学び直したい、生き直したい。破滅してしまう前に

生きていく上で、学び直していかないと、自分が無自覚に暴力をふるってることに気づけない。
自分の加害性に気づけない。

暴力を向けられる相手はもちろんのこと、気づけない自分自身をも苦しめることだなあって。
不幸って、そんな姿を指すんじゃないかな。

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足立区の区議会議員の性的マイノリティに対する偏見に満ちた発言。
そして、なにより彼の論理破綻した語りにめまいがした。

LGBTと言われて、性の自由を尊重しようという地方自治体があちこちに生まれつつある。
私は人間の生き方ですから、本人の生き方に対して干渉しようとは思いません。LであろうとGであろうと、本人の生き方に干渉しようとは思いませんけれども、考えてください。
こんなことはありえないことですけれども、日本人が全部L、日本人の男が全部G。次の世代生まれますか?ひとりも生まれないんですよ。

発言全体はこちら↓

自分で「ありえない」と言いながら、そのありえない妄想を膨らませて、それをおそれ、まわりに不安を煽っている。
なにかが壊れている。
壊れている人が区議会議員を何十年と務めている。

けれど、この人に限らずそこかしこに似たような人がいるよなって。
自分も片足をつっこんでるんじゃないかと我が身を振り返った。

***

このおじいちゃんの破滅的な語りを聞いて、映画『プリズン・サークル』を思い出さずにはいられなかった。

作品の中で刑務所(=プリズン)にいるのは、幼少期から酷い環境に置かれてきた人ばかり。
ものを盗んだり、人を傷つけても罪の意識が感じられなかったり。
そんな彼らが輪・サークルになって語り、これまでの自分と向き合い、学び直していく過程がおさめられていた。

このおじいちゃんもほとんど同じなんじゃないかって思ったのよね。
幼少期に学んだ教えを今になってもかわいそうなくらい必死に抱え込んでいる。
それが差別や間違いだと気づけないほどに。

『プリズン・サークル』の彼らは学び直しの機会をプリズンの中で得ていた。
このおじいちゃんは日本社会のシャバの中で学び直す機会に巡り会えなかったのだろう。

というか、この人に限らずほとんどの人がそうだから、今のこのヘルジャパンなんだよな……どっちの世界が「プリズン」なのか分からなくなる

『プリズン・サークル』の監督である坂上香さんが言っていた。

刑務所から今の日本社会を逆照射したかった

その意味がこのおじいちゃんの破滅的な語りに出くわしたことで、改めて少し理解が深まった気がする。

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生きていく上で、学び直していかないと、自分が無自覚に暴力をふるってることに気づけない。
自分の加害性に気づけない。

それはとてつもなく自分をも苦しめる不幸なことだなあって。

学び直す場・学び直す機会が人間には必要なんだよなあ。
30代男性である僕自身も切実に学び直し・生き直しの場を欲している。


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