされていきます。

今や課金を後押しする重要な要素の一つになっているので、この施策はデュエプレの発展の歴史を語る上で欠かせません。

5弾の振り返り記事でも触れたSPルールマッチ・火文明限定戦やBAで流れる公式主題歌のBGMなど、今なお追加やサウンドトラックの発売を求める声があります。

その根強い要望が実を結んだのが、2023/12からの楽曲サブスク解禁なのでしょう。

良いものが認められてコンテンツの発展に繋がる、素晴らしい循環だったと思います。


ミックスBOXガチャ登場(2021/4/27~)

サプライチップの使い道として、新たにミックスBOXガチャが追加されました。

サプライチップの使い道はショップで期間限定のプレイマットやプロテクターを交換するくらいしかなかったため、律儀にシティバトルを周回していた人はダブつかせていました。

そこに様々な限定アイテムやパックチケットに交換できるシステムが導入されたとあって、好評を博します。(チップを溜めていなかった一部ユーザーからは反感もありましたが)

コンプリートすると貴重なプレミアムチケットを入手できた点も、ユーザーにとっては嬉しいことでした。

ただ、過去弾とはいえ多量のノーマルカードやSRチケットを入手できたことで財布が潤った人が多く、運営としては労力に対してむしろ課金を抑制させるような効果を生んでしまったのかもしれません。

2022/2に第2弾が追加されて以降の追加はなく、これを書く2024/6現在では優先度を下げられていそうです。


8弾EX・SR総評

8弾環境での当たりSR

・光神龍スペル・デルフィン

シークレットにも指定され、人気キャラのエレナのスキンが手に入るとなると、使わずとも入手を目指す人たちが殺到しました。

セレクションポイントをためる人はこれまで以上に増え、このカードを求めて限界まで貯めた(天井した)人はそれなりにいたと思われます。

ただ、EXパックを主として収録枚数が少ない弾で300パック購入すると、道中でシークレット以外のほぼ全カードを限界枚数以上入手してしまうという弊害も発生しました。

カードの性能としては、呪文完封能力の強さが紙での実績を踏襲して言わずもがな。

【ゲオルグ天門】【青抜き4cアガピトス】のフィニッシャー枠や、「驚天の超人」対策としても使われました。

その後もインフレに強い能力、サポートの豊富なドラゴンということで将来性が高く、何枚持っていても困らなかったカードだったと評価できます。


・驚天の超人

環境をぶっ壊した張本人です。

影響度合いについては前述した通りで、このカードが出る前とそれ以降で別のゲームになってしまったと言っていいほどの存在となりました。

2021/6/10に6コストとなる下方修正を受けるまでの約7週間、常に台風の目であり続けたと言えます。

短いながらもその活躍っぷりと、下方修正によって一時的に分解ポイントが上昇していたことを鑑みると、当たり枠と言えるカードでした。


まあまあ枠のSR

・覇竜凰ドルザバード

軽量「サファイア」を思わせる性能に当初は高い評価を得ていました。

8弾のプールでは鳴かず飛ばずだった【ティラノ・ドレイク】を環境進出させる切り札として期待されます。

ただ、いざ環境が始まるとティラノ・ドレイクの種族デッキとしての強さはグレートメカオーやドリームメイトのようにはいかず、テーマデッキ以外への出張性の低いこのカードも苦境を強いられます。

一部デアリカラーの構築などで、《アニマベルギス》のブレイク増加効果と併用して結果を残す人を見られたので、まったく活躍が見られなかったということはなかったです。

意表を突いたワンショット芸を魅せられるのは、明確なアイデンティティだったと言えるでしょう。

こちらもシークレット版には入手特典としてBGMが付き、スキンの代わりにアバターパーツを入手できました。

プロモーションの面でどうしてもエレナより地味になってしまったものの、こちらのBGMも高い評価を受けています。

アバターパーツは今後のシークレット特典も含めて若干奇抜なきらいがあって好みが分かれましたが、頭のパーツのみ付ける人などもいて、個性を出すのに役立ちました。


・キング・レムリア

主な採用先は前述の通り【青単テクノロジー】でした。

その他、公式番組にも出演していた愛の戦士さんが何かと愛用しており、そちらの印象が強い人もいるかもしれません。

性能も絶妙で、バウンス対象がアンタップのみなことから駆け引きを生み、アンブロッカブル効果が地味つよなものでした。

専用デッキで2~3枚使うかどうかといったところなので人を選びましたが、環境でしっかり見られたカードです。


・霊王機トリファリオン

デュエプレが多色が強いゲームであり、大規模な踏み倒し効果を持つことから公開当初から期待と不安の入り混じったカードでした。

結果として構築難度が高く、メジャーとは言い難かったものの、一部で最終レジェンドを数シーズンに渡って残すなどの実績を持っています。

使うからには4枚、それもカード的寿命が短いという点でハズレと認識する人も多かったですが、十分な強さはありました。


後に再評価されたSR

SRが全5種ということもあってか、いずれも一定の活躍を見ることができました。

ただし、《デル・フィン》と《驚天の超人》を除いては専用的な使い方を迫られ、そちらで使う予定がない場合や、デッキとしての寿命が過ぎるとお役御免となってしまうものでした。

更には《驚天の超人》が下方修正されるということも起こり、VR以下で優秀だった《烈流神》も下方修正、《アラゴナイト》はシナジー先の《アガピトス》が下方修正を受けたことから、リリースから時間が空くと屈指のハズレ弾になるという変化を遂げてしまいます。

これは《デル・フィン》のところでも触れたように、シークレット目当てで天井を目指す人への苦悩の種ともなりました。

EX弾はこの後も2回出ますが、天井の数値は変わらず、方針転換による思わぬ弊害となっていきます。


おわりに

前弾である8弾環境の振り返りを投稿したのは2022/9/13のことでした。

それから1年と9カ月の時を経てようやく重い腰が上がり、2週間ほどの時間をかけて書き上げることができました。

塩漬けになっていた理由は書く労力があまりに大きな負担だったからなのですが、書き終えた今、やはりということを感じています。

ですが、書いている時の感覚は苦しいながらも、他の文章を書く際にはないものを含んでいたことは認めなければなりません。

半ば抱えていた「記録を遺さねばならない」という使命感に、「記録を遺すことに携われる」という達成感が帯びてくることを、書いている最中に次第に感じてきていました。

《アガピトス》と《驚天の超人》が主として作った環境は、客観的に見て歪んだ、賛否の内の否を無視できない割合で生んだ環境です。

しかし、それでも私たちはこの環境に全力で挑み、考え、遊んでききました。

そして、その知恵と熱が今日に息づいていることを、私はたしかにこの文章を書き上げる中で感じたのです。

デュエプレが生きてきた足跡の、その偉大な先人たちのかけがえない功績に感謝しつつ、筆を置きたいと思います。

当時同じようにプレイしていた方は一緒に感慨に浸ってもらえると、そうでない方には「そんな時代があったんだな」と知ってもらえると幸いです。

それでは次は、9弾環境篇で。


参考

【ウェブサイト・記事】

記事内で引用させていただいた各デッキ解説記事


【記事】(拙著)


【動画】


【スペシャルサンクス】

インターネット上にたくさんの情報を遺して下さった皆様

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