見出し画像

治療目的の有料記事のリスク

はじめに


今回は、治療を目的とする有料記事への注意喚起で記事を書きました。

noteには、精神疾患の治療方法を有料記事として販売する人達がいます。

誤解の無きよう、最初に述べておきます。

メンタル系の有料記事全てを否定するつもりはありません。
ストレス解消やリラクゼーション目的であれば、特に問題は無いと思います。

問題なのは治療中の患者さんが、著しいリスクを負うような有料記事です。

今回問題として取り上げるのは、このようなアピールをする有料記事です。

「自分も病気だったが、この方法で治りました。完治します」
「絶対に後悔はさせません」
「人生を取り戻せます」

「絶対」「必ず」などの治せることを強調して購入をうながす有料記事ほど、ハイリスクな可能性が高くあります。

治療の妨げになるかもしれません。

最悪の場合、病状の悪化をまねく可能性もあります。


「治せる」という有料記事を購読してみた

「必ず治ります」「買った人の人生が変わります」このような言葉で効果をアピールする記事には、高いリスクが潜んでいる可能性があります。

本来なら医師がリスク管理をして行う治療を、購読者だけで実践するよう指導しているものがあります。

内容を確認してみようと考え、実際に治療を謳う有料記事を購読してみたことがあります。

販売者はパニック障害や双極性障害を経験した元患者という人です。

有料記事の宣伝記事は断定的で、強く効果を主張する文章でしたが・・・

読んでみた正直な気持ちは・・・・「やっぱりな」です。

誹謗中傷をするつもりはありませんので、個人的な正直な感想としてお話します。

まず情報量が少なく、ゆっくり読んでも20分ほどで完読できる程度です。

不自然に専門的な用語や言い回しが目に付くので調べたところ、よそのサイト(精神科や治療院)からコピペしている文章がありました。

内容は、セルフマッサージと認知行動療法から抜粋した訓練方法でした。

全体的な感想としては、これで治るなら、世の中から鬱病もパニック障害も無くなっていると思いました。

SNSやnoteでのアピール内容と、良くない意味でのギャップが大きすぎました。

最大の問題点と考えられるのは、認知行動療法に関する記載です。

危険性と、販売者の知識不足を強く感じました。

認知行動療法を知っている人が見れば、「患者さんが単独でやるものではない」とわかる内容です。

しかし、治療中で精神的に不安定な患者さんであれば、その判断もつかず実行してしまう可能性は大いにあります。

これからお話することは、患者さんが単独で実践してはいけないことです。

無資格者の販売者が、有料記事に書く可能性が高い内容です。


これが書かれている有料記事の指導は、医師の指導無しでは、絶対にやってはいけません。


1:暴露療法の実践を指導する記事


精神科の治療には、薬の服用の他に精神療法があります。

代表的なものが、認知行動療法です。簡単に説明しますと、以下のような内容です。

「認知の歪みを修正し、物事をバランスよく判断できるよう訓練する治療法」

この中に、暴露療法という治療があります。

「患者が症状への恐怖から回避している状況に、あえて向き合わせる」という方法です。

症状の原因となっている恐怖も、認知の歪みを修正することで克服できるという理論です。

恐怖の克服は、パニック障害や強迫性障害には特に有効となります。

パニック障害を例に説明しますと、

「パニック発作の恐怖からできないことを、あえて実行する」というものです。

・電車が恐い人なら、それでも電車に乗る

・運動が恐い人なら、あえて心拍数を上げる運動をする

・エレベーターが恐い人なら、思い切って乗る

暴露療法の治療効果は高く、うまくいけば再発率も下がります。

私も治療の最終段階でこの方法を実践し、パニック障害を克服することができました。

詳細はこちらで執筆しています↓

一方、暴露療法はハイリスク・ハイリターンな方法でもあります。

実行可能な状態を判断するには、医師の診断が不可欠です。

劇的に治る効果も期待できますが、失敗すればより悪化するケースもあります。

また、パニック発作の場合は、本当に失神して倒れる場合もありますから、安全確保の対策も必要です。

本当は医師によるリスク管理が必要な方法を、単独で実践するよう指示している有料記事。

病状の悪化や事故が起きても、結果を背負うのは購入した患者さんです。

もしも購入してしまったとしても、自分の判断で暴露療法の実行はしないでください。

「認知行動療法を受けてみたい」とお考えなら、専門医をたずねましょう。

この種の有料記事を買ってしまったのなら、認知行動療法を実施する医師に見せて見解を聞いてみてください。

きっと納得のいく回答が得られるはずです。


2:精神薬の減薬・断薬を指導する記事


患者さんの中には、「服薬をやめたい」と希望する人も多くいます。

抗うつ剤・抗不安薬の副作用や、薬に依存している自分が嫌だという方もいます。

このニーズに応えるような有料記事もありますが、実践した場合、取り返しのつかない事態を招く可能性があります。

有料記事の指導による減薬・断薬は実行してはいけません。

医師が直接経過を見ずしての減薬・断薬は、離脱症状や病状の悪化に対応できません。

離脱症状は強く出ることもあり、時にてんかん発作のように強烈な症状となる場合もあります。

精神状態の悪化から、最悪の事態を招くリスクもあります

そうなったとき、有料記事など何の助けにもなりません

おそらく、減薬・断薬を望んで有料記事の購読を考えている方は、受診している医師に対して不信感を持っていると考えられます。

信頼できる医師ならば、減薬・断薬を望む自分と、主治医の方針との違いを相談で解決できるはずです。

どうしても今の主治医が信頼できなのであれば、他の医師をあたりましょう。

他の医師をあたることが選択肢になく、有料記事に頼ろうと考えているのなら、冷静になりましょう。家族でも友人でも、話せる人がいるのなら相談をしましょう。

①リアルで目の前にいる医師・プロ

②匿名の有料記事販売の元患者・素人の副業

どちらの指導を受けるべきですか?
あなたの健康と、もしかしたら命にも関わる問題です。

どうか、冷静に現実を見ることを忘れないでほしいと思います。

終わりに


今回は、治療目的の有料記事の問題・危険性について書きました。

匿名で元患者という肩書で、完治など極端で断定的な表現をする有料記事には、くれぐれも注意していただきたいと思います。

お金を損する程度ならまだ良いのですが、健康と命に関わる問題になる可能性も含んでいます。

怪しげな情報を目にしたときには、まず冷静になりましょう。

最後に。

治療にウラワザなどはありません





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?