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ぼくらの「香り」-日本と西洋の融合、新しい香りの発見-

こんにちは、藤原です。
ついに発売されたKUONの「お香」。
さっそくたくさんの方にお買い上げいただき誠にありがとうございます。
今日は、このお香について書いていこうと思います。

1. 洋服と香り

昨年9月にKUON Flagship Storeをオープンするに際して、ぼくが絶対に必要だと思っていたのが「香り」でした。
ぼくがこれまで素敵だなと思ったお店は、洋服や什器、ディスプレイはもちろんなのですが、香りも良いのです。

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店や洋服の記憶と一緒に、香りも思い出していただける店になりたいと、KUONのシグネチャーの「香り」製作に取り組みました。

コロナ禍で原料が輸入できないなど、色々なアクシデントに見舞われながらも、1年以上かけてようやくKUONの「香り」が出来上がりました。

香りには香水をはじめ、ルームフレグランスやキャンドルなどさまざまな種類がありますが、KUONのブランドコンセプトやKUON Flagship Storeという空間を考えた時に、ぼくには「お香」しか選択肢にありませんでした。

KUONは日本古来の伝統や技術を、今のファッションにアップデートをして落とし込むのを特徴としているブランドです。日本と西洋の融合です。
これには、お香が何よりもぴったりだと。

2. お香とは

お香は、お仏壇のお線香など、日本人には古くから馴染みがあって、皆さんも身近に感じている存在だと思いますが、意外と知らないことも多いと思うので、KUONのお香をご案内する前に、ちょっとお香について書いてみます。

ただ、ぼくも今回の製作で教えてもらったことばかりなので笑

例によって、ちょっと長いのでお時間のあるときにご一読ください。

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-お香の歴史-
歴史は古く、紀元前からあるそうです。メソポタミア文明や古代エジプトでも使用された記述が残っています。

また、仏教と深く関わりがあり、香を焚くと不浄を払い心識を清浄にするとされ、仏前で香を焚き、花や灯明とともに仏前に供することを供養の基本としています。日本へは仏教の発祥地のインドから、中国を経て室町時代の頃に伝わったとされています。

仏教で使用する他にも、香りを楽しむためや医療用として使用されることもあり、元来は、伽羅、沈香、白檀など天然香木の香りのことを指していたそうです。そこから線香、焼香、塗香などに派生して、日本では江戸時代以降は線香が主流となっているそうです。

-線香とは-
室町時代の伝来時には、細い竹ひごを芯とした線香(竹芯香)であったのが、江戸時代に調香した材料を練り合わせて細い棒状にした、いわゆる線香が主流になったとされています。
クンバのお香などは芯がありますよね。線香はそれ自体が燃焼します。

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-お香(線香)と香水の違い-
わかりやすく言うと、お香は香りの材料を練り合わせて棒状にしたもので、火をつけて燃焼させることで香りを発します。香水は香りの材料を調合して液体化させています。
お香は燃焼した時に出る香りを想像しながら製作をします。
欧米では香水が主流でしたが、近年はお香(線香)に日本や東洋らしさの良さを感じる人が増えて人気になっているそうです。

香水が気分を高める要素が強いのに対して、お香は気分を鎮める要素があり、それも人気の元になっているそうです。

3. 東京香堂について

お香についてぼくなりにまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?

お香を焚くというのは、それ自体が儀式の様であり、気持ちが落ち着く、整う、というのが日本や東洋らしく、素敵だなと思っています。

さてさて、前置きが長くなってしまいましたが、ここからがいよいよ核心部分、KUONのシグネチャーの「香り」の製作秘話についてです。

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まず、お香をつくるにあたり、いくつかのメーカーさんにお話を聞かせていただきました。お香と言っても作り方は何種類かあって、納期や価格もけっこう幅広くありました。
その中で、最終的に、ぼくが個人的に好きだった東京香堂さんにお願いすることにしました。

-東京香堂-TOKYO KODO-
1935年創業の寺院専門の線香を取り扱う家業に生まれたペレス 千夏子さんが香水の都、と呼ばれる南フランスのグラースで学んだのちに、ペレス ジョフレさんと設立。
香水の調香技術、センスと燃焼することで香るお香の両者を深く知る二人の手により、日本と西洋の伝統技術を融合させた新しい香りを提案しています。
https://tokyokodo.online/

