詩のような短編小説のような?

 蝉の声が鳴き叫ぶ夏が今年もやって来る。夏が来ると思い出すんだ全てが輝いて宝物だったあの頃の日々を……皆の笑い声、溶けたアイスクリーム、ツンと鼻にきた水の匂い、薫る花火の煙と耳に残る大きな音……今年もまた夏がやって来る。

皆と過ごしたあの夏がまたやってくる。もうあの頃と同じというわけにはいかないが、今年もまた皆に会いに行こう。そっと色あせた写真をアルバムに戻し、俺は帰省する準備を始めた。

駆け寄ってきた小さな足音「お父さん、明日おばあちゃんとおじいちゃんの家に行けるんだよね? そうしたらまた明日からお友達と遊べるね」娘は笑いそう言った。

あぁ、娘は今輝かしい夏を生きている。あの頃の自分と同じように毎日が宝物だった夏を……きっと良い思い出として大人になっても残り続ける事だろう。俺がそうであったようにこの子もまた……。

さぁ、夏が来る。大好きな夏が。皆と遊んだあの宝物のような日々は今でも瞼を閉ざすと思い出せる。そうして大人になっても忘れない。楽しかったあの日々の出来事を。

そう言えば今年は神社の100年祭がある。あの子は来てくれるだろうか。あの不思議なお友達。名前も覚えていないが確かにあの頃一緒に遊んだ俺達の仲間。子供の頃しか会えない小さなお友達……誰かがそう言っていた。あの子はどこかで大人になった俺達を見守ってくれているだろうか。

実家(いえ)に帰るのが楽しみだなぁ。さぁ、会いに行こう。俺の大切な友達がいる故郷の村へと。


不意に思い浮かんだので忘れないうちに書きました。

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夏の思い出

基本長編か短編の小説を掲載予定です。連続小説の場合ほぼ毎日夜の更新となります。短編の場合は一日一話となります。 連続小説などは毎日投稿していきますが私事情でPC触れない日は更新停止する可能性ありますご了承ください。 基本は見る専門ですので気が向いたら投稿する感じですかね?