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ひとりの晩酌

11月に入って、寝ることができない日々が続きました。
朝早くから練習して、日中も頭をフル回転で動かして、帰ってきてから練習やら勉強やら家のことをやってと確実に疲れているはずなのに、ベッドに入っても全く寝付けない。そして気がついたら意識を失っていて、真夜中に1時間おきに覚醒。朝は夢見の悪さで、追い立てられるようにして飛び起きる。という状態になってしまいました。夢と現実の区別がつかないくらいリアルな悪夢にうなされて、飛び起きてからもしばらく動悸が止まらなくなる日もあったりと、自分で自分に驚き、目が覚めた瞬間に頭を抱える朝を繰り返していました。

全く満足に寝れていないはずなのに日中のパフォーマンスは思ったほど落ちず、むしろ冴えているというか回転数が早いなと思うことも。ただ、明らかに何かがおかしいという自分の内側からの警鐘と何かが起こる前に手を打たなければという、それもまた焦りから、日本にいる母に相談をしました。

「ちょっとお酒でも飲んでみたら?」
母からのアドバイスは単純でした。アルコールは逆に興奮作用がある、とも言われますが、たくさんの量を飲むのではなく少量のアルコールであれば何か良いように働くかもよ?という母の言葉。確かに、日本からドイツに移ってからお酒の量がぐっと減りました。
私は案外、お酒好き。大量に飲むというより、じっくりゆっくり飲む方が好きで、実家ではアペリティーヴォから夕食、その後ちょっとした食後酒みたいにして長く飲むことが多くありました。父の影響なのか特にウィスキーが好きで、飲み方はストレート。これは父が「いいか、よく聞け。ウィスキーっていうのはな、ストレートで飲むもんなんだ。」とウィスキーを片手に私に何度も言っていたことから、何かない限りはストレートでしか飲みません。最近はジンも好きで、フィンランドに行った時に見つけた”キュロ”というジンをストレートで飲むこともあります。
と、案外実家にいた時には何かとお酒を口にすることが多かった私が1人暮らしを始めた途端、飲むことがめっきり少なくなっていました。
ああ、そっか。今までよく家飲みしていたけれど、その習慣が一気になくなったから何か拠り所が無くなってたのかもしれないね、と母と話をして、学校帰りにウィスキーを1本買って帰ることにしました。

運が良かったのか、帰り道に寄ったスーパーでウィスキーのセールをしていて、Jack Daniel'sのウィスキーが15ユーロで売っていました。日本円に換算すると、若干高い印象ですが、1人で飲むしちょっと良いもの買っちゃおうかなあと奮発。ドイツ人というのは案外わかりやすいもので、スーパーなどをみていると、美味しいものは在庫が少なくなっていることが多く、商品棚に偏りがあります。何か迷った時には在庫が少なくなっているものを選ぶと、ハズレが少ないことを最近学びました。(もちろん全てに当てはまるわけではないけれど!)このウィスキーもフレーバーウィスキーのようなものやたくさんの種類が並べてあり、何を買えば良いのか迷いましたが、一番在庫が少ないものを選んで大正解。その日の夜、早速開けて飲み、とてもおいしく久しぶりの晩酌に満たされた気持ちになりました。

さて、寝られるかなあと思っていたところ、あくびがふわああーと出てきて、久しぶりに感じた睡魔。気持ち温かくなった体をベッドに沈み込ませれば、気がついたら寝ていました。朝まで深く眠り、夢を見ることなく起きることができ、一安心した朝のスタートを迎えることができました。

毎日飲まなくても、今日は頑張ったなあとか夜までレッスンを受けて頭が猛烈に覚醒している時に鎮静剤としてウィスキーをちびりちびりと舐めるようにして飲む、心地の良いBGMをお気に入りのポータブルスピーカーでかけてみたりして、1人晩酌も悪くないなあと思った出来事でした。

誰かと飲むお酒も好きだけど、心を落ち着けたり頭を沈めたりするために飲む1人のお酒も一つの手段として有効かもしれません。
これからの季節、ドイツではクリスマスマーケットが待ち構えています。グリューワインを片手に幻想的な雰囲気に浸って見るのも、もしかしたらふっと気を緩めることができる時間になるのかなあとこれからの冬の季節も楽しみになってきました。

ウィスキーを片手に急に文章を書きたくなったので、とにかく綴ってみました。

Ciao ;)

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