KUONも日本の伝統技術を洋服に落とし込むのを得意としているので、
もはやこの時点でKUONと相性ばっちし笑

しかも、しかも、

-東京香堂の特徴-
調香から生産までを群馬県みなかみ町のアトリエ兼工房ですべて行っています。

ペレス 千夏子さん曰く

「お香はエッセンス(フレグランス)の調香と粉の調香(練り上げる)の2工程があり、物理的に相反することが多く、焚いた時に香りの誤差が出ることがあります。その誤差が出ないようにするために、アトリエ兼工房で一貫体制にて生産をしている。」のだそうです。

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調香師は嗅覚を頼りに、原料を何種類も調香して、自分が出したい香りを引き出します。香りの出る順番も原料を掛け合わせることで調整することができます。

科学技術の発達により、特に燃焼の必要としない香水では、現在では99%まで再現が可能と言われているが、残りの1%はやはり調香師のセンスによるところで、再現が難しいと言われているそうです。

お香(線香)の場合は、液体の調香に加えて、粉の調香があり、再現性はさらに難しくなります。

東京香堂では0.001の単位で調香を調整しているそうです。
なによりも、調香師である、ペレス 千夏子さんが、実際にお香を燃焼させた香りを直接チェックすることで、調香と製造の誤差がなく、素晴らしい仕上がりを実現させています。

ぼくが調香の話で面白かったのは、原料の中には主役とサポート役があって、主役の香りを引き出すための原料もあるということ。香りが出る順番をサポートするための原料もあるという話でした。

KUONのお香に原料がたくさん含まれているのはそういう理由があるのだと知りました。

また、東京香堂の原料へのこだわりはワイン作りに似ていて、今年はこの原料が良いから、それを使うなど、自然への尊敬も忘れていないこともサスティナブルだと思いました。

東京香堂さんのお香作りへの姿勢は、ぼくらが小さいながらもアトリエで出来る限り自社でものづくりに取り組むのと同じだと思います。
大量生産は難しいので、どうしてもコストがかかってしまいますが、出来上がったお香は、それはそれは素晴らしい香りとなります。

4. KUONのお香について

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そんな東京香堂さんに、ぼくがお願いしたのは香りのイメージは

「スン、とする香り」

これだけです笑

ペレス 千夏子さんに店頭に来ていただいて、服と店を見てもらってイメージを膨らませてもらいました。

おそらく、ベースにあるものに共通点が多いからなのでしょうか、実はサンプルも一発OKでした。なにも言うことがありませんでした。

とは言え、もちろん事前に色々とお話をさせていただいて、ペレス 千夏子さんがこだわったポイントが

①和と洋の融合
燃焼する時間経過によって、和と洋を感じていただける仕上げになっています。

②原料へのこだわり
KUONが洋服の素材に拘っているのが、東京香堂と同じなので、原料も徹底的に拘っていただきました。
フランスをはじめ、世界各地の最高の原料を集めていただきました。

③熟成
KUONの語源「久遠」の永続、永遠という意味にちなんで、熟成する香りとなっています。
香水が揮発して新鮮さを失うのに対して、お香は原料によって「熟成」するので、今回のお香は熟成します。

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東京香堂は香りづくりのプロセスに徹底的にこだわり、手間と時間をかけてつくるので、香りが圧倒的に豊かで複雑です。これを実現しているのはペレス夫妻のセンスとアトリエ兼工房による生産体制です。

そのために大量生産ができませんので、価格は当然高くなるけど、KUONと同じく本物ができあがります。

KUONのお香は10本入りで税込3,300円です。

おそらく一般的なお香の価格の倍くらいはすると思います。
しかし、KUONの洋服がそうであるように、一切の妥協をせずにつくった本物です。

これだけ長文で書いてきましたが、実はどんな香かは一切触れてきませんでした。最後は皆さんが実際に「お香を焚いて」お確かめいただきたく思います。

いわば、これは、「日本と西洋の融合であり、新しい香りの発見でもある」のです。

